Duo-Sonic/Musicmaster 各パーツの詳細

【50年代ヘッド比較】 左から56年製Duo-Sonic、58年製Musicmaster、58年製Duo-Sonic
ロゴの内側の色はDuo-Sonicが金色、Musicmasterが銀色です。こうして見るとナット幅の違いが判りますね。56年製Duo-Sonicが42.0mm、58年製Musicmasterが39.5mm、58年製Duo-Sonicが38.7mmです。


【60年代ヘッド比較】 左から63年製Duo-Sonic、64年製Musicmaster、64年製Duo-Sonic
ストリング・ガイドの形状が50年代と異なるのはストラト等と同じですが、59年以降追加されるスペーサーはDuo-Sonic/Musicmasterには追加されません。64年半ばにモデル・チェンジしてからのDuo-Sonic/Musicmasterは全てトランジション・ロゴになりますが、右端の64年製Duo-Sonicのようにトランジション・ロゴが付いているOriginal Duo-Sonicはレアですね。
ナット幅は63年製Duo-Sonicが38.8mm、64年製Musicmasterが38.7mm、64年製Duo-Sonicが39.3mmです。


【ヘッド裏比較】 左から56年製Duo-Sonic、58年製Musicmaster、58年製Duo-Sonic
ペグは3本ともシングルラインのクルーソンデラックスですが、ツマミ部分が白いプラスチック製のモノが使われています。50年代初期〜57年頃までのツマミは縮みやすく脆い材質が使われているものが多く、干したシジミのようになって割れてしまっている個体も多いです。50年代と60年代のツマミは一見同じように見えますが厚さが異なり、62年頃までのツマミは薄く63年以降のものは厚くなっています。
6弦ペグの左側にはネック外形をカットする際にテンプレートを取り付けたネジ穴を埋めた痕があります。
画像では判りにくいですが、56年製のネックシェイプはVシェイプ、58年製の2本はCシェイプです。


【ネック付け根比較】 左から56年製Duo-Sonic、58年製Musicmaster、58年製Duo-Sonic
ネックジョイント部には鉛筆によるマーキングがありますが、56年製はN?、58年製の2本はDと書かれているように見えます。作業担当者のイニシャルでしょうか?


【ネックdate】 左から56年製Duo-Sonic、58年製Musicmaster、58年製Duo-Sonic
3本ともネックジョイントスクリューには木ネジが使われています。
(62年以降は全てネジが切られたタッピングスクリューに変更されます)


【50年代ボディアップ】 左から56年製Duo-Sonic、58年製Musicmaster、58年製Duo-Sonic
小さく見えるDuo-Sonic/Muscimasterのボディですが、実はストラトのボディのネックジョイント部を上側に3センチ程伸ばして幅を1センチ程狭くしただけです。厚さはストラトの約45mmに対して39mm前後と、5〜6mm程度薄くなっています。
経年変化で変形することのないアルミ製ピックガードはブリッジおよびネックエンドに対して寸分の隙間も無くピッタリと納まっており、テンプレートの正確さが伺えます。
56年製はピックガード表面のゴールド塗装が弱く非常に剥げ易いようですが、58年製では改良されているらしく剥げにくくなっています。
volume/tone knob、ブリッジサドルはテレキャスターと共通パーツです。


【60年代ボディアップ】 左から63年製Duo-Sonic、64年製Musicmaster、64年製Duo-Sonic
左のDuo-Sonicのボディはマホガニー2ピースです。中央のMusicmasterはアルダー3ピースです。どちらも同じトランスルーセント・レッドですが、マホガニーボディの方が下地にクリアを吹いたあと赤い着色層を塗装しているのに対して、アルダーボディの方は下地から赤い塗料で染めるように塗り重ねられているという違いがあります。
右の64年製Duo-Sonicはソリッド(塗り潰し)の赤色で、ボディ材は・・・・・・hardwoodです。


【56年製キャビティ】
青い円で囲んでいるのがボディの裏面を塗装する際に既に塗装済みの表面を浮かせておくための釘を打った痕(Nail hole)で、56年製ではストラトキャスター同様、4箇所にあります。


【58年製キャビティ】
58年製では同時期のストラトキャスターと同じく3箇所に減り、位置も変わっています。


【50年代と60年代のキャビティの違い】
59年半ばのマイナーチェンジによりローズ指板・プラスチック製ピックガードという仕様に変更されますが、8本から12本へと増えたピックガードの留めネジに対応するためにキャビティの形状が若干変更されています。



【アッセンブリー】
左上)56年製Duo-Sonic、右上)58年製Musicmaster、左下)58年製Duo-Sonic、右下)63年製Duo-Sonic
事前にジャックも含めた全てのパーツをピックガードに取り付けることで組み込み作業を簡略化することに成功しています。Duo-Sonicではスイッチ部分でピックガードにアースを落としていますが、これによりスイッチからPOTへの長いアース配線を省略出来るという大変合理的な設計になっています。
一般的には出力が弱いと言われているピックアップの抵抗値は5.20〜6.08kohmと、意外にも同時期のストラトのピックアップと殆ど同じです。
ピックガード裏面を良く見ると56年製と58年製の色は異なっており、表面加工に違いがあることが判ります。



