実際の発音と表記が異なる言葉

同じ表記でも単語によって発音がまちまちである英語のような言語と異なり、日本語は実際の発音と表記とが一致していると考えている人が多い。しかし、実際は一致していない。確かに、「てふてふ」と書いて「ちょうちょう」と読むような古文の法則は見直され、言文一致が図られている。が、なお言文の不一致は存在している。

「私は」の発音はwatashihaではなく、watashiwaである。ときどきこれをローマ字で書くとき、watashihaと書く人がいる。「は」と書いて「わ」と発音するのは日本語だけのルールで、ローマ字では「ha」と書いて「wa」と発音するわけではない。

「経験」は「けいけん」と表記するが、発音は「けえけん」である。
「探偵」はどうか。発音は「たんてえ」である。もっとも、「たんてい」と発音することもないわけではない。しかし、「探偵団」となると、発音は明らかに「たんてえだん」である。「名探偵コナン」はどうか。これを「めいたんていこなん」と文字通り発音する人はいない。「めえたんてえこなん」である。

困るのは、「昇平」「淳平」といった名前の人である。英語で表記するとき、彼らはたいていsyouhei、junnpeiと表記するが、現実にはsyo-he-e、jun-pe-eとしか発音しないのである。

コンピュータ

ときどき見られる表記である。実際の発音は「コンピューター」だが、なぜか最後の「ー」(音引き)を省略して表記することがある。同様の例に「サーバ」「ルータ」「オリジネータ」などがある。

電車ん中

意外と誰も気付いていないかもしれない。電車に乗っているときに、携帯電話がかかってきたとする。先方が、「いま、どこ?」とたずねる。これに対し答える場合、「いま電車の中」と答える人は少ない。8割がたの人が、「いま電車ん中」と答える。話者は全く意識しないまま表記とは異なる発音をしている例だ。英語で、a littleが「アリロー」と発音されるのと同様だ。

シミュレーション

これは、ほとんどの人が「シュミレーション」と発音する。原語から言うとシミュレーションであることは間違いないのだが。

ううん

YESを意味する「うん」に対し、NOを意味する言葉として、しばしば「ううん」と表記される。しかし実際の発音は「うんう」である。なぜ、表記と発音が異なることとなったのか、わからない。

(2005/3)


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