舞城王太郎

阿修羅ガール

「第一部 アルマゲドン」は、現代風の話し言葉を主体に、長い、整序されない文章を意図的に用いた、露悪的とも言える表現技法だが、読んでいるうちにリズム感と小気味よさを感じる。内容はわりと伝統的な「女心を語る」ものだ。後半からストーリーが破天荒な方向へ行き、どうなることかと思う。「第二部 三門」の「崖」、「森」、「グルグル魔人」はいずれも独立した性格を持つ、ナンセンスに近いファンタジーである。「森」は独自なホラーファンタジーとして、一つの独立した短編と見ることができる。「第三部 JUMPSTART MY HEART」は打って変わってまじめで静的なもの。第一部と第二部の関連についての種明かしは、こじつけのように思われなくもない。むしろ少しは謎の部分も残しておいた方が・・・。(2004年8月18日)

煙か土か食い物

意図された露悪的な三文ハードボイルド小説の文体はそれなりに成功していると言えるだろう。ストーリー展開もテンポよく楽しめる。犯罪の描写にほとんど現実味がないのに対し、家族の惨憺たる歴史を描く部分には妙に重みがある。エリート医師を主人公にしたハードボイルド、どろどろとした家族の歴史、推理小説、といったいくつかの要素が入り混じり、節操がないが、それぞれよく練られ、組み立てられている。下手すれば三流の素人小説になりかねない危ない題材をうまく扱い、面白く読める。(2003年6月13日)

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