デジ絵本8 +無限階段
1人、子供部屋でふと不安になって顔を上げた。
子供部屋の中には、見なれたおもちゃ、散らばった積み木、
ベッドの下のオバケは、姿が見えない。
部屋を見回して空色のドアを見つけた。 誰かに呼ばれているような気持ち。
ドアをそっと空けて廊下を見渡す。
いつもより、少し暗いような気がする。
思いきって、ドアの外に1歩足を踏み出した。
アンテナが回らなくなった、おもちゃのロボットが後ろから声をかける。
「どこに行くの? 部屋に戻ってまた遊ぼうよ。」
一度降りかえったけれど、思いなおして板張りの廊下を通って階段の下に立つ。
手摺のついたゆるやかな階段。
そう、この上に行くはずだったんだ。
2段目、3段目と足をかけて上っていく。
その後ろをギリギリと音を立てながら、壊れたロボットもついて来る。
5段、6段どんどん上る。
最初の踊り場についたら、銀の燭台が声をかけてきた。
「どこに行くの? 階段は暗くて危ないよ。
部屋に戻って、絵本を読もうよ。」
足を止めて考える。 いったん部屋に戻ろうか? それともこのまま、上ろうか?
どうする? どっちか選んで。
↓
進むんだね。
やっぱり気にせず、上を目指す。
12段、13段と上っていく。
壊れたロボットがギリギリとついてくる後に、
銀の職台もチリチリと、音を立ててついてくる。
15段、16段とどんどん上る。
次の踊り場に出ると、台に置かれた籠から、赤い林檎が声をかける。
「どこに行くの? 階段は長くて疲れるよ。
部屋に戻って、私をナイフでむいて食べない?」
足を止めて考える。 いったん部屋に戻ろうか?
それともこのまま、上ろうか?
□今度はどうする?
↓
まだ行くの?
それでも気にせず、上を目指す。
22段、23段と上っていく。
壊れたロボットがギリギリとついてくる後に
銀の職台がチリチリとついてくる後を、
赤い林檎がコロコロと、音を立ててついてくる。
25段、26段とどんどん上る。
最後の踊り場の手摺の上に、黒い猫が座っている。
「どこに行くの? いっぱい家来を連れて。
それより部屋に戻って、私をベッドに寝かせておくれよ。」
足を止めて考える。 いったん部屋に戻ろうか?
それともこのまま、上ろうか?
またまたどうする?
↓
どうしても?
それでも、気にせず上を目指す。
32段、33段と上っていく。
ロボットはギリギリ、
銀の職台はチリチリ、
赤い林檎はコロコロ、
黒い猫は、興味無さそうにそっぽを向いた。
35段、36段どんどん上る。
とうとう階段が切れて、正面に大きな暗い色のドアがひとつきり。
壊れたロボットと、銀の職台と、赤い林檎がそろって
「どこに行くの? もう疲れたし、今日は部屋に戻って休もうよ。」
ほんとにどうする?
2002-11-20