「病気の君」

    夕方の薄暗い病室で
    君は絵本を読んでいた
    「何を読んでいるんだい?」
    「残酷なブタの兄弟のお話。
    狼を鍋で煮てしまうの。」
    「君は狼が好きなのかい?」
    「知らない。狼なんて見たことないもの。」
    なるほど。そういえば私も
    狼は見たことがない。
    「君は動物の中で何が一番好き?」
    「人間。」
    「なんで?」
    「自分が人間だから。
    自分のこと、大好きだもの。」
    「・・・・灯りをつけようか。
    絵本、読みにくいだろう?」
    「明るいのは嫌い。それに、
    本当は絵本なんて読んでないの。」
    「そうかい?」
    君は嘘つきなのだな。




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