70年代、80年代は、アニメもはじけていました。既にカラーアニメは当たり前となり意欲的な作品が多かったように思います。外国からも有名なアニメが入ってきました。ポパイ、スパイダーマン、トム&ジェリーなどです。
手塚治虫氏や石ノ森章太郎氏亡き今、今一度劇画隆盛の時代にアニメというものを見直してみよう!、と大上段に構えるわけではありませんが、想い出をひもといてみたいと思います。
ジャングル大帝
ライオンキングにすっかりしてやられた感がありますが、誰が何と言おうとジャングル大帝は永遠です。
この主題歌は、クラシック界のテノール(バリトン?)歌手が歌う無歌詞のものです。「アーアーアーアー」というあれですね。しかしこのシンフォニックで壮大な曲はどうでしょうか。昔の我が家のちっぽけなテレビには勿体ないほどのスケールでありました。今もう一度大画面、ステレオ(これは無理か?)で見ることが出来たらまたあらためて感動するでありましょう。今のようにいつのまにか歌謡曲とごっちゃになっているような主題歌とは一線を画しています。映画音楽のように、作品と完全に一体化している音楽でした。
アニメは子供が見るからこそ手抜きをしない、という手塚治虫を始めとする作り手の思いがこれだけ込められている作品はなかったと思います。表情が豊かで多種多様の動物達を描くだけでも相当の手間であったでありましょう。それでもストーリーにも人間による環境破壊への警告もあって豊かな内容であったと今さらながら思います。
人間を成長させるのに、別に人間自体を主人公とする作品にこだわる必要はない。人間を外から見ることによって逆に人間の生き方そのものを考えさせることができる。そういう思想も垣間見える、従来の枠を越えた世界に誇れる名作でありました。
不思議のメルモ
主題歌は、女の子がたどたどしい歌い方をしているところがなんとも新味を出しておりました。その割にはリズム的にも難しい曲でしたね。
アニメの内容としてはちょっとお色気も入って性教育的な味もある一歩進んだものではありました。
ヒロインのメルモがお父さんの残した青(若くなる)と赤(年をとる)のキャンディをつかって事件を解決するという魔法シリーズの一つではありましたが、このキャンディをどれだけ飲むかによって到達年齢が変わってくるというのが新しい試みでした。
しかもキャンディを半分にしたりすると動物になってしまったり、そこまでいくと何が何やらわかりませんでした。
メルモが大人になったときに美人のグラマーなお姉さんになるのはお決まりでしたが、手塚さん特有のちょっと冷たい感じのする知的な顔立ちが結構良かったですね。大きくなっても服が破れないのは、永井豪の領域を侵さない配慮だったのでしょうか。
キャンディ・キャンディ
ハープシコードの華やかなイントロで始まる主題歌は今もなお新鮮な響きです。私もシンセサイザーの走りだったころに音色をハープシコードにしてはこのイントロを弾いてみたものです。
内容は孤児であるキャンディが、とある貴族(?)の家で騒ぎを起こしながら成長していく物語で、アンソニーとかテリーとかのかっちょいい男性が出てきたり意地悪な令嬢が出てきたり、言ってみればお決まりの少女漫画なんですが、それでも主人公がそんなに美人でないこと、決してハッピーエンドだけでは済まないところ、数々の謎がちりばめられているところなどによって結構飽きさせないで見せてくれました。
キャンディーの髪形をまねしたがった女性もいたのではないでしょうか。今は髪を染めるのも抵抗はないようですが、あの頃は全く夢のように憧れていただけなのでしょうね。
最近、ひょんなことからこのアニメの話題がメディアに流れました。原作者と漫画家の著作権上の訴訟らしいのですが、あまり現実的な話で夢を壊さないでほしい、と思った方も多いのでは?
