「鯨のうた」

    情熱的な夜は
    鯨になつてしまひたい
    大海原をかきまはしながら
    大音声で吼えるのだ

    くぢらくぢら

    喪失感に捕へられた朝は
    鯨になつてしまふのだ
    砂浜に横たはる大きな躯が
    悲痛の叫びをあげるのだ

    くぢらくぢら

    事が済んでしまへば
    おれはもう鯨なのだ
    くぢらくぢら
    くぢらくぢら

    くぢらくぢら

    嗚呼
    こんなにも黒く
    こんなにも重き躯が
    こんなにもよく泳ぐのだ




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