話の方向性が半ば過ぎまで見えず、展開がないので戸惑う。話の進むべき行き先についての暗示を少しでもまぶしておけば、読み進むべき期待感が膨らむであろうのに。擬古文調の文体を用いているが、言い回しは随所で現代的なため、徹底されているという印象はない(もっとも徹底されたら読みづらいだろうが)。半ば過ぎから話の展開が急速化し、面白くなる。物語自体が何についての暗示となっているのか―「百年の孤独」ばりのストーリーのためのストーリーなのか、それとも何か現代文明への示唆、とでもいったものを含んでいるのかが判別つかない。再読へのインセンティブがあるという意味では吸引力をもった作品なのかもしれない。(2005年4月15日)