デジ絵本10 +結晶世界
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やわらかな土の奥深くには、固い地盤の縞模様。 地中深く進むと世界はその姿を変える。 そこには白い手の結晶の子がひっそりと暮らす。 苔の仄かな光が濡れた壁を人知れず照らすところ。 輝石の結晶は白い手によって創られてゆく。 天体の光の射さない暗い世界でも、 匂いと音の反響で、すべて手に取るように把握できるから ここは美しく安全な別世界。 太古の水の創った洞窟の迷路をくぐり、 若い火の流れに足を入れ、溶けた欠片を拾い、 金の鉱脈の冷たい手触りにそっと凭れる。 小さな白い手の持ち主は微かな石の粒を揃え、 永い永い時間をかけて硬い結晶にして行く。 やがて地上に姿を現した結晶達が 黒い血で洗われようとも けして姿を変えることの無いように。 無骨な争いや、暗い嫉妬にも けして曇る事の無いように。 その硬く強く美しい結晶の閉じられた世界には、 誰も立ち入る事が出来ない。 ![]() |