〔山中與幽人對酌〕

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山中にて幽人と対酌す
両人対酌して山花開く
一盃、一盃、復た一盃
我酔いて眠らんと欲す 卿且く去れ
明朝 意有らば 琴抱きて来れ
山ん中で世捨て人と酒を酌み交わす
二人で酒を酌み交わせば山の花も開く
一杯、一杯、また一杯と盃を重ねる
流石に酔って眠くなったので今日のところは帰ってチョーダイ
で、気が向いたら明日琴をもってまた来てチョーダイ |
〔九日龍山飲〕

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九日 竜山に飲む
九日 竜山に飲めば
黄花 逐臣を笑う
酔いては看る 風の帽を落とすを
舞いては愛す 月の人を留むるを
九月九日の節句に竜山で呑む
九月九日、竜山で酒呑めば
菊の花が私のような左遷役人にも笑いかけてくれる
酔って見やるは風で飛んでく我がシャッポ
舞って嬉しい私を引き止めてくれるお月さん |
〔白鷺シ〕

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白鷺シ
白鷺 秋水に下り
孤飛すること 墜つる霜の如し
心閑にして且くは未だ去らず
独り立つ沙洲の傍
白鷺
秋の水辺に下りる白鷺
霜が降りるように独り舞い降りる
心穏やかにしばらく立ち去ろうとせず
独り中洲の傍らに立っている |
〔哭宣城善釀紀叟〕

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宣城の善醸 紀叟を哭す
紀叟 黄泉の裏
還た応に老春を醸すべし
夜台に暁日無し
酒を沽りて何人かに与うる
宣城の名杜氏、紀叟を悼む
紀の爺さんがあの世行き
あっちでまた酒造るのか
あの世にゃ夜明けが来ないのに
その酒誰に売るんだか |