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1. 医療制度改革 03.1 日本は約百年前、ドイツの医療制度を導入した。戦後一時期米国の医療制度が導入されたが、基本はドイツの医療制度を基にしている。そのドイツでは過去百年間に10回以上制度改正して、医師教育制度・専門医制度・保険制度の改善が行なわれた。対して日本はその間何も変わっていない。もうそろそろ日本も「お医者様天国」を卒業すべき時期にきている。そこで、ドイツと日本の医療制度の差異の具体例を二つあげる。 まず、国民皆保険制度の話だが、ドイツでも日本と同じく国民皆保険制度をとっているが、内容は著しく異なる。ドイツでは、欧米で導入されている疾患別・治療別の「定額制・治療費制度」を採用しているからだ。例えば心臓バイパス手術が必要な疾患の場合、保険から技術料80万円のほか、検査料・薬代と入院費用を合わせ70万円が支払われる。仮に手術後、合併症などが発生すれば、その後の治療費や入院費は病院が負担しなければならない。赤字になりたくない病院は、優れた技術を身につけた医師しか雇わない。 これに対し日本は技術料が安く、同じバイパス手術で20万円しか支払われない。そのかわり、薬代や検査代は使った分だけ出る出来高払い制だ。このため、患者が長く入院し、検査や薬を多く使えば使うほど利益が出る。 次に、専門医の話だが、ドイツの心臓外科専門医は手術が終わる度に全国統一形式のスコアカードを書かなければならない。どんな手術をどんな患者に行い、どういうアクシデントがあったか、手術結果が良好だったかどうかを詳細に記す。これは国によって集計され、公表される。結果として技術の高い医師がどこにいるかが一目瞭然となる。スコアの悪い医師を雇う病院は少ないし、そんな病院には医療保険会社やホームドクター(町医者)が患者を送るのを拒否する。 日本にも専門医や認定医と称される医師はいる。ところが、これはすべて学会が認めた資格だ。おのずと学会はアカデミズムの立場からペーパー(論文)を何本書いたか、学会にどれだけ出席したかで専門医を認定する。一部では「ペーパードライバー」とからかわれているのが現状だ。 日本の立法・行政機関は長い間、医療制度の見直しを怠ってきた。理由として日本医師会と政治の関わりなどがある。しかし、日本改革の一環として、欧米の医療制度をヒントに日本の医療制度を改革すべきではないだろうか。これは本格的超高齢化社会到来の前に改革せねば、大変な事態になるのは各種医療ミスを見ても明らかだ。 |
2. たばこ規制枠組み条約 05.3 公衆衛生分野で初の国際条約となる「たばこ規制枠組み条約」が2月27日発効した。批准したのは現在までに日本を含めて57カ国だ。たばこ消費を削減し健康被害を防止するため、広告を5年以内に原則禁止、3年以内に包装面の30%以上を健康への警告にあてるなどが義務付けられている。ライトやマイルドなど健康被害が少ないとの誤解を与えかねない表現・表示についても一定の規制を課した。条約を契機に各国で禁煙対策が強化されている。日本は先取りして一部の規制に踏み切ったが、受動喫煙対策、未成年者の喫煙行動、禁煙区域の拡大など課題は山積している。行政はこれを機会に、たばこの煙から国民を守る戦略構築に総力で取り組むべきだ。 世界保健機関(WHO)は世界の喫煙者は約13億人と推定している。喫煙率25%だ。現在たばこが原因で年間約500万人以上が死亡し、死亡原因の第二位を占めている。しかも、このままでは20年後に約一千万人以上に達するとみている。このため健康被害を減らす目的で今回の条約が制定された。 日本の喫煙率は29%(男47% 女13% 04年JT調査)だ。しかし男性の高喫煙率と妊娠の可能性がある二十代から三十代女性の喫煙率が増え、喫煙経験の中学1年22%、高校3年55%(00年厚生労働科学研究所調査)と喫煙の低年齢化が指摘されている。年齢が低いほどニコチン依存症になりやすく、成人後もやめにくいという研究結果もある。未成年者の喫煙防止が急務と認識すべきだ。60万台以上あるタバコ自販機に年齢識別システムの導入を進めるようだが、たばこが健康に与える深刻な影響について、教育現場で徹底的に指導する必要もあるだろう。 受動喫煙防止を定めた健康増進法(03年5月1日施行)は、25条で「不特定多数の人が集まる施設の管理者に受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定した。対象となるのは学校や病院、官公庁、飲食店、商店、ホテル、鉄道車両、など幅広い施設・乗り物などだ。ただ、施行時点では罰則はなく、努力義務にとどまっている。これではまだまだ不十分だ。飲食店や商店などでは、形だけの禁煙・分煙で済まされている場所が多い。欧米のように、違反者と違反業者の両者に対する罰金制度なども含めて、受動喫煙を防ぐべきだ。したがって、たばこ産業界だけでなく、飲食・娯楽など関連業界も対応が必要になる。また、喫煙による健康被害のために、たばこ税収の数倍の医療保険費用が毎年負担されているという。これも非常に由々しき問題だ。ニコチン中毒者以外には、百害あって一理なしのたばこを追放しよう。 |
