朱川湊人

花まんま

一昔前の、今は失われた大阪の「路地裏」での人々の生活への郷愁を主軸にいくつかの不思議なエピソードを絡めた短編集であるが、それぞれに趣向が凝らされており楽しめる。性的なものへの暗喩をうまく使った「妖精生物」、冬を越すチョウを効果的に用いたはかなげな「凍蝶」の2作が秀逸。「トカビの夜」の、幻想的な夜中の屋根の上の情景や、生まれ変わりを扱った表題作「花まんま」も面白い。(2005年10月3日)



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