タイムボカン
主題歌からして、なんだか力が抜けるようなのんびりしているような歌でした。
ダイナモンドという宝物を、主人公とヒロインが、マージョ(ドロンジョはヤッターマンの方ですよ!)、グロッキー、ワルサーというワル三人組と、タイムマシンを使いながら奪い合うというものでしたが、歴史上の出来事と無理やり結びつけられていたりして、企画としてよく出来ていたと思います。
特にワル3人組は傑作で、必ず最後は負けてガイコッツだけが残り、「おしおきだべえ〜」ということで落ちがつく。この後もキャラクターはそのまんまで後々のシリーズに受け継がれていくことになります。「このスカポンタン!」「やっておしまい!!」「アラホラサッサ〜」という言葉も流行りました。エンディングの歌もよかったですね。
このシリーズはキャラクターの宝庫で、クワガッタン(くわがたのメカ)とかドタバッタン(バッタのメカ)、豚もおだてりゃ木に登る(これから発生した歌もあった)、今週のビックリドッキリメカ、など、タツノコプロのまさに独壇場といったところ。おらあグズラだど!、カバトット、マッハGo!Go!Go!、みなしごハッチ、ハクション大魔王、ガッチャマン、ケロッコデメタン、新造人間キャシャーン、破裏拳ポリマーなどの名作を生んだところですからねえ。
アパッチ野球軍
これは強烈でした。「俺たちゃ裸がユニホーム」って着てないっての。エンディングは「集まらねえとハッパかけるぜ」ってこれもそんな無茶しないでくれという内容。まさに70年代にしかあり得ない歌詞でしたね。
内容は、都会から若い男の先生が、ダム工事(?)かなんかの飯場にある学校に赴任して、荒くれ者の生徒たちを野球チームをつくってまとめあげるという、常套パターンでした。
これもキャラクターがすごくて、猿みたいなすばしっこいやつや、熊みたいな樵の子とか、豚みたいな女性とか、とにかく動物のような異様な奴しか出てこない。しかもピッチャーになるのは、何をまかり間違えたのか西部劇のガンマンみたいな格好をしているやつ。ナイフ投げが得意で、そこを見込まれてピッチャーになるわけだが、ほんと今見たら抱腹絶倒しちまいますよ、これは。
ただ、こういう荒々しい(絵も粗削りだった。いつも微妙に顔が違ったし)マンガも受け入れられるくらい、みんな必死に試行錯誤していた時代だったと思います。まだモラルだ暴力だ教育的でないとか、PTAも騒がなかった時代の落とし子だったのでしょう。
宇宙戦艦ヤマト(真っ赤なスカーフ)
これは、「地球滅亡の日まで あとXXX日」というテロップが流れた後に続くエンディングテーマ。「真っ赤なスカーフ」というバラード調のものですが、これがなんともいいのですよ。
ヤマトを見送り、いつか帰る日を待ちわびている地球人の想いが、ぐっとくるんですね。
ヤマトについては前の企画で語ったのであまり書きませんが、名シーンを挙げるとすれば、木星の浮遊基地を初めて波動砲で吹き飛ばすシーン、小惑星帯通過の時にヤマトの周りに岩石を付着させて相手をまくシーン、ドメル将軍の七色艦隊の必殺兵器ドリルミサイルがヤマトの艦首に打ち込まれた時に、真田さんとアナライザーがドリルを逆回転させて危機を脱するシーン、ガミラス星の硫酸の海から脱出する際に第三艦橋がもげてしまうシーン、そしてガミラス星を滅ぼすために再び硫酸の海に潜航し、マグマ溜まりを波動砲で爆破するシーン、森雪が放射能に侵される艦内を守るためにコスモクリーナーを動かすシーン(「だって だって古代君が死んじゃう!!」は胸がキュンとした)、そして何よりも地球に戻ってきたときにもはや死の床にいた沖田艦長が「地球か 何もかも皆 懐かしい...」といって言切れ、医者の佐渡酒造(いい名前だよねこれ)先生が入ってくるなり敬礼するシーン。そうそう、ガミラスからの遊星爆弾が次々に打ち込まれて荒廃していく地球のシーンも背筋の凍るような恐怖感を煽っていました。(なんだ結構一杯語っちまった)
本当によく出来たアニメでした。
フランダースの犬
ああ、出ちまいましたよ。この必殺泣かせるアニメの決定版。もうこうして書いているだけで目が潤んでしまう。ちなみにこれはハイジと同時間帯にやっていた方です。後に日本テレビ系で放映されたものではありません。(ちなみにドイツ語が入るちょっと歌うのが難しい主題歌は、ここでただで聞くことが出来ます。)
もうシチュエーションからして泣かせます。おじいさんとネロが二人暮らししてほそぼそとミルクを売って暮らしているのですが、あるときにパトラッシュが飼い主にいじめられているのをみかねて引き取ります。だんだんパトラッシュが馴れてきてミルクを積んだ車を引いてくれるようになります。ネロの友達はアロア。水車小屋をもつ金持ちの娘でとってもやさしいのですが、この父親がまたケチで威張っていて貧乏人と娘がなかよくしているのが気にくわない。ネロにはたった一つ絵がうまいという才能があった。おじいさんが死んでしまうという哀しみも乗り越え、絵の才能をやっと認められそうになったころ、事件は起きる... ああもう可哀想で書けないよ。
ルーベンスの名画が見られると聞いて、もはや食べるものがないネロは吹雪の中教会に向かいます。パトラッシュも異変に気づいて教会に急ぎます。そしてとうとうネロは名画を見ることが出来る。パトラッシュがやって来て、「パトラッシュ ついに絵をみることができたんだよ なんだかとってもねむいんだ...」
ネロとパトラッシュは天使に導かれておじいさんのいる天国へと旅立ってゆくのです。
ただ、日本でこれだけ受けているというのに、ヨーロッパでは知っている人はほとんどいないとか。不思議な話です。
いかがでしたでしょうか。想い出が蘇ってきましたか?
アニメの世界では、日本は世界でもトップレベルであるということです。緻密な描画、写実的な主人公達、そして大人でも満足できる内容の深さ。まさにその最も充実した作品群をリアルタイムで見ることが出来た私たちは幸せ者だったと思いませんか?
この企画も第二弾を予定しています。それではまた会いましょう。