先日、セルフサービスを導入している飲食店で食事をした。
セルフサービスとは、人件費削減等を目的として、配膳の用意など、客が出来ることは極力客にやって貰う事で、
その分を商品の値段に還元するというシステムのことだ。
料理が出来上がるまで、これといってする事もないので、その程度の事で安くなるなら、私としても大歓迎である。
私が思っている位だから、多くの人もそう思っているのだろうと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。
その店はお昼時だというのに閑散としている。
私はてっきり料理が不味いのだろうか?と不安になったが、いたって普通である。
可もなく不可もなく、値段を考えると寧ろ満足の部類に入る。
では、客はみな殿様気分を味わいたいがために、セルフサービスを拒否するのか?
私は次にそう考え、注意深く他の客を観察していた。
ある客が、ここがセルフサービスの店だと気付いていないらしく、「水くださ〜い」と店員に声を掛けた。
私は、この客も初物の客なのだな。何気なくそう思っていたのだが、それに対する店員の態度にギョッとなった。
「そこに書いてあるでしょ。ウチはセルフサービスなんだから、自分で汲んで下さいませんか」
語尾は丁寧なようだが、明らかに威圧的で嘲笑的な物言いをする店員。
そのくせ、客が少ないので、暇なせいか、下らないお喋りを仲間達としてゲラゲラ笑っている。
いや、寧ろ仲間達との談笑を邪魔された事に一瞬腹を立てているようにも見えた。
どうやら客の側の問題でも無さそうである。
私はこの店のセルフサービスの目的とは一体何なのだろうと、考えさせられてしまった。
接客サービスとしての本来あるべきものの一部を、客に委ねることで、人件費削減と低料金での提供を実現する。
しかし、この時『人件費削減』と『低料金での提供』の関係はプラスマイナスゼロになると思われる。
であるならば、回転率で利益を上げる事が本来の狙いなのではないだろうか。
忙しいから、セルフサービスなのであって、暇な時もセルフサービスを隠れ蓑にサービスを怠っていたら、
客が離れるのも無理はない。
この店が閑散としている訳が解った気がした。
セルフサービスというサービスを『客に対してサービスしなくて良い』と曲解している店員が実は多いのではないか。
セルフサービスの本来の狙いを考えれば、忙しい時は極力客に動いて貰うのは当然として、
暇な時も客に動いて貰うというのは道理が会わない。
「低料金なのだから」と店(店員)は言うかも知れないが、回転率を上げるという本来の目的と照らして、
回転率を上げる為のサービスというものも必要だと思う。
それはつまり、暇な時は客に出来る限りのサービスをするという事だろう。
セルフサービスの目的が『(店員に)楽をさせるため』というのならば私は何も言いません。
只只、消えていくのみでしょう。
何かのルールとか決め事の裏には、必ずその成り立ちがある。
その成り立ち(本来の意味)を忘れて、ルールだけが一人歩きをするという事が実に多い。
セルフサービスに限った事ではないが、只ルールを守ればいいという考え方は愚かだ。
その背景にあるものも含めて、考えるという事をしなければ、それこそ本末転倒になってしまうのではないだろうか。
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