受験:三次選考


これは群馬大学名物(?)であるところの、「合宿面接」です。
選考に残った45名をホテルなどに缶詰にして、教授陣を総動員して(都合により参加を見送られる先生も少数いらっしゃるようですが)、じ〜〜〜〜〜っくりと我々受験者を品定めするというイベントです。
私にとってはこれが正念場。運がよければ合格したいというのも本音ですし、そもそも情報収集のために手間をかけてここまで来たのですから、いっそう気合が入ります。

基本的なイベントをほぼ時間順に並べると、以下のようなものでした。
初日
集合お昼頃、群馬大学に集合します。
雨が降ろうが嵐になろうが、集合時間は変わりません(平成16年度入学者試験より)。
集合の後、バスで宿泊地に向かいます。
昼食 いきなり昼食です。我々の年はグラスワインまでついていました。
各テーブルには教官が2名づつ付き、受験者は自由に話をすることが出来ます。
自己紹介簡単な顔見せのため、30秒の自己紹介をします。私はどこの誰で今何をやっています、という程度のことを、全員の前で述べるだけです。
この時点で、翌日に各自が2分30秒スピーチ(自己紹介)を行うことが明らかにされます。
集団セッションたしか初日にもあったような気がします。内容は忘れました。
討論課題を与えられ、それについて幾人かで討論するところを、試験官3名が見守っています。この他に各部屋を巡回されるオブザーバーの先生方がいらっしゃるので、評価の著しい偏りは無いのではないでしょうか。
夕食昼食にほぼ同じです。教官が各テーブルにいらっしゃるので、自由に話をすることが出来ます。
自由懇談夕食後、残っておられる教官と自由に懇談することが出来ます。
我々受験者とともに宿泊される教官もいらっしゃるので、おつまみとビール片手に和みつつ話すことも出来ました。
二日目
朝の散歩完全なオプション。
参加者も少なく、参加した人が全員受かったわけでも無いので、合格するかどうかにはあまり関係なさそうです(K教授がフォローしてくれる可能性がほんの僅か高くなるかもしれませんが、今年退官されますので今後の方はあまり関係ないですね)。
しかし朝早めに起き、食事前に少し体を動かすことで、きっちり目が醒めます。目を覚ましているべき試験時間には、脳も体もしっかり起きていることになりますから、それなりに参加する意味はあるでしょう。
朝食いない人もいたような気がします。
彼らがどうなったか、記録していなかったので割愛。
集団セッション 受験者5人を一組にし、与えられた課題について討論しますが、このときに持ち回りで司会をします。
事前説明では討論の方法、知識、司会について点をつけ、総合評価するとの事でした。
知識といっても、常識的な社会人ならば知っていることを知っていれば、それで十分かと思われます。採点はその場にずっといらっしゃる先生方3名+巡回して来られるオブザーバーの先生の、二グループによる評価であるようです。
スピーチ教授が総動員されるイベントだそうです。
ずらっと居並ぶ教授相手に、自分がどこの誰で今何をやっていてどうして医学部を受験しようと思うに至ったのか、を話さねばなりません。
時計を睨みつつ、きっちり2分半で終わらせました。
話自体は無難にまとめた気がします。この手のスピーチで原稿を読み上げても意味は無いので、システム手帳の一ページにメモを作り、これをもとに話をしました。
集団面接普通の面接と同じだと思います。
個人面接受験の動機付けについて、ちゃんと考えているかどうかを確認されました。
私は「なぜ群馬大学なの?」とご質問いただいたので、開口一番「すみません、お金の問題です」と馬鹿正直に答えておきました。学費が安くて生活費が安いことは絶対条件ですから。無論、専門家がいらっしゃるからという理由にもちょっとだけ触れておきました。
移動・解散群馬大学で解散するまでが試験です。バナナはおやつに入りません。

さて本気で合格したい場合、品定めしていただくのをノホホンと待っているだけでは、やはり不足かと思われます。
言うならば、ここで試験官相手に心理戦を展開する必要があるわけです。
むろんこれは相手を圧倒するための心理戦ではありません。相手に自分の価値を売り込み、相手にとって自分がお買い得人材であることを納得させるための作戦です。
このような視点に基づいて、前述の日程を見直して見ましょう:

