“うちの”はるかはこんな子です

〜好き嫌い〜







LIGHT OF THE BAR ★好きな食べ物:サラダ。甘くないメロン。辛い料理。
 要するにさっぱりした、青くさいようなものが好き。
 子供の頃辛い料理の国を転々としていたため、激辛大王。
 わりと和食も好きらしい。



 【文例】
 はるかは果物なら、甘くないメロンが好きだ。
 はるかの苦手な甘味、それをほとんど感じさせない、しかしたっぷりと水気を含んだ、淡い緑色の果実がはるかは好きだ。はるかの好物のサラダにも似た青い匂い、渇いた喉を心地よく潤す水分、涼しげな色彩、どれをとってもいかにもはるかの好みそうなものだ。みちるの観点(世間の常識)からすると〃はずれ〃のメロンに目を輝かせるはるかを見るたびに、そのあまりのはるからしさにみちるは苦笑してしまうのだった。
 でも、そういう条件に該当する玉を探し出すのは至難の技だ。
<>(『未来まで待てない』掲載『Unripe Green』)<>



LIGHT OF THE BAR ★嫌いな食べ物:いっぱい。
 ・蛸(タコ焼きはみちるに蛸を食べてもらって、まわりだけ食べる。)
 ・甘いもの(特にチョコレート…)
 ・こってりしたもの
 ・もちろん納豆
 ・コーヒーは嫌いではないが、体調が悪いときは飲むと気持ちが悪くなるか、全く飲めない。

 【文例】

 秀一が考えを巡らせている間にこっそりと皿の中のあるものをはるかがよけているのを、我に返った秀一は目撃した。
「口先女」
「なんだと」
「〃おいしい〃って言った舌の根も乾かないうちから、残す算段か」
「仕方ないだろう、蛸が…」
と、言っている途中で、はるかの目つきが疑惑に険しくなった。
「…お前、僕が蛸が嫌いだって知ってた筈だ。わざとだな」
秀一ははるかの疑いの視線をはねかえすように瞳の光を強くした。
「心外だな。そんな姑息なことはしない。だいたい、お前、蛸は食べられるようになったんじゃないのか。
この間公園で蛸焼き食べてたじゃないか」
「まわりの部分は昔から好きだっただろ。あのときは蛸はみちるが…」
と、言いかけて、はるかはぱっと口をつぐんだ。秀一は薄く微笑んでいた。
「やっぱり〃お姉様〃がいないとだめか」
「そんなことはない。蛸さえ残せば、一人でだって蛸焼きぐらい食べられる。
今だって、蛸以外のものはちゃんと食べてる。極論を言えば、お前が僕の蛸を食べたら、僕の皿はきれいに片付くんだ」
(『南天衝突』掲載『時の単価を下げる方法』)




 短い日が落ちてゆく公園のベンチに座る二人の足元には、それぞれ大きな紙袋が置かれている。聖者の名を冠せられた今日の日にことよせて二人に贈られたチョコレートがずっしりと詰まった紙袋は、二人のこの果たし合いの元凶だ。
 大きな紙袋を提げて夕暮れの風の中を対峙した二人は二人とも、甘いチョコレートが昔から得意ではなかった。そして二人が二人とも、相手のその弱点を昔から良く知っていた。ろくに食べられもしないのに重い荷物を御苦労様だな、秀一。その言葉はそっくりお前に返すよ、好き嫌いはお前の御家芸だからな、はるか。そんなやりとりで口火を切った二人の口ゲンカはチョコレートを食べられるの食べられないのという争いになり、それなら食べてみせろよ、ああ食べてやる、だからお前も食べろよ、という果たし合いへと発展した。
(『南天衝突』掲載『セピア色の煉獄』)



LIGHT OF THE BAR ★好きな食器:きれいな塗りのお箸。
 きれいな塗りのお箸が大好き。大嫌いな人間とごはんを食べている最中でも、一時的に機嫌が良くなる。


 【文例】
 そのはるかの視界に、美しい皿が滑り込んだ。
 料理が運ばれてきたのだった。
 和食に欧州風のアレンジを施した料理には、美しい塗り箸が添えられていた。その塗りの艶に心が動いたのか、はるかの表情が少し変わった。お天気屋め、と秀一は心の中で一応ひとつ悪態をついてから、はるかの心を動かした手触りの良い箸を取った。
「いくらきれいでも、観賞用じゃないんだぞ」
箸の持ち方もわからないのか。
 はるかは突差に身を守る武器を取るような勢いで箸を取り、秀一に決して文句をつけさせないきれいな持ち方をしてみせた。
(『南天衝突』掲載『時の単価を下げる方法』)




LIGHT OF THE BAR ★苦手な科目:現国、というのは代表。すべての現国的なもの。
 古文でも漢文でも、登場人物の心情を述べよ的な問題は壊滅的。特に恋愛沙汰がからむと、点数をもらったためしがない。女の子に次々とちょっかいを出すあたり、光源氏と似たようなもんじゃないかと思いきや、源氏物語などははるかにとって全く理解できないシロモノ。



【文例】
 規則がわかればまあなんとかならないでもない文法問題はまだ救われているが、問題文の主人公であるプレイボーイの心情等について問われた問題は全滅に近かった。なかでもひときわ大きなバツがついているのは、この問題文のジャンルを尋ねた設問だった。もののけだの生霊だのが飛び交うその話を、古文の教師があまりにもうれしそうにおどろおどろしく語っていたのが記憶から離れず、選択肢の中から思わず〃怪談〃を選んでしまったそのはるかの解答に対しては、問題の教師の赤いペン文字ででかでかと〃人を信じるのもたいがいにしなさい〃とコメントまで添えてあった。
(『南天摩擦』掲載『白いハートに触れないで』)



LIGHT OF THE BAR ★嫌いな人間:南野秀一。
 幼なじみで超仲の悪い南野秀一が、この世で一番嫌いな人間。
 接触すると即けんか。




 【文例】
 はるかは十七本の白薔薇の花束を抱えて一月の道を歩いていた。
と、向こうから、ものすごくいやな奴が歩いてきた。
 誕生日の朝に会いたいような人間では絶対にないので、できればすれ違うのも御免被りたかったのだが、まわれ右をしたり別の道を探したりしたらまるで道を譲ったような不愉快極まりない形勢になるので、はるかはしかたなく、直進した。
 はるかがたぶんこの世で一番嫌いな人間である、幼馴染み(もちろんはるかには馴染んだなどという認識は全くない。金輪際ない)の南野秀一は、すれ違う瞬間に独り言のように、こうつぶやいた。
「朝から花束抱えて、か。 さすがにお前はやることが違うな」
秀一のこの言葉には否定的な言葉は別に入っていなかったのだが、秀一の声が、表情が、いや秀一の存在全体が、白い薔薇の花束を抱えたはるかなどこの地球上から抹殺してやるといわんばかりの否定的なニュアンスをみなぎらせていた。 はるかは、もちろん腹を立てた。
「僕が朝に花束を抱えていようとクマのぬいぐるみを抱えていようと勝手だろう。 それに、今日の僕には薔薇を抱えていてる理由がちゃんとあるんだ。 今日は、僕の誕生日だからな」
(『自在な夢の確実な揺籃』掲載『聖・禁断の白薔薇』)



  守峰は現在もがんがんはるか小説を書き続けているため、設定はどんどん増える見込み。
  このコーナーも今後とも増補アップデートしていきます!