ツーリング編
ゼファー日記8
河内長野市・滝畑ダム(2)
★2003年3月14日(金)・・・・・・・・・走行距離・82キロ
頭のてっぺんから爪先まで筋肉痛の朝を迎え、『バイクは体力だ!』を実践したツーリグを振り返っています。滝畑ダムは初めてツーリングした所で、前回(2002年9月・117キロ)もブレーキレバーを折ってしまった鬼門、今回は二度ともロードサービスを呼ぼうかと弱気になってしまった。
そもそも、久々のツーリングに滝畑ダムを選んだのは、Wasa氏よりメールで滝畑ダムの水涸れを教えて頂いた事にある。しかしそれも初冬のこと、寒さに負けて出不精になってしまい、あれから3度の大雨があり、ダムは予想通り増水していた。それを承知で選んだ理由は、Wasa氏にメールを頂いてホームページを調べたときに出て来た言葉、『大阪屈指の心霊スポット!』。河内長野に一年以上住んでいたのに知らなかったのです。だから、改めて行って見たかった。車の後ろを物凄いスピードで追いかけてくる『ジェットババァ』など、原付より遅い私が敵いっこないのに・・・・・・
災いは、T字路ならぬ<r>字路で起きた。それも全体的に30度ほど傾斜している。右足を着けば良かったのだが、何も考えずに着いた左足が短かった(苦笑)。そのままスローモーション的に倒れ込み、エンジンが停まった。バイクはガソリンを零しながら泣いている。坂なので<コポッ、コポッ>と泣きやまない。ヘルメット内に充満する臭いに気を取り直して、立ち上がろうとするが、左手をハンドルに押さえ込まれて、立てない。掌でハンドルの先端を支えている。状況を飲み込む迄にどれくらい時間が過ぎたのだろう。痛みの伴う左手を無視して抱き起こそうとするが、バイクは坂下を頭にして起き上がらない。教本にあったように、バイクを半回転引き回さないとだめなのかもしれない。悲鳴?
嗚咽?向かいの工場から人が出てくるほどの気合を入れて、立ち上げる。車が一台も来なくて良かった?と、胸を撫で下ろしながら
<r>字路の直線部分まで押し歩く。
止まっていた時間が突然動き出したかのように、車が、バイクが、自転車が右往左往する。昔なら、煙草を吸うシーンだろうか。汗だらけのヘルメットを脱ぎ、防寒の上下を脱ぐ。掌は皮が剥けていた。でも、バイクは、無傷だ!?
意気消沈はさらに続く。エンジンが掛からない。オイルランプが消えない。人間で言えば、仰向けに近い状態で長い間倒れていたバイクである。やむなしと言う所か。5分待って、駄目だったら、ロードサービスを呼ぼう。防寒着をバッグにしまい、汗まみれの手袋を裏返しにする。今思えば、ガムを取り出す余裕もなかったのだ。
エンジン始動。オイルランプが一度点滅。掛かりそうな音。『掛かって下さい。・・・・』恥ずかしくなるような、無数の神頼みが続き、キーを回す。願いが通じたのか、何とか掛かる。おもいっきり回転数を上げて、つなぐ。『帰れる』 ホッとする。
無論、帰るわけがない。滝畑ダムで写真を撮る。頼まれていた和泉市で『アールグレイ・ニューヨーク・マンハッタン』 を飲む目的もある。『ジェットババァ』 にも会いたい。

二度目の災いは、当初から予定していた近道にあった。府道61号、折れ曲がった塩降トンネルを過ぎて、下りのワインディングロード。気持ちよく走っていくと、突然の未舗装<T>字路。
『行ける!』 ほんとかよ? 『だいじょぶ!』 知らないから?
段差を乗り越えて、未舗装に入る。<一速>に落としていたが、細かい砂利が思ったより深い。後輪が滑る。前輪が食い込む。真っ直ぐというよりも、斜めに滑り降りて行く。3メートル、6メートル、三叉路の終点で動かなくなる。空回りするエンジンを噴かすには、余りにも前が怖い。ガードレールも無い崖になっている。すぐに降りれば良かったのに、跨がったまま前に押し出そうとして、失敗、右側に倒れ込む。サイドバッグが支えになって、挟まれた脚を引き出すが、砂で右半分真っ白だ。ガソリンがまた零れている。『今度の燃費は悪いだろうな』 二度目の転倒で、落ち着いていたのか、ひどい感想だ。
鉄則通り、サイドスタンドを出して起す。起そうと思うが、足が滑ってうまくいかない。足場を作って、もう一度。巧くいったと思ったら、サイドスタンドが邪魔をする。折角起こしたバイクを戻し、やり直す。筋肉は100%を超えている。『バイクは体力だ!』
気合一発起こしたバイクを左にして、立ち尽くす。『もう一人欲しい!』
ともかく、勢いをつけながら出し、出してはブレーキを使い、跨がれる場所まで押し歩く。頭の中では、疑問符が駆けずり回っている。『練習しておけば!』
いつだって、後の祭。倒すのを覚悟で、右側からバイクに乗る。サイドスタンドを掛けて、そのまま座り込む。この時も、ガムは思いつかない。ぐったりとしばらく座ったいると、車が後ろから来て、曲がって行く。背筋が寒くなるほど嫌な砂利の音を立てながら。
予定通り行けるかどうか、しばらく歩いて見るが、道は九十九折りの立体的ワインディングロードのようだ。舗装はされていない。曲がり角の度に転びそう。10メートル戻れば舗装路になる以上、素直に戻るしかない。一応安全の為、バッグ類を外し、向きを変えることにする。雨でドロドロになった轍が固くなって、幅4メートルの道をUターンするのに、5分近く掛かる。見渡せば見渡すほど恐ろしい道路である。中途半端に舗装をしたので、雨が降ると、行き場を失った水は滝のように未舗装の部分を責めつけ、土石流になるようだ。私が滑り降りた方はまだいい方だ。もう一方はライディングシューズが埋まるほどの縦割れが生じている。今いる三叉路の部分も流れ着いた泥で固い轍を形成していたようだ。晴れ続きで良かった。
歩きながら考えついた結論が、10メートル押し登る事。ヘルメットも、上着も脱いで、もう一度考える。『ロードサービスを呼ぶか、どうか』 『50センチ押してブレーキ、でもいいか』 『やろう!』
一息に2メートル登ってブレーキ。意外と角度がある。バイクのタンクを抱きかかえる様に押す。
50センチどころか、5センチも動かない。足が滑る。腰がバイクから離れる。怖いけれど、少し戻して勢いをつけてみる。思った通り、二歩後退、一歩前進だ。確実に行くしかない。筋肉は120%を超えて、萎んでいく一方だ。明るいうちに登りたい。運がいいのか、悪いのか、誰も通らない。大きい画面で苦労を見て下さい
1時間掛かって登り切った時には、頭の中は帰る事で一杯だった。『アールグレイ・・・・』を飲む予定だったので、いつもの水も置いて来ている。反省する事は余りあるツーリングだった。