天を貫くほどの塔がある。白く巨大で圧倒的なそれを人は普通知らない。人とは、そう、君のことだ。ほら今この文章を他人事のように読んでいる君のことだよ。君だ君!
そうそう君だ。分かってくれればそれでいい。
おいおいそう呆れた顔をするものじゃないよ。そうだな、こう言った方がいいかな。世界に存在する六十億を超える人々はおおむね知らない。だって見たことないだろう? 首をこれ以上ないほどのけぞらせても、そもそも先端が雲にうっすらと隠れて見えないような、科学を凌駕した建造物なんて。東京タワーやエッフェル塔なんて目じゃないさ。もちろん通天閣もだな。
うん? そんなものがあれば世界中大騒ぎか、とっくに観光名所にでもなっているだろう? 大体どこの国にあるんだって?
冗談ならもっとましな冗談を言えと言わんばかりだな。取りつくしまもないとはこのことだ。淋しいね。
いいかい、ユーモアはもっと大切にしたまえよ。人生をうまく泳ぐコツだ。おっと、だからと言って私の話は冗談でもぼけた老人の戯言でもないのだがね。そこは肝心だ。私はぼけていない。
よし、いいだろう……。袖擦りあうも多少の縁と言うわけで、特別に世界の秘密を聞かせてしんぜようではないかね。特別だ、運がいいね。こんな機会は本当に滅多にない。いやいや嘘じゃない本当だよ。私は嘘をつかない主義なんだ。
ただしそれに当たって君に一つ約束してもらいたい。
これから私が話すことを他の誰かに吹聴して回ってはいけないよ。どうだろう、約束できるかい?
それができるなら大丈夫。くだらなくても暇つぶしくらいにはなるはずだ。さ、座り心地のいいように腰を落ち着けて。トイレにも行ってな。コーヒーは飲むかね? なら悪いがセルフサービスだ。私は逃げも隠れもせずここで待っているから持って来るがいいよ。キーボードにこぼさんように気をつけるんだぞ。
さて、そろそろ準備はいいかい。
もう一度言うぞ。この話は君と私の秘密。他の誰にも語っても教えてもいけない。それができるなら塔の秘密をひも解こう。
うん? そんな与太話、話したところで誰が信じるものかって? その通り。
信じる信じないは、君の意がままに。
もしも興味が湧いたなら、上記の文にカーソルで触れてごらんよ。
少々長いが、きっと損をさせはしないから。ほんと長くなるけどね。
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