【キャパシター/POT】
左上)56年製Duo-Sonic、右上)58年製Musicmaster、左下)58年製Duo-Sonic、右下)63年製Duo-Sonic
キャパシターは56年製Duo-Sonicは平たいタイプのコーネルダブラー、58年製Musicmasterには同年代のアンプに良く使われている黄色いASTRON製モールドタイプ、58年製Duo-Sonicにはテレキャスターと同じコーネルダブラーの円筒形が使用されています。容量は3本とも0.05MFDですが、同じ年代なのにもかかわらずDuo-SonicとMusicmasterのキャパシターが異なるというのが興味深いところです。61年以降は右下のようなセラミック・ディッシュ・タイプが共通で使われるようになります。
POTは56年製がstackpole製、58年製の2本にはCTS製が使われています。60年代は底面に丸い溝付きのstackpole製が使われるようになりますが、いずれもソリッドシャフトで抵抗値は250kohmです。


【ブリッジ】 左)56年製、右)58年製
テレキャスターと同様、56年製には溝のないタイプ、58年製には細かい溝があるタイプが使用されています。高さ調整のイモネジもテレキャスターと同じくサドルを傾けてセッティングするために両端の2本のみ短い物が使用されています。
どちらにもブリッジの1弦側に弦の切れ端が挟み込んであるのがお判りでしょうか?
ピックガードを取り付けると裏側にこの弦が接触し、弦アースがとられるという合理的な方法ガとられているのです。(上のピックガードの画像を見ると、弦があたる部分のピックガードの塗装が剥がされているのが判ります)


【ブリッジカバー、ピックガードスクリュー】
ブリッジカバーはDuo-Sonic/Musicmaster専用設計で、装着した際にピッタリとフィットするようピックガード分の厚みを逃げるための段差が付けられています。ピックガードの留めネジは他の機種同様、56年製は木ネジ、58年製はタッピングスクリューです。


【ケース】 左から56年製、58年製、59年製
Duo-Sonic/Musicmaster用ケースのインナーは他の上位機種用のケースと同じく年代によって材質が異なります。56年製は赤い毛足の長いタイプ、58年製は黄色で毛足の短いタイプ、59年製はオレンジ色で毛足の短いタイプです。


【ケース】 左から56年製、58年製、59年製
外装はツイードのような丈夫な生地ではなく、壁紙として使われるような薄いビニール製のものが貼られています。エッジの革は他の上位機種用ケースと同様、50年代は薄い茶色ですが、59年以降は濃い茶色になっています。
また、壊れやすい材質のハンドルが付いていた個体が存在するため右端のようにハンドルが欠品になっているケースも多いようです。




<Duo-Sonic/Musicmaster 数値データ一覧表 >

比較項目
'56年製
Duo-Sonic
'58年製
Musicmaster
'58年製
Duo-Sonic
'63年製
Duo-Sonic
'64年製
Musicmaster
'64年製
Duo-Sonic
Serial No
167xx
296xx
309xx
L216xx
L366xx
L409xx
Neck Date
10-56
9-58
10-58
3/4 OCT63A
3/4 MAR64A
3/4 MAR64A
vol pot date
304620
137.825
137.825
3046303
3046426
3046422
tone pot date
304620
137.825
137.825
3046303
3046426
3046422
Front PU抵抗値(kohm)
5.57
5.20
6.08
5.61
5.46
-
Rear PU抵抗値(kohm)
5.66
-
5.93
5.64
-
-
capacitor
C.D ZVW1S5
.05 MFD
100VDC
ASTRON
.05 MF
200VDC
C.D ZSW1S5
.05 MFD
150VDC
.05 MFD
50VDC
.05 MFD
50VDC
.05 MFD
50VDC
weight(g)
3015
2785
2780
3220
2680
2800
ボディ厚(mm)
38.5
39.0
39.5
39.1
39.0
38.3
ヘッド厚(bottom/top)
14.5/14.8
13.9/14.2
14.1/14.5
14.0/14.2
14.9/14.7
15.5/15.3
ナット幅(mm)
42.0
39.5
38.7
38.8
38.7
39.3
ネック厚(1fret)
23.0
20.2
20.6
20.6
20.4
20.6
ネック厚(5fret)
24.1
22.2
22.7
22.6
22.0
22.7
ネック厚(12fret)
25.3
25.3
25.2
25.2
25.1
25.1



今回の特集ではOriginal Duo-Sonic/Musicmasterをご紹介しました。
一般的にはショートスケールのスチューデント・モデルということで興味をお持ちの方は極めてレアな存在だと思います。
しかしその高い工作精度や各部に盛り込まれたアイデアを見ると、フェンダー製品としてのクオリティを保ちつつコストダウンをも実現させるんだというフェンダー社としての意気込みが感じられ、安かろう悪かろうの単なる廉価版ではないということが判ります。
ジミ・ヘンドリックス氏がDuo-Sonicを使用していたのは有名な話ですし、グレッグ・オールマン氏が最初のギターとして母親に買ってもらったMusicmasterを兄弟で取り合いしていたというエピソードもあります。
ちょっと小ぶりで可愛いOriginal Duo-Sonic/Musicmaster・・・。手ごろな価格でPre-CBSフェンダーを味わうことができる最後のギターになるかもしれませんね?



(完)

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