黒部五郎岳〜三俣蓮華岳〜雲の平 縦走      

平成8年10月5〜7日

L五十嵐宏之 田沢由美子 斎藤郁子 伝雅明  

5日 コースタイム12.5時間。
しかも有峰線のゲートが開くのは6:00で、出発時間の制限が有り、秋の日は短く、行動可能時間は少ない。
「休憩時間は10分。長丁場なので太郎平まではゆっくり歩く」が今日の行動ポイント。

 

紅葉真っ盛りの折立より、ゆっくり過ぎると思うほどのペースで歩き出す。
 今日は天気も良く、太郎平までは石畳の良い道が続くので、サンダルで登る。 独標を過ぎ、シラビソの林の中、連休にテンばった場所を懐かしい気持で通過する。
  紅葉の有峰湖を眺めて登り、尾根上に出ると沢を隔てて薬師岳が間近に望まれる。 沢底は紅葉に埋まり、頂上付近は雪で白くなっていました。 写真を写したりしながらも、太郎平までコースタイム5時間の所、途中二回の休憩を含め3時間45分で登ってしまう。
太郎平小屋で25分の大休止後、黒部五郎に向けて出発。
ただ残念なことに稜線にはガスがかかり始め、薬師岳や雲の平も見えなくなってしまう。
緩やかな起伏の太郎山を越え、北ノ俣岳への登りでは少し新雪が残っていました。 北ノ俣岳に着く頃には完全にガスに閉ざされてしまい、風も出て来て寒い。 数人の登山者が居てラーメンが暖かくて美味しそうでした。
 中俣乗越で二回目の休憩を取り、黒部五郎岳への登りはバテバテでした。
 頂上への分岐で休んでいると、ガスが晴れ黒部五郎岳の頂上が見え隠れして来て、カールの底にはブロッケンが現れ、みんな疲れも忘れて絶叫する。
 
黒部五郎頂上に登れば、青空の下に白く輝く雲海が広がり、薬師岳が浮かんでいる。
しばらくすると今日歩いて来たたおやかな稜線が現れ、明日向う雲ノ平も見えてくる。
やがて笠ガ岳も端正な姿を現し、遠く加賀白山も雲海に浮かんでいる。
 
ウイスキーで乾杯 !!
 ビデオを撮ったり記念撮影していると、白く雪化粧した槍、穂高がガスの切れ間から姿を現す。 これだけで今日一日の疲れも吹き飛び、歓声を上げる。
頂上には雪も有るが、風は止み、夕方の弱い陽射しとは言え暖かく、Tシャツだけでも 寒くはない。
黒部五郎小屋も小さく見えて安心する。日没の時間を気にしながらも、こんなに素晴らしい風景を見逃す手はない、ウイスキーを片手に、たっぷりと黒部五郎岳山頂からの景色を堪能する。
特に、雲表に浮かぶ槍、穂高の威厳に満ちた姿には感動でした。
 
黄昏の中、黒部五郎小屋に着き、冬期小屋2Fの狭い中にテントを張り、暖かい夜を過ごす。
夕食は郁ちゃん特製のカレーライスでしたが、伝さんのご飯炊きもこだわりの一品でした。
そして夜には満天の星、寒くてゆっくり見ていられないのが残念。
 
黒部五郎岳山頂で一時間過ごしながらも、10時間45分で小屋に着くことが出来ました。 
みなさん今日は一日ご苦労さまでした。

 

黒部五郎岳にて(郁ちゃん 由美ちゃん)   バックは薬師岳

 

5日 今日は雲の平まで、コースタイム7時間。
「のんびり歩き、たっぷり宴会」が今日の行動ポイント。
 
朝露を踏み、三俣蓮華岳へ向けてのんびり歩きだす。
朝の光を浴びて、枯草に付いた露が宝石のように光り輝いていました。
光り溢れる朝の山を私達だけで独占し、爽やかな稜線歩きをする。
最初の休憩場所、三俣蓮華岳山頂で岩陰に風を避け、槍、穂高を眺めての宴会。 酒とウイスキー肴は朝食の残りのお好焼き。 忘年会の話で盛り上がりました。
 
 三俣山荘にはテントが1張り、小屋もまだ営業していました。 そのおかげで三俣蓮華岳では人に逢い、シャッターを押してもらいました。 
小屋の前でも白い槍、穂高をバックにハイチーズ。
三俣山荘でチョッピリとウイスキーを飲み、紅葉が美しい鷲羽岳へと向う。
 
