デジ絵本5 +空の王国

空の王国

空の王



雲の上には、空の王国がある。
王国の住人は独りきり。
雲の王が住んでいる。

雲でできた城の、雲の階段を昇った、雲の王座についている。

柔らかな雲の長いマント。
美しいレースは、白い靄。
身を飾る宝石は、氷の粒

広い広い王国は、見上げるような雲の峰。
速い流れのような雲の川。
どこまでも続くまっすぐな、白い雲の道。

すべてが 王のもの。


王の髪は、時々の大気に合わせ色を変えていく。
眩しい白銀、
暗い灰色、
夕映えをうつすオレンジや赤――。

果てしもなく移りゆく王国に
たった二つだけ 変わらないものがある。


雲の王が持つ王冠に嵌め込まれた、雫型の宝石。
この石は王国の象徴で、
本当の王はこちらだというまことしやかな噂をもつ。


もう1つは王の瞳の色。

それは一面に立ち込めた曇天の
たった一部がひらけて ほんの少し覗いた、
透き通るようなうすい空の青―。

2002-09-20

戻る 次へ