集合 時間どおりに到着するために、必要な手段を講じることができるかどうか。まずそれが見られているはず。
ここには心理戦もヘッタクレもありません。群馬大学に指定時間にいるためにはどんな交通手段があるか、最低でも二つの方法は考えておいた方が良さそうです。
それと、この時点では社会人としての常識があるかどうかも見られます(K教授に確認)。バスに乗り込む際にも無言で乗り込んだりせず、ご覧になっている教官に対しては「よろしくお願いします」などの挨拶もすべきでしょう。
昼食酒まで付けて飲み食いさせるのは、情報収集のための古典的な手段です。
いわば受験者の化けの皮をはぐための作戦の一つですから、合格するための心理戦はこの時点ですでに始まっているといっていいでしょう。
猫を被ろうとしても、無理だと思ってください。審査する教官の数は多いので、どなたかは必ず、あなたの本性を見破ります。
ちなみに私はこの時点で「育ちの良い人」というイメージ()を持っていただくことをすっぱり諦めました。
自己紹介 30秒では言える事も限られていますし、ここは翌日の2分30秒自己紹介スピーチについて知らされることが一番のポイントでしょう。
たいていの人はこの時点で、明日どううまく喋るかを考えます。問題はその後、そのためにどのような時間配分をし、どのような行動をとるか、です。これはきっちり見られているはず。
ここで知らされたスピーチの事だけに気をとられ、準備を最優先にしようなどと決めて部屋に閉じこもったりすると、おそらく落ちます。
集団セッション思考能力と、他人とのコミュニケーション能力を見られるようです。
他人と言葉のキャッチボールが出来ない、いわゆるオタクっぽい性格(※2)の人ですと、かなりの苦戦が予想されます。
夕食言うに及ばず。人となりを見られます。
自由懇談参加自由ですので翌日の準備のために早々に引き上げた人もいましたが、それをやると
  • 他人とコミュニケーションを取る気が無い
  • 手際よく準備する能力が無い(二分半のスピーチのために何時間も費やす=作業効率が低くなる)
  • 気が小さい(翌日のちょっとした課題ばかりに気をとられ、全体像を考えることが出来ない)
人物であると見られかねません。
明日の準備はそれなりにすることにして、参加した方が良いようです。
朝食以前の二食に同じ。
集団セッションコミュニケーション能力がない、取りまとめ能力が無い、あるいは取りまとめる気が無い人は、苦戦すること請け合いです。
またここでは、常識的なレベルで社会に関心を持っていないと、なかなか身につかない常識レベルの知識が要求されます(無いと討論できない、お話にならないという意味です)ので、自分の好きなものだけに没頭していたい閉鎖志向の持ち主は不利かと思われます。
ここで見られるものは、意見調整能力(特に司会時には他のメンバーの意見を聞く必要があります)・協調性・社会への関心の有無ではないでしょうか。
スピーチまず最初に、時間内に収める必要があります。
三十秒以下の超過ならとにかく、「自分はこれを喋りたいから」と一分近くも引き伸ばして喋る事は止めたほうがいいでしょう。

常識で考えれば判ることですが、ここで見られているのは受験者の主張ではなく、受験者が自分の考えをちゃんとまとめて音声化する能力を持っているかどうか、です。青年の主張張りの長広舌は引っ込めて、ニーズに合った構成を考える方がいいでしょう。
実際、受験者の中には長々と語った方もいましたが、この方は落ちています。
同じ部署にいたプロジェクトマネジメント専門の社員が聞いたら、「あんなスピーチはありえねえ」と一言で切って捨てたと思われるレベルでしたので、まあ当然かもしれませんが……

また単に上手なだけでも、ダメなようです。アナウンサー的な上手でそつの無いスピーチをされた方もいらっしゃったのですが……
あまりにも取り繕いすぎているとして、マイナスイメージを持たれた教授もいらっしゃった模様です。
集団面接普通の面接と同じだと思います。
個人面接受験動機を問われるたりもするわけですが、ここでは質問に対してどう答えるかを見られるようです。質問に対し適切な回答を探す能力、自分の考えを日本語できちんと述べる能力、年齢相応の考えをもっているかどうか、が問題になる模様。

後で伺ったことですが、受験動機を問われた時に「身内が病気になって……」などとベタなストーリーを考えるとアウトだそうです。なぜなら、こんな理由は高校生でも考えられるからだそうです。大人なら大人として、もうちょっとストーリーを練って来いということでしょう。
またうっかり「社会に貢献するため」などと答えると、四苦八苦する羽目になるようです。「社会に貢献」というタームを定義する羽目になるかもしれません。
具体的に自分は何をどうやって貢献したいのか、抽象論ではなく述べられる方は良いと思いますが、下手をすると地雷になってしまうかもしれません。

ところで、上のテーブルには含まれていない、実は重要であろう時間があります。やたらと長い休憩時間です。

コーヒーブレーク、スケジュール間の空白時間、そんな時間にはだれか教官と話しても良いし、自由に過ごしてくださいと言われます。
この時間もまた、初日の夜に設けられた歓談の時間と同じでしょう。周りを見回し、教官なり他の受験者なりと話すようにしたほうがベターかと思われます。

またこの他、スケジュールとは関係ありませんが、私が気をつけていた事は二つあります。
 
この二つのうち最初の行動方針については、確実に正解でした。
入学した後で伺った事ですが、他人の足を引っ張ろうとがんばる人は要らないそうです。
……読みが当たったわけですが、方針を決めて行動して良かったとつくづく思いました。
他の受験者を引きずり下ろして相対評価を上げようとしても、無駄であるようです。

そして足の引っ張り合い以外にも、やらないほうが良いだろうという行動はいくつかあります。
基本的に就職活動の集団面接とほとんど同じですが、自分で気がついた重要項目と、後から伺った項目を最後に挙げておきます。
   
最後に、これまた後日伺った話ですが、私に対する評価は真っ二つに分かれたそうです。
賛成派の先生方は個性的であると評価してくださり、難色を示した先生方はアクが強すぎるとおっしゃったそうです。
さもありなん。
無難な学生を欲しいという先生方が多ければ私は不合格だったはずですので、要するにあんまりクドい人間であることは、プラスに作用するとは限らないようです。
無難な学生ばかり入れてどこが面白い、とおっしゃって下さる先生もいた結果、合格と相成った模様でした。
 
※1「育ちの良い人」
私自身にとっても、私を知る人々にとっても、まったくの冗談としか取れない評価ですが……
お客様向けモードで穏やかに話していると、どういうわけか、このような勘違いをしてくださる方がいらっしゃいます。これはこれで役に立つので、違うんだけどな〜と思いつつ、微笑んでいることにしています。
いずれ、この手の誤解は解けるものなんですけどね。

※2「オタクっぽい性格」
本当にオタクであるかどうかは関係なしです。言葉のキャッチボールが出来ないオタクが悪目立ちし、キモオタなどと呼ばれることが多いので、このように表現しました。
私?……どうでもいい非実用的な知識にあふれてはいますが、オタクじゃないですよ。


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