鷲羽岳頂上で風を避けての宴会。
キツネうどんに酒、ワイン、ウイスキーそしてお好焼きもここで全部平らげてしまいました。
鷲羽岳は今回の山行の最高峰だけ有って眺めも最高 !!
やはり眺めの第一は、雪を頂いた槍、穂高で、ここから眺める北鎌尾根は迫力満点。
そして越えてきた三俣蓮華岳と黒部五郎岳、さらに北ノ俣岳、太郎平へとたおやかな稜線が続き、薬師岳も雄大な姿で聳えている。
頂上で写真を写してもらい、雲ノ平へと向う。
祖父岳でザックを下ろせば当然ウイスキーのヒロタンです。
こうして休む度にアルコール燃料を補給する元気で健康的なヒロタンでした。
 
 誰も居ない雲の平でテントを張り終えた後はフリータイムとし、伝さんと郁ちゃんはテントキパー。
いつも元気な由美ちゃんとスイス庭園へ海外旅行の散歩へと出かける。
岩と池塘の点在する草原にははい松がアクセントを置き、谷越しに見る水晶岳がとても迫力が有りきれいでした。 足元には高天原が見下ろせたのですが、意外と遠く感じました。 黒部川を隔てた立山も印象的でした。
こんなステキな所をステキな由美ちゃんと散歩できるなんてヒロタンうれピ〜 ゴリゴリ‥‥‥
テント場からは黒部五郎岳が正面に見えるのですが、夕方になり日は傾き、空にも 雲が広がって来たため、今日の黒部五郎岳は暗く沈んで重苦しく感じました。
去年の黒部五郎岳は明るく華やぎ、暗い陰など微塵も感じなかったのに…
由美ちゃんが「秋は寂しいネ」と言っていた言葉に、返事も出来ませんでした。
去年見た、青空の元に光り溢れる日中の黒部五郎岳は、寂しさなど全く感じなかったのですが、やはり光の加減で、全然別の感じに見えました。
 
 夕食のシチューにはワインが良く合い、他に泊まる人もない広く静かな雲ノ平のテント場も、わずか1張りのテントで賑わっている。
 
雪化粧した槍ヶ岳   三俣蓮華より

 

 6日 今夜から私は夜勤の為に「4:00起床、明るくなるのを待って出発、早く下山」を今日の行動ポイントにする利己的なリーダーでした。
 
 今朝はガスが出て風も冷たく寒い。 今日一日雨に当たらない事を祈りつつ、暗いうちに起きて朝食を済ませ、ヘッデンの明かりでテントを畳む。 
予定どおり明るくなるのを待って出発、雲の平山荘の脇を通る時、発電機が回り初めて窓に灯りがともる。 雲の中の雲ノ平を後に黒部川へと急降下をする。
 黒部川の川原でゆっくりと休み、水の流れと紅葉をビデオに収め、パンとウイスキーを お腹に収める。
吊橋を渡り、小屋仕舞中の薬師沢小屋の横を通り抜け、紅葉真っ盛りの薬師沢沿いの道を進む。 去年より木道は上流まで延びていて、複線部分は郁ちゃんと並んで歩き、幸福なヒロタンでした。
本当は手でもつないで歩きたい… そんな感じの紅葉と木道でした。
 
 太郎平への登りではブルーベリーがたくさん有り、郁ちゃんは大喜び !!  「律ちゃん一杯有るよ!」叫んでいました。(二人は妙高で苺をたくさん摘みました)
 ガスと強風の太郎平。もうこの辺りの紅葉も終わりかけているのに、道の脇にはキンポウゲやシオガマが咲いている。 冷たい風に震える花々は寂しく哀愁を漂わせていた。
 
 太郎平小屋で「玄関で休ませて下さい」と頼むと食堂に入れて貰い、暖かい部屋でビール、酒、ワイン、ウイスキーと盛大な宴会をやる。
郁ちゃんが水をこぼしたり、由美ちゃんがビールのつもりで日本酒を一気飲みしてむせ、大笑いしたり… 
小屋番の人達はパンとコーヒーで静かに食事をしているのに、隣では大騒ぎをしている。
登山シーズンも終わり、せっかく山小屋も静けさと落ち着きを取り戻したのに“とんでもない人達を入れてしまった”と迷惑していた事と思います。
こうして共同の酒とワインは全部無くなり、顔をピンクに染めた郁ちゃんと由美ちゃんはセクシーでカワイ〜イ。
さすが酒当の伝ちゃん、ピッタシカンカンでした。
 
