恋人を白血病で亡くすという古典的なストーリーを丁寧に描いている。いくつかの伏線、場面場面の書き込みや風景描写など地道に行っている。アキが元気だった頃の数々のエピソードは楽しく読めるが、病気になって以降、(当たり前だが)暗く重くなる。難を言うなら、アキの人格設定が、優等生的な、心優しい女の子以上のものでないことで、主人公との関係にも、何かより倒錯的な(?)、絆のようなものがあればよりインパクトがあった気がする。しかし、これはそういうことを除外したファンタジーとして読むべきものかも知れない。
作中最も印象に残っているシーンは、唯一不条理な何かを示唆する、真夜中の廃墟のホテルで電話が鳴り出すところ。作者はほんのつなぎのつもりで書いた部分かもしれないが。
(2004年2月17日)