デジ絵本2 +石の姫

石の姫1 1

 西の小さな美しい国、
小さなかわいらしい姫さまがおりました。 
姫はこの小さな国が大好きでしたが、 
まもなく北の大国に嫁ぐ事が決められていました。
姫はその日が近づくにつれ、 
「 どうかこの国を離れずにいられますように 」 と、
祈りつづけました。
石の姫2 2

 とうとう若い魔王が現れて言いました。
「 あわれな姫よ、おまえの願いをかなえよう。」 と。 
姫さまは不思議な魔法によって、
王城と町を見下ろす岩山の上、
生きながら石像となりました。
石の姫3 3

 しかし、約束をたがえた事を理由に、
やがて小さな西の国は大国に 攻めこまれました。
戦火に燃える王城を、 姫さまは一声も発する事も
出来ぬまま、見つめている事しか出来ませんでした。 
姫さまは、心のしんから悔やみました。
石の姫4 4

 
「 魔王よ、私の命を奪うが良い。
だが、真の願いを叶えておくれ! 」

若い魔王は、ゆっくりと笑みを浮かべると、
残念げに手を伸ばしました。
「もう少し楽しめるかと思ったものを。」
 その夜の嵐で、敵国の陣があった岩山には、
たくさんの雷が落ちました。
石の姫5 5

 その後の事。
西の国の人々は砕け散った岩山の周辺に、
うつむくように咲く見なれない小さな花を見つけました。
 その花は、誰となく「祈り草」 と、
密かに呼ばれるようになりました。


              ―おしまい―

2002

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