王者の星が俺を呼ぶ!!(侍ジャイアンツ讃歌)

 さて、ミレニアムジャイアンツということで、とにかく盛り上がっちまえ状態の読売巨人軍ではあります。
 今年(2000年)の開幕前に、工藤投手から「侍ジャイアンツが一番好きで、テーマ音楽にしたい」というスポーツ記事が出ました。
 そう、今を去ること20年位?に、巨人の星やアストロ球団などにはさまれた期間に、少年ジャンプでまぶしく輝き、そしてテレビアニメでも異彩を放つ大魔球ショー的な番組がありました。

 その名は「侍ジャイアンツ」。同じ梶原一騎原作ながら、巨人の星の大河ドラマ的な重さをなくして、とにかくサービス精神旺盛の反則ありのエンターテインメント巨篇。こういう番組を1年も放送していた時代が懐かしい。

 ということで、今回は侍ジャイアンツの番場蛮が生み出した魔球の特集です。

 実はコミックとアニメでは、結末が180度違う(コミックでは急死、アニメではワールドシリーズMVP)のだが、ごっちゃになる危険も省みずいきまあす。曖昧な記憶も不安あるけどね・・・


ハイジャンプ魔球
 ま、とにかくボークです。ハイ。
 それでもいきなりマウンドから飛び上がったら驚きますわな。しかもその高さが番場蛮の身長以上っていうんですから、もう人間ではありません。そこから一体何故豪速球が投げられるかはさておいて、この「落差の恐怖」は八幡太郎平がヒントを与えたものでした。

 この特訓が、(他のもそうだったけど)拷問でした。確か、番場の幼なじみのリカ(顔が峰不二子とだぶるなあ)がオートバイで、後ろ手に縛られている番場に突っ込んでくるというもので、番場が「殺すつもりか!!」といいながらしょうがなくてジャンプしてよけるというもの。そんなの多摩川グラウンドでやるなっつの。このリカという女が最後まで番場の心をかき乱すいい役なんだよねえ。

 この魔球を打つ練習に、ライバルの眉月(ヤクルトね)が、神社の階段の下でバット(的が描いてある)を構えていて、階段の上から弓の名手かなんかが弓を射ってくるのを打とうっていうんだけど、いくらなんでもそんなに落差があったのかえ?いずれにしてもこれで筋肉かなんか痛めたと思うんだけど、これは巨人の星で大リーグボール1号を打つために鉄球で練習した花形と似てますな。キャラもかぶってるし。

 ジャンプに入る場合、コミックでは右足を高く上げる(左投手だからね)反動でジャンプするのに対し、アニメでは軸足を折り曲げてから伸ばす反動を利用する。後者は、小生が何度も試したが、やはりこれでは腰も足首も痛めてしまいますな。ま、確かめている私も私だけど。

 コミックでは、バッターが投手へバントで小フライを打ち上げることで、ジャンプから降りる体制で捕球できない番場を苦しめた。それを防ぐためにサード長嶋(本物の)がカバーに入るのだが、着地に伴う土煙でボールが見えなくなるという問題が発覚(この辺、大リーグボール2号との関連もありそう)。急遽長嶋が蛮を肩車キャッチしてから捕球するという対策をとるも、結局これが魔球の終焉となった。

 テレビでは大砲万作(この名前もなあ・・・飛騨高山出身だしなあ・・・中日ね)がバントのまま振り抜くということで粉砕。この特訓も、大砲が斧を持って、上流から流れてくる木を一気に真っ二つにするというもので、面白い。

エビ投げハイジャンプ魔球
 これはアニメオリジナル。要はジャンプしたてっぺんで後ろにしなってから投げるので球威が増すという次第。よくストライクが入るな。それにそんなに滞空時間があるのかいな。まあ、それはおいといて。

 これは球種が読めないとかいうレベルではなくて、かなりバッターにも恐いはず。それはそうだ。手元が狂ってデッドボールになったら本当に死んじゃうぞ。

 これを破ったのはウルフチーフ(阪神ね)。スパイクをやすりで磨いて殺人スライディングをするとんでもない奴で、最初に蛮とけんか野球で不思議に意気投合した。ヒャッホーとかいってスライディングしてくる。それだけでも不気味でこわいな。
 蛮と一緒にジャンプして着地したところでタイミングを合わせて打った。

 (なお、同じ打法は、コミックでハイジャンプ魔球においてウルフチーフが試して、こちらは失敗している。その失敗の理由は、長嶋がバットとボールの重さの違いで説明した。なんのこっちゃ。)

