とある









僕はくろねこ。  嫌われ者。

ニンゲンはみんな僕を見ると嫌な顔をする。

「フキツ」とかシッシッて追い払おうとする。

フキツの意味はよくわからないけど、多分良い意味じゃないんだろう。

僕は絶対に怯えた素振りは見せない。 ニンゲンには。

堂々と生きるんだ。


今日、一人のニンゲンと出会った。

またいつもみたいに嫌な顔をして追い払うんだろ。

僕はそいつを睨んだ。

でもそいつは違った。

僕の前にしゃがみこんだんだ。  手を差し伸べて「おいで」って。

びっくりしたのは僕だ。 こいつ頭がおかしいんじゃないかと思った。

驚いた僕を見てそいつは「怖がらなくていいんだよ」と優しく言った。

恐る恐る近づいてみると差し出された手が伸びてきた。

思わず目をつぶった僕は更に驚いた。

痛みを伴うだろうと思ったその手が僕の頭を撫でたんだ。

その手は思いもよらないほど優しくて、そして温かかった。

驚きっ放しの僕をよそにそいつは僕を抱き上げた。

更に驚いた僕は思わずその手に爪を立ててしまった。

一瞬で解放されたその身体を守るように僕はニンゲンと距離をとった。

「いてて。流石に野良を抱くのは無理があったか」

そう言いながらニンゲンはまた近づいてきた。

僕は逃げた。 一目散に。 ニンゲンが見えなくなるまで。

息が切れて苦しくなったところでようやく僕は立ち止まった。

心臓が激しく動いている。

でもこの激しい鼓動が走ったことからくるものだけではないことに、僕は気付いていた。

あいつの手、あったかかったなぁ…















これを読んでなにかピンときた方。当人とは無関係です。パクリというなら下げます。一報ください。