ブッツァーティ

神を見た犬

(光文社古典新訳文庫)22編を収める短編集。現実離れした出来事を描くファンタジーが主体。表題作がやはり一番うまくできている。閉ざされた村に静かに広まる不安、恐怖の波紋を描く。落ちは静かなだけに強いインパクトがある。ほかの短編は、落ちが落ちになっているのかよくわからないもの、そもそも何の落ちもないものなどがある。小咄や落語のネタのようなものも。ほかに心に残った作品は、正体不明の怪物につけねらわれ一生を台無しにする男の話「コロンブレ」。常につきまとう強迫観念、いったんは離れるが自らの意思でそこに舞い戻らざるを得なくなるところなど、人間心理を鋭く描いている。落ちはいまいちピンとこないが。初めからネタはばれているが、人間の不幸な運命を象徴しているかのような「七階」。「一九八〇年の教訓」は「デスノート」ばりの映画の原作になりそうだ。(2007年11月28日)



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