トーマス・マン

魔の山

(上)とにかくテンポが遅く、サナトリアムで起こる、どれが物語の中心であるかわからない出来事や言説が、えんえんと描かれる。ショーシャ夫人が登場すると、ハンスと彼女との関係が進展していき、それが小説の大きな柱となっていくのだろうという期待が生じるが、実際はほとんど何の進展も見せない。ハンスは彼女との接触を実現させようとする意図はまるでないように見受けられ、結局二人の間に現実的な事柄は起こらずに終わるのだろうかとあきらめ、うんざりしながら読み進めていくと、上巻の最後になって、突如として二人が接触を持ち、それも接触などという生易しいものではなく、一気に7ヶ月の期間を埋めるような、熱烈な関係にまで行き着く。(2003年5月30日)

(下)どこに行くとも知れぬ展開(のなさ)、落としどころの見えない議論に次ぐ議論には何度もうんざりさせられる。入院患者たちが遅くまで酒盛りをしたり、病気の主人公が雪山をスキーで滑走したりと、解せない筋運びもある。それでも後半はそれなりの事件と盛り上がりを見せて終わる。ショーシャ夫人との出来事は下巻ではほとんど新しい進展を見せないが、彼女は小説の第一の主人公ではなく、むしろ、セテムブリーニ、ナフタ、パーペルコルンがそうなのだろう。(2003年11月13日)

トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

読んだのが前過ぎてコメント不能。難解な印象がある。(1983年4月16日)

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