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  について

 "ザ・ブルー・ナイル"...........まさにイマジネーションを掻き立てられるような美しい名前だと思いませんか?あるいは変な名前のバンドだなあと思われましたか?ところが、ユニークなのは名前だけではないのです。ここでは彼らの紹介をしていくわけですが、その紹介を終えるころには、ますますブルーナイルの存在のユニークさがわかっていただけることでしょう。

 ところで、皆さんは「ミュージシャンズ・ミュージシャン」という言葉を御存じでしょうか?直訳すると、ミュージシャン受けのするミュージシャンということになりますが、要するにミュージシャンの間からその音楽がものすごく支持されている人たちのことをそう呼んだりするわけです。そしてなんと驚くべきことに彼らブルーナイルは、たった2枚のアルバムだけでその「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の地位を揺るぎないものとしてしまったのです。それでは具体的にどういった人たちから支持されているのかと言いますと......、ロビー・ロバートスン、ピーター・ガブリエル、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ、パディ・マクアルーン(PREFAB SPROUT)、リッキー・リー・ジョーンズ、アニー・レノックス、ロッド・スチュワート、スティーヴ・リリホワイト、エディ・リーダー、ダンカン・シーク、スティーヴ・ジャンセン(ex.JAPAN)、高橋幸宏、ムーンライダーズ、といった人たちになります。英米のポップミュージックに少し詳しい方であれば、きっと今挙げたミュージシャンの音楽の幾つかを愛聴していたり、あるいは素晴らしい音楽を作る存在として尊敬していることでしょう。しかし、そんな尊敬すべき人たちからさらに尊敬される存在となってしまったブルーナイルのことは、どうも一般のリスナーからはほとんど知られていないというのが現状のようです。実際、ブルーナイルはPREFAB SPROUTと並んで、よく「英国音楽界の秘宝」などと言われたりするのですが、それではどうしてそこまでマニアックな存在となってしまったのでしょうか。

 ブルーナイルを語るとき、必ず真っ先に目を引いてしまう事実......、やはりそれは、17年間に及ぶ活動のなかで、たった3枚しかアルバムをリリースしていないということでしょう。'81年に結成して以来、1st. を '83年に発表、そこから6年経ってようやく'89年に2nd. が出たものの、そこから3rd.('96)に至るまでがなんと7年間!確かにこれでは、よほど熱心なファンでなければその存在を忘れてしまうのも無理のないことでしょう。しかし逆に言えば、ブルーナイルの音楽は流行に色目を使ったようなものではないだけに、これだけのインターバルで出してきても全く色褪せない、普遍的な魅力に溢れているのです。実際、6、7年もの歳月をかけてじっくりと作り込まれた3枚のアルバムは、まったく手のつけようのないぐらいにまで丹念に描かれており、もはや絵画的と言ってもいいほどの完成度を誇っています。

 ただし、それだけ長い間ずっとレコード作りをされるというのは、レコード会社にとってはとんでもなく困った存在なのでしょう。前に所属していたレコード会社との契約問題でもめた結果、現在なおも最初の2枚のアルバムが全世界で生産中止になったままです。恐らくこのようなアルバムの入手のしづらさが、彼らの存在をさらに「秘宝」たらしめているのではないでしょうか。

 ここではっきりと言い切ってしまえば、ブルーナイルの音楽というのはいわゆるヒットとは無縁の世界にあります。いままでにヒットチャートを賑わしたことなどただの一度もなく、恐らくこれからも全くそういった音楽ビジネスとは無関係に、独自の活動をしていくことでしょう。事実、彼ら3人のメンバーは、スターになりたくて音楽を始めたわけではないので、アマチュアの頃と生活はあまり変わっていないそうです。しかし数少ない心あるミュージシャンやリスナーたちに熱狂的に愛聴され、支持されて、彼らはまるでスター・ミュージシャンのようなスタンスでもって、ピュアに響き渡るエモ−ショナルな音楽を作り続けています。

 冒頭で彼らブルーナイルについてユニークだと書きましたが、いわゆる時代の最先端のサウンドを取り入れたりしているわけではありません。そういうものしか追求しない人にとっては、彼らの音楽はきっと地味でつまらないものにしか捉えられないでしょう。けれども人生の真実を穏やかに綴った「うた」を心から愛することができる人にとっては、きっと一生の宝物となることでしょう。もしかするとあなたにとって、家族や友人、若さや希望、愛といったものと同じぐらい大切なものが見つかるかもしれません。

(Text by Hirofumi Takahashi)

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