海を越えてキスやコチを釣ってきたあんきもであったが、
この時季には、普通にキスが釣れるようになっていた。
特に白とBarは、飛距離を伸ばすために釣行を重ねていて、
その成長ぶりも著しい。
この日は、ある筋から小アジが釣れるという情報を得たため、
早速小アジを狙いに行くことになった。
しかし、出発時間が近付いても天気が回復しない。
天気予報を見てもいつもどおりの降水確率50%である。
舟券 「今日はどうする?」
白 「うーん、でも潮はいいよ。」
舟券 「じゃあ行くか。」
白とBarの間でも同じやりとりが交わされた。
思い出してみると、白がほぼ毎週、「釣りに行こう」と言い出すとき、
いつもあるふたつの条件が重なっている。
それは、
・週末である。
・潮が良い。
の二点だ。
そんなに都合良く毎週末に潮が良くなるものだろうか。
海に向かう途中では、多少雨が降ったが、
夜食を買ってしまったこともありそのまま走り続けた。
幸い、着いたときには雨が上がっていたが、
いつ降り出すかわからない状態のため釣り人の姿はほとんどない。
白 「今日は爆釣の予感がするぞ。」
毎回予感を感じていればいつかは当たるものだろう。
そして今回はそれが当たったと言っていいケースだった。
一投目を投げて一服を終えたBarが竿を上げてみると
なにやら大きなものが針に付いている。
舟券 「ゴミでもかかったんですか?」
確かになにやら黒ずんだ平べったいものが揺れている。
白 「これ、舌ビラメですよ!」
なんと舌ビラメである。
最近料理の本を読んで夢を膨らませている白が言うのだから
おそらく間違いあるまい。
白 「じゃあ、帰りにバター買ってかないと」
クーラーボックスに入れられたそれは既にムニエルになることが決まっていた。
しばらくすると、今度は白に大きな当たりがきた。
白 「なんだこれ?ナマズか?」
舟券 「コチじゃないの!?」
釣り上がった魚は今まで見たこともない大きさのコチだった。
今までメゴチしか釣ったことがなかったため、
マゴチをナマズと勘違いしたようだ。
あまりの興奮に、白はこの後「すごいなぁ」を
20回は連発していた。
しばらく会わないうちにずいぶん成長した二人に
なんとか近付かなくてはいけない。
舟券も大きなフォームから会心の一投を繰り出す。
明るみ始めた空に勢い良く飛んでいくテンビン。
それはあざやかな弧を描いて海面に着水する。
…はずだった。
カチッ
乾いた音とともに、飛び続けていたテンビンは
あの大魔神のフォークよりも鋭く真下に落ちた。
見ればリールに糸が残っていない。
あの零八から譲り受けた竿とリールだったが、
どうやら限界を超えてしまったらしい。
そういえば、零八はどうしてるかな?
・・・ ・・・
・・・ ・・・
まあ、いいか。
ところで、肝心のアジだが、一応サビキの道具を揃えて
見よう見真似でやってみたが、
いまいち反応がなく、アジはいないとの結論に達した。
そしてそのまま、サビキの仕掛けで置き竿をしておいた。
もちろん、アジはゼロ。
しかし、それ以上の釣果に満足して海を後にした。