大回転魔球
 これはコミック、アニメとも両方ありました。
 特訓方法は、コミックでは、八幡がモーターボートで蛮をロープで引っ張り回してぐるぐる回る。これじゃ立派な水攻め拷問だ。
 アニメでは、蛮が樽の中に入ってそれを八幡が坂から転がり落とす。これも拷問だ。今の時代になかなかこのアニメが再放送されないのもわかるような気がするな・・・

 なお、コミックでは、蛮の妹のユキが、自暴自棄になって海に飛び込んだ蛮を助け、「おにいちゃんの仕送りは一円も使わずに貯金している。生活は私が海女をして稼いでいるから大丈夫。」といって蛮の目を覚まさせる。 いい場面だ。

 ということで、何にせよマウンド上でぐるぐる回る。バッターはそれだけでも驚くが、さらに残像作用によっていつどこからボールがくるのかはわからない。王も長嶋も打てなかった。(当たり前だ)

 しかし、これも残念ながらボークだ。コミックでは、上げた右足の反動を横方向にして小さいジャンプをしてから回転する。アニメでは、両手を広げてから一回逆方向にねじってから(ウォーーーと叫んで)回転する。そう、野茂のトルネードと一緒なのだ。野茂が大リーグに行ったころ、何度「大回転魔球と一緒だな」と友人達に言ってけげんな顔をされたことか。 でも似ている。

 コミックでは、この魔球を一度、金やん率いるロッテがオープン戦で対戦している。その時、金やんは「回転動作を見るから幻惑される。球は必ずストライクコースを通るんや。投球を始めたら下を向いて球が来たら叩け」とバッターに指示する。
 しかし、この時、蛮はバッターの下を向く動作を見るや、即座にハイジャンプ魔球に切り替える。下を向いていても落差のある球はさすがに打てない。 コミックでは、投球動作の途中までは2つの魔球が同じであることを利用したトリックだ。
 この時、敗れた金やんは、すれ違い様に蛮に「おめでと」といい、蛮も「ありがと先輩」と答える。投手同志の思いが交錯するいい場面だ。

 これはどのように破られたか。
 コミックでは、大砲が蛮と同様に大回転して打つ。この特訓を大砲はベンチの中にカーテンで仕切って試合中にする。汗は滝のように流れてグラウンドまで。無茶するよなあ。これをさらにタイミングを外すために蛮が試合中に編み出したのが次のハイジャンプ大回転魔球・・・
 おっとその前にアニメではどうだったか。眉月が鉄球の練習をして打ちました。 まずバントの構えのままで球をとらえます。この時、底がツルツルのスパイクを履くことで、一旦バッターボックスの前から一番後まで球威で動かされますが、それで球の勢いを殺した後で「ウリァーーー」とバットを振り抜くのです。さすがに眉月は体がガタガタでした。(だから巨人の星と原作者が一緒なんだってば)

ハイジャンプ大回転魔球
 これはコミックだけのもの。
 大回転魔球を破って意気揚々の大砲に対して、蛮が窮余の策で打って出たのがこの魔球。大砲は、唖然とし、がっくりとして、「これではタイミングがとれません。監督、交代させて下さい」と去ってゆく。監督の与那嶺が「Ooooo!!!」と叫ぶ場面。

 この魔球については、かなり登場人物が出てきてにぎやかである。その中でも、明智学(予想通り東大出です。相手の球について難しい数学計算をして打つ!? 広島ね。)は、張本に耳打ちして方程式による打法に取り組む。ところが実は張本は実験台で、ピッチャーゴロに終わる。本当の対決は明智が長いバットを使って、自分自身をテコ(テコの原理のあれ、ね)の支点に使って見事に外野手の頭を抜くヒットを飛ばす。しかし、「生身の人間を支点にしなければならないのは失敗だった・・・」と明智は一塁ベースの直前でゲロを吐いて倒れてアウトになる。

 これを倒したのはジャンボ(大洋ね)。いつもにこにこしているが、こいつが筋肉を鍛え上げて(プロレス界からスカウトが来るくらい)、とてつもなく重いバットで、コツンと当てるだけで破られてしまう。あっけないものだが、これが次のハラキリシュートにつながっていく。

ハラキリシュート
 これもコミックだけ。しかしこの魔球を何故アニメで端折ってしまったのかは謎である。まさに侍の魔球ではないか。それともネーミングがどぎつ過ぎたのか? 返す返すも残念である。

