(新潮文庫)性交、酒、暴力、日雇い仕事、賭博―執拗にそれらのものを描く作品群はワンパターンと言えば言えるが、投げやりな短文、汚らしい言葉、会話中心の筋運びが心地よい。半分(以上?)は訳文のせいかも知れないが。作者と同名で同じ境遇の主人公が登場し、実話そのものと思わせるフィクションの作り方は、まるで日本の私小説作家―特に太宰治である。雑文に近いような作品もある中で、優れているのは表題作、「テキサスの売春宿」、「女3人」、「チキン3羽」。起承転結のはっきりしたストーリー性のある「あるアンダーグラウンド新聞の誕生と死」、死に瀕した体験が元になっていると思われる「慈善病院での生き死に」も。異色、かつ最良ともいえる「人魚との交尾」は、最少の言葉で最大の視覚的イメージを引き出している。(2000年2月10日)
(新潮文庫)投げやりなストーリー、自暴自棄なことばの選び方が小気味よく、破天荒さが魅力の小説群である。競馬ものとエッセイ風のものが少々退屈なのを除けば。「人魚との交尾」のような叙情的なものはないが、「狂った生きもの」、「馬鹿なキリストども」における異常な(ふざけた)展開、ほとんどすべての作品に登場する作者自身を思わせるアル中の破綻した作家、芥川の「歯車」を思わせる鬼気迫る狂気を描く「毛布」などは特筆できる。(2000年3月21日)
(新潮文庫)投げやりな中に奇妙な美しさと悲愴さを漂わせていた「町でいちばんの美女」、「ありきたりの狂気の物語」に比べれば、こちらは終始投げやりなばかり。三文小説を目指したのならば成功しているが、それ以上のものはない。(2001年4月2日)