サルトル

嘔吐

「存在」について意識することが嘔吐を催すもので、狂気をもたらすものであること、多くの人々がふだん「存在」については何ら意識をせずに暮らしていることが語られている。主人公(作者)はそれを非難したいのか? そうではなさそうである。「独学者」は主人公の思想を理解し得ない異種の人間として描かれているが、アニーが「物を見ていると気持が悪くなるのよ」と、主人公の考えているのと同じことをふと漏らす場面には不思議なインパクトがある。「急に自然がぴくぴくと動き出した」ときの妄想を語る描写は怪奇小説のようで、淡々とした内省的な文章の中で、特に印象が強い。(白井浩司訳、人文書院サルトル全集)(1999年6月9日)

独白調の文体に魅力がある。安部公房などは影響を受けている口だろう。思想色の強い小説だが、論文を読むのとは違ってストーリー性があるため面白く読める。途中文体が極度に乱れる箇所や、主人公の妄想シーン、最後の独学者の破局のシーンなどは盛り上がりがあった。主人公の行動や思考が充分には理解できない。(1984年1月31日)

悪魔と神

ストーリーは楽しめるが、作者の問題としているものがあまりよく伝わらない。(1984年3月18日)

実存主義とは何か

実存主義とは何か、ある程度は理解できたが、細部にわたってはわかるようでわからぬ箇所が多い。(伊吹武彦訳、人文書院サルトル全集)(1983年10月7日)

カミュ、サルトルほか

革命か反抗か―カミュ・サルトル論争

カミュの立論に親近感を覚える。サルトルはカミュに何らの反論を許さないような策略を巧みに用いているように思われる。F・ジャンソンの最後の論文は冗長でパワーがないし、嫌味である。(1984年2月4日)



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