下山後の温泉で雨が降り出し、下山タイミングもピッタシカンカン。
さすがリーダーの計画は完璧と、自画自賛するヒロタンでした。

         

憧れ続けた“雲の平”も随分と身近に感じられるようになりました。
今度は花の頃に訪れてみたいと思います。
その時はどんな人と一緒に訪れることになるかは分かりませんが、
雲ノ平は優しく、暖かく迎えてくれることと思います。
そして、その時も楽しい想出をたくさん心に刻むことでしょう。

              ろろ                         ろろ          ろろ                   ろ                      

 ついに実現! 雲の平 。 ずっと前から行ってみたいとなと思っていた秘境 ‘雲の平’。 私の淡い願いが、ヒロタン、伝さん、郁子さんのお陰で実現する事になり、感謝の気持ち夢が叶う喜び… 沢山の幸せをかみしめた山行になりました。

 暦の上では連休でもないのに私達だけ2泊3日の贅沢な山行。 ヒロタンは月曜夜勤と言うにも関わらず、何くわぬ涼しい顔で今回の2泊3日の山行を喜んでいた。すごいねー。 

 有峰口でお決まりの遅い宴会を開いた後、眠りにつくが、何となく気持ちが高ぶって なかなか寝付けない夜だった。  

 6時、ゲートが開くと同時に折立へ向う。  紅葉目当てに来る人も多いのではと思ったが、意外に車の数は少なくひっそりしていた。

 

1日目 コースタイム12.5時間、出発時間も遅いため「休憩は10分以内に!」とリーダーに念を押され出発する。  太郎平小屋を過ぎ、太郎山、北ノ股岳へと順調に進む。 次第に青かった空は雲に覆われ、あたり一面ガスに包まれると、気持ちもダウンし、黒部五郎への登りが長く辛いものとなりました。

 分岐点でようやく腰を降ろし一息つき、ぼんやり遠くを見つめていると、今まで身体を吹きつけていた冷たい風が厚い雲を次々と吹き飛ばし、気がつくと、抜けるような青空のもと、大展望の中に私達は居ました。 そして、ブロッケン現象 !! 虹の輪の中に自分の影。  発狂寸前の大喜び! 感動の1シーンでした。

 ルンルン気分で黒部五郎山頂を踏み、元気を取り戻し、小屋へ向ったはずだったが、 一日の疲れが足に出たのか、それともはしゃぎすぎたのか、非常に小屋までが遠く感じました。

 冬期小屋の2Fを占領してテントを張る。  伝さん思いの優しい郁子さんは、自然食を心掛け、おいしいカレーを作ってくれました。 伝さんもその期待に応え、米を炊くならまかせなさいと、こだわりの飯炊き術で、皆を喜ばせてくれました。 忘年会の話で盛り上がり、興奮、冷めやらぬ間に消灯時間になりました。
 

 二日目 快晴の中、昨日とはうって変わり、のんびり山行。「休むたびに宴会だ!!」と嬉しそうな顔で言っているヒロタンの顔がとても眩しい。   

 裏銀座第一の展望台、鷲羽岳からは、雪をかぶった槍、穂高連峰が真近に見え、絶好のロケーションで素晴らしいの一言につきる。 

ワリモ岳、祖父岳を通り、雲の平には余裕の到着。 私達以外、このテン場には誰もいない……。 雲の平を独り占めしているのかと思うとちょっぴり優越感にひたり、白鳥麗子風にオーホッホッホッと高笑いをとどろかせる私でありました。

 夕食まではフリータイムとし、伝さんと郁子さんはテントでのんびり、ヒロタンと私はスイス庭園まで散策。 広大で平らな土地は山の中である事を忘れさせ、まさに秘境雲ノ平と言われるゆえんがわかった。 こんな所で悠悠自適の生活が出来たら最高だなー なんて思いながら木道を踏みしめ、テン場に戻りました。          

 早くも今夜は最後の晩餐となり、温かいシチューとワインで秋の夜長を楽しみ、最後に日本酒をチビチビやりながら閑寂な雰囲気に心落ち着けて幕を閉じました。
 

 三日目 風強くガスの中。 雲の平に別れ和告げ、黙々と薬師沢まで一気に下る。  急な下りも鮮やかな紅葉で、しばし、心がなごむ。

 ようやく太郎平小屋に到着し、振り出しに戻った。「玄関先で休ませて下さい」と遠慮がちに言ってみたところ、「食堂へどーぞ」と招いてもらい、ストーブのある暖かい部屋で休