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ロンドンのカシオペア 国内公演と変らぬ大喝采 ひと月ほど前、カシオペアがロンドン公演を行った。市の中心部のトッテナムコート・ロードの交差点にあるドミニオン劇場は二千五百人を収容する大きさである。それがほぼ満員にしかい盛況になったのだから、日本のバンドの海外公演としては異例の成功となった。 カシオペアは新アルバムの録音のためにロンドンに一ヶ月近く滞在し、録音完了後コンサートを開いた。市内のあちこちにポスターが張られ、民放ラジオでスポット広告も流した。BBC放送はインタビュー番組を構成してくれた。公演前日には前売り券がほぼ完売と報告されたのである。 ドミニオン劇場でのカシオペアは圧倒的な歓声に迎えられ、曲間ではキーボードの向谷実が英語で司会する。演奏といい、海外聴衆の前で物怖じせずに、いかにも楽しそうに音楽する姿に聴衆は好感を持ったようである。司会の話に笑いや喝采がわき、ソロのあとでは立ち上がって拍手が来た。2時間、18曲を演奏し、終演では満場総立ちの中で二度のアンコールを受けた。 カシオペアの音楽はロンドンではジャズファンクと呼ばれている。類似のバンドに、シャカタク、レベル42、カジャグーグーなどがイギリスにある。ロンドンでラジオを聴くとこういう音楽がよく流れ、それが日常生活のリズムに実に良くフィットする。安定したジャズ系のリズムに乗ってエレクトリック楽器の色彩ゆたかな音色が曲のイメージをくっきりと際立たせる。いわばカラーテレビの面白さを持った音楽といえようか。そういう素地があるものだから、カシオペアは東洋の遠国のバンドと見られるよりもロンドン子の耳なじみの音楽をみごとに演奏する優秀なバンドとして聴かれた。 劇場の聴衆や、来合わせたミュージシャンに聞いてみたら、誰もが「カシオペアは素晴らしいエンターテイナーだ」と口にした。日本のジャズ系のバンドの海外公演は力量を海外で認められる目的で行われる例が多い。しかし、カシオペアは最初からロンドン子を喜ばせるつもりでステージに立っていた。二十代半ばの若いカシオペアの目には、日本の聴衆も、ロンドンの聴衆も、同時代に生きる音楽ファンなら同じバイブレーションを示すと見えたのだろう。そして、確かに同じだった。カシオペアはロンドンで優れたエンターテイナーと迎えられたのだ。 カシオペアの音楽は数年間に渡って日本の若いライブファンに支持され、成長して来たものだ。それがロンドンでもそっくりそのままライブファンを白熱させる様子を目撃した時、日本のバンド界に若い新世紀が来ている事を痛感し、嬉しかった。 |