北原白秋の詩(主に童謡)をテーマにした切り絵。現在4作品公開。
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〔揺籠のうた〕



揺籠のうたを カナリヤが歌ふよ
ねんねこ、ねんねこ ねんねこ、よ

揺籠のうへに 枇杷の実が揺れる、よ
ねんねこ、ねんねこ ねんねこ、よ

揺籠のつなを 木ねずみが揺する、よ
ねんねこ、ねんねこ ねんねこ、よ

揺籠のゆめに 黄色い月がかかる、よ
ねんねこ、ねんねこ ねんねこ、よ



〔曼珠沙華〕

GONSHAN.GONSHAN.何処へゆく、
赤い、御墓の曼珠沙華、
曼珠沙華、
けふも手折りに来たわいな。

GONSHAN.GONSHAN.何本か、
地には七本、血のやうに、
血のやうに、
ちやうど、あの児の年の数。

GONSHAN.GONSHAN.気をつけな。
ひとつ摘んでも、日は真昼、
日は真昼、
ひとつあとからまたひらく。

GONSHAN.GONSHAN.何故泣くろ。
何時まで取つても、曼珠沙華、
曼珠沙華、
恐や、赤しや、まだ七つ。



〔ちんちん千鳥〕
ちんちん千鳥の啼く夜さは、 啼く夜さは、
硝子戸しめてもまだ寒い、 まだ寒い。


ちんちん千鳥の啼く声は、 啼く声は、
燈を消してもまだ消えぬ、 まだ消えぬ。

ちんちん千鳥は親無いか、 親無いか、
夜風に吹かれて川の上、 川の上。

ちんちん千鳥よ、お寝らぬか、 お寝らぬか、
夜明けの明星が早や白む、 早や白む。



〔ペチカ〕
雪のふる夜はたのしいペチカ。
ペチカ燃えろよ。お話しましよ。
むかしむかしよ。 燃えろよ、ペチカ。

雪のふる夜はたのしいペチカ。
ペチカ燃えろよ。おもては寒い。
栗や栗やと。 呼びます。ペチカ。

雪のふる夜はたのしいペチカ。
ペチカ燃えろよ。ぢき春来ます。
いまに楊も 萌えましよ。ペチカ。

雪のふる夜はたのしいペチカ。
ペチカ燃えろよ。誰だか来ます。
お客さまでしよ。 うれしいペチカ。

雪のふる夜はたのしいペチカ。
ペチカ燃えろよ。お話しましよ。
火の粉ぱちぱち、 はねろよ、ペチカ。