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第12話 ドイツのBIO |
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大きなパンというのは、「ドイツパン」というイメージそのものの黒くてどっしりしていて、ちょっと酸味のある全粒粉のパンのこと。
繊維質の多いこのようなパンは、水分が抜けるのが遅いため、とても長持ちします。
缶などに入れて上手に保存すると1週間くらい美味しくいただくことができます。
このようなパンは、冷めるのにも時間がかかります。
配達までにパンの熱が取れていないといけないので、半日前から作り始める夜シフトの仕事。 私は希望通り、大きなパンの担当である夜のシフトに入りましたが、とにかく、単位の多さにびっくりでした。
マイスターの所での大きなパン作りは、だいたい1日20〜30個だったのですが、
ここでは平日で700〜800個、週末にかけてはもっと増えて 1200〜1300個作るのです。
そして、1日に作る大きなパンの種類は、約15種類。
日替わりのものもあれば、毎日作るものもあります。 私がこのパン屋さんへやって来たのは、ヨーロッパ中が狂牛病で騒いでいる時でした。 その上、ドイツで狂牛病の牛が発見されて、消費者の肉食離れ、 一般の家畜農家への不信が高まっている時だったので、 BIOのお店はどこも大繁盛。 BIOの売上は2倍以上に跳ね上がり、BIOのお肉屋さんの売上はそれまでの実に4倍に達したそうです。 それまでBIOのお店に入ったこともなかった人達が、 BIO食料品の美味しさに目覚めました。 BIOのお店でついでにパンを買ってみた人が「美味しい!」と思ってくださったのでしょう。 工房で作るパンの数は、日に日に多くなっていました。 ドイツでは、クリスマス、お正月といった特別な日には、白いパンの需要が増えます。 現在では、むしろ全粒粉のパンの方が値段が高かったりするのですが、 昔から白いパンは「高級」というイメージがあるのです。 日本でも、今では健康のために麦飯や玄米を食べる人がいますが、イメージで言うとやはり白いご飯は「高級」な感じがします。 ということで、私達の店でも、クリスマスには例年通り黒パン需要は減る、という予測のもとに、
シフトのリーダーは実家に帰省してしまっていたのでした。 しかし、このBIOブームはとどまる所を知らず、2001年3月まで注文は右肩上がりに増えて行ったのでした。
マスコミは、狂牛病、豚肉スキャンダル、危険なサーモン・・・
なんていう記事を書いては、次々と消費者の不安感を掻き立てていたのですが、
次の見出しは ところで、BIOブームでの大変なことばかり書いてしまいましたが、私は転職して本当に良かったと思っていました。 なんと言っても、同僚が皆とても熱心な人ばかりで、何気ない会話からも本当に勉強になることが多くありましたし、 私の苦手分野だった、黒パン、ライ麦パン作りが好きになりました。 さて、職業訓練校では、2001年に入って早速、夏の国家試験の話が出るようになりました。 最初は、やんちゃ坊主ばかりという印象だったクラスメートも、ずいぶん頼もしくなりました。 彼ら、勉強はあまり好きじゃないみたいだけれど、実習になると本当に生き生きして、まじめで、かわいい子達です。 夏の試験に落ちてしまうと(毎年30%弱落第します)、修業を半年長くしなければいけなくなりますので、やはり皆真剣です。 そして3月、ついに卒業試験の申し込み案内が告知されました。 |
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