 ハイジャンプ大回転魔球を打たれてからは、シュンとなる番場だが、それに追い打ちをかけるのが例のリカである。「要するにあなたの魔球は飛んだり回ったり、単なる目くらましじゃあないの。」
 この言葉に、番場は真の戦いを挑む魔球開発に意欲を燃やすのだ。(最後の分身魔球はどうなんだ? ということはとりあえずおいておきましょう)

 とにもかくにも、前向きになった蛮は、オールスターでも代打で大暴れする。そこに死角があった。思いきってホームベースに飛び込んできた蛮に、捕手の野村(もちろん南海ね)がタッチする。セーフであったが、立ち上がった蛮は右足に痛みを感じる。親指を突き指してしまったのだ。野村がニヤリとする。 蛮のピンチ!! しかしこれが魔球の誕生のヒントになる。

 マウンドに上がった蛮は、突き指をかばうために、右足を地に付かせるときに小指から付くようになるがこれが理想的なシュート投球のフォームになった。蛮の球は、左バッターの腹をえぐるようなコースでミットにおさまる。ハラキリシュートの誕生である。(魔送球に似ているって? だから原作は一緒だっちゅうの)

 この球は、変化球なだけになかなか打たれなかった。打たれたのは、二段打法で明智と衣笠のコンビによる。一度バットの端にボールを当てて小フライにした後でもう一度バットを振る。 見事な反則である。 
 しかし動作が速すぎて(まるでオズマの見えないスイング!!)、その時点では審判の誰もが気づかなかった為、プレーは認められた。魔球は破れたのか??。

 ところが、これに対して、番場は、プレートに置く足の位置を数センチずらすだけで、簡単に打ち取ってしまう。「足したり引いたり掛けたり割ったりする数字を一つでも違えると計算の結果は違ってしまう」という八幡の一言がヒントになったのだ。

 この魔球は、自滅によって滅びる。バッターがバントの構えをして、一瞬球が捕手に見えないようにして、さっとバットを引く。威力のある変化球のために、どこに行くかわからないため、捕手は球をはじいたり体に当ててしまう。「番場、俺にも家族があるんだ。ハラキリシュートは投げないでもらえんか」 そう自軍の捕手に言われてはなすすべもなかった・・・

 閑話休題。
 この魔球には、居合の達人、太刀風兵庫が阪神の選手として挑戦している。技の名は「介錯人殺し」。「介錯人殺し」とは、切腹を命じられた武士が、刀で介錯人の足を突き刺しそのまま逃げてしまうという邪道の剣である。(もちろん実在はしないだろう、と思う) これを使って、バットを切腹するように持ち、蛮の球をさらに勢いを加えて捕手の足下や膝元にぶつける。すなわち、投手ではなく捕手をつぶして、最終的に相手チームが試合続行不能にしてしまおうという魂胆だ。最終的に八幡の機転で敗れるが、なかなか異彩を放つキャラである。

分身魔球
 ここからコミックとアニメでは全く違う道をたどる。いわば暗と明である。

 最初にコミックから。結局は二段フォーム打法により破られたようなハラキリシュート。これを逆手に使う方法はないだろうか・・・その結果生まれたのが分身魔球だ。不思議なことに説明も何もなしに突然魔球は完成する。ただ、球を握りつぶすという二段モーションであること、体力を以上に消耗するということ以外には謎だらけである。
 蛮は、もう何かに取り憑かれたように、毎日連投を川上監督に志願する。V10を悲願とする監督は情を捨てて蛮を酷使する。

 最期の時は、大砲の打席の時だ。もはや心臓が悲鳴を上げて、分身も2つ位になり大砲は「これなら打てる」と確信する。しかし蛮が全力を振り絞って投げた魔球は、うなりを上げて分身して大砲は三振する。試合終了。喜んでマウンドにかけよるナイン。八幡は突然叫ぶ。「蛮は、蛮は死んでる!!」。そう、体力の限界を超えた蛮はマウンド上で大往生したのだ。蛮この時19才。
 このショッキングな結末は、「巨人の星」を超えるものがあり、幼い私にも受け止めるのには時間がかかりました・・・

 さて、アニメである。大回転魔球を打たれた番場は、八幡と二軍に舞い戻る。同僚達の冷たい目。ある時、やけになった蛮は、寮の窓から、一部が欠けた皿を、蛮をバカにしている同僚達に投げる。その時、皿は思わぬ不規則回転をして、いくつにも分身して見えるのだった。蛮はヒントを得たとばかりに喜ぶが、重大なことに気づく。
 「八幡アニキ。どうやってこの固いボールを変形させることが出来るっていうんだ」。蛮は途方に暮れてしまう。

 蛮はとある島に一人旅に出ていこうとする。心配して後を追う八幡。八幡が自分を犠牲にしてまで尽くしてくれることにも不満があった蛮は振り切るように出ていく。
 蛮は船上で、偶然にも武道家と意気投合する。武道家は、目の前で一瞬のうちに硬球を潰してみせる。「これだ」 蛮は即座に弟子入りを志願する。ということでまたまた特訓になるのだが、これも指先だけを鍛えるということで相当な無茶をするのだった。
 ところが最後の最後になっても球を潰すまでいかない。一瞬に力を集中することが出来ないのだ。とうとう耐えきれなくなって蛮の前に姿を現す八幡。武道家との出会いも八幡の差し金だと知った蛮は怒りに震え、ついに球を左手の親指と人差指だけで押しつぶす。魔球の誕生であった。ちなみに、この武道の名前は「じねんしゃくりき法」(どう書くんだ?)。

 喜ぶ2人に、もう一つの難題が持ち上がる。「この球をどうやって捕るのだ?」 魔球が完成しても捕手がとれなくては単なる暴投だ。付きあってくれる八幡ではあるが、いかんせん球はミットには収まらなかった。「せっかく魔球が完成したというのに・・・」蛮はふたたび絶望する。
 八幡はすまなく思いながら床につく。枕元には蛾が蛍光灯の周りを飛んでいた。それを見ていると、蛾は一匹だけというのにランダムに飛んでいるためと蛍光灯の光の加減でまるで何匹も飛んでいるように見えているではないか! これだ!と八幡は夜通し蛾を捕らえる練習をする。「ついに捕まえた!!」もう夜明けになっていた。(大リーグボール2号の捕球練習に似てるって? だから・・・略)
 「もう一度捕らせてくれ」、という八幡に蛮は投げる。しかし蛾とは違って、蛮の豪速球がうなりを上げて変回転をしてくるのだ。思わず八幡はよけてしまう。
 この後、すごいことを2人は考える。ボールへの恐怖感をなくさなければ。ボールに包丁を突き刺したものを蛮が投げて、それを八幡がボールのところで受け取る練習をするのだ。こりゃ殺人だー。とにもかくにも魔球は本当の完成をみることになる。

 とにかく、投げるときにいきなりきばって球を目の前でギュッと握りつぶしてオリャーーーーと投げる。ミットにおさまるころには変形が戻るのだが、おいおいこんな二段モーションありなのか、ランナーがいたら一塁から三塁までいっちゃうぞ、と思いをよそに、魔球の威力は抜群であった。

 ところが思わぬ落とし穴が・・・試合途中で雨が降ってきたときだ。ボールを握りつぶす時に指が滑って、変形が思うようにいかない。そうなったら単なるストレートである。簡単に打たれてしまう。なんてこった。

わしづかみ分身魔球
 これは魔球の一つというよりも、一工夫なのだが、分身魔球の欠点を補うために一回分かけていたので、一応独立したものと考えました。

 「雨に弱い分身魔球」。野外で野球をする限りは絶望的な欠点である。(その時代はもちろんドーム球場なんて想像だにしなかった) 蛮は、寮の風呂場でシャワーを出したその下でボールを握りつぶす練習をする。しかし何度やってもボールはつるりと滑ってしまう。途方に暮れる蛮。
 しかし、ヒントは簡単だった。風呂場で石鹸を持つときにはどうするか。鷲掴みにすればいいのだ。蛮は、親指と人差指だけでつぶす方法に固執していたのだ。全部の指で握りつぶせばもっと簡単につぶれるではないか。蛮と八幡はシャワーの下で抱きあって喜ぶのだった。

 これを破ったのがウルフチーフ。バットを横に固定しておいて、分身するボールの本体を見極めたら芯で捉える。結局は横方向の分身であるから、横に振るバットのどこかには当てることが出来るのだ。

縦分身魔球
 テレビアニメでの分身魔球の引っ張り方は異常なほどだ。きっとプロデューサーがよほどお気に入りだったに違いない。確かに一度ボールを変形させて投げるというのは絵になりやすい。しかも理論的にも分身原理はありそうだし・・・(ほんとかな)

 「バットは横にしか振れない」。このヒントは長嶋からの電話だった。蛮はアンダースローから下から上に腕を振って投球する。これではもはやウルフも打てない。これもなかなか絵的にもグーな魔球である。投球はもはや二段どころか三段モーションだ。審判は一体どうしちまったんだ。

 これを打ったのは、ワールドシリーズでの大リーグの選手。バットを縦になるように振ったのだ。どうやったかって? もう覚えていません。それにしても、大リーグの選手なら何でも打っただろうなんて、いかにも当時らしい。今のように日本人ピッチャーが通用するような時代なんて想像もできなかったのだ。

 それにしても、この後、斜め分身なんて悪乗りしなかったのは良心ってやつですかね!?

ミラクルボール
 というわけで、最終回の最終投球を飾ったのがこの魔球。今までの全ての魔球が打たれ、またはカットされた番場は、この豪快絢爛ちらし皿鉢料理山盛りみたいな魔球を考え出す。考えたってやれないとは思うけど。

 球を潰してからジャンプし、大回転してからエビ反りして投げた。
 もうこうなると球の変化もなんだかよくわからない。分身が三次元にして落差を伴って豪速球で向かってくるのだから、怖い。
 ウワーーとばかりにバットをめちゃくちゃに振り回すが、当然当たらず、見事三振ゲームセット。

 蛮は見事MVPを獲得して赤いスポーツカーか何かをゲットして、歓喜のうちに全巻終了。アニメ版はとてもさわやかなエンディングなのだ。

 それだけにコミックの不気味な最終回が、こわい。

 というわけで侍ジャイアンツの話はおしまいである。やはり長くなっちまったねえ〜

番外:逆さ吊り打法
 番場蛮に対しての八幡太郎平は、星飛雄馬に対しての伴忠太よりも少し線が細い印象がある。伴が最終的に飛雄馬のライバルとして重要な位置づけにまで成長するのに対し、八幡はとにかく蛮の裏方に徹する。しかしアニメでは数回、八幡を全面に出す回が出てくる。そしてそこで出てくるのが「逆さ吊り打法」だ。八幡の打法のことである。

 蛮は、常に自分の陰で支えてくれる(実は同郷の先輩の)八幡を頼りにしながらも、いつまでも独り立ちできないバッティングなどに不満を持っていた。しかも「蛮がいるから一軍にいるくせに」などと陰口をたたかれるのを耳にしてからは、なんとか八幡に打者としても一人前になって欲しいと思うのである。

 ある時、蛮は、わざと八幡を怒らせて一念発起させる。「先輩は下半身が安定していないのが問題なんだ」ということで、崖の先端から八幡の足を縛ってそのまま逆さ吊りにする。そして向かい側の崖の上から容赦なく豪速球を八幡に向かって投げた。
 最初のうちは、ぐるぐる回っているだけの八幡、しかし蛮の侠気に答えようと、ついに下半身を固定して蛮のストレートを見事に打ち返す。その時、八幡を吊るしていたロープが切れそうになっているのに蛮は気づく。必至に崖に辿り着き、利き手の左腕を犠牲にして八幡を助ける蛮。その意を組んだ八幡は、魔球が破れ出番のない蛮に代わって、一軍で代打ヒットを飛ばす。
 蛮は我が事のように叫ぶ。「やったぜ先輩!! 逆さ吊り打法だ!!」

 これだけなんだけど、なんかジーンと来る回でした。

 しまった!! 音楽の話がありませんね!!
 
最初の主題歌は3拍子でした。珍しいですよね。
 エンディングは威勢のいい奴。そう、番場は、かつて父親をクジラに呑み込まれて殺されたことがあるために、巨人のようなでかい球団に入るのを拒否していました。そういうかたくな蛮を、「あなたのお父さんはクジラの腹を突き破って出てきたじゃあないの。でっかいクジラの腹に飛び込んで食い破るのも男じゃなくて」というリカの一言が後押しして巨人入団と相成るわけです。リカは、ワールドシリーズで活躍している蛮を応援しながらもアメリカかどこかに旅立ったと思います。憎い役柄ですな。

 で、放映途中から登場した主題歌が「王者の星」。これが好きでした。ジャイアンツの応援歌に入れて欲しいくらいのものです。 


 いかがでしたか。未だにもう一度全編を見たいと思っているんですが、なかなか再放送されませんね。一つには長いことと、文中にもありますが、一部いじめのヒント?みたいなものがあるせいかもしれません。アパッチ野球軍もしかり。さびしいことです。(2003年追記:DVDとして両作品とも発売されました。素晴らしい!)
 なお、記憶違いのところも随分あるかもしれませんがそこはそれ御容赦願って・・・ちゃんとまとめてあるこことかここも是非是非覗いてみて下さいね。

 魔球、というイマジネーションの世界から、バーチャルリアリティへ、そしてリアリティへ野球マンガが進化(退化?)するにつれて、私は興味を失ってゆきました。こういうアリャアリャの世界もなくっちゃコミックの価値もないのではないかと。そんな想いを感じつつ、またお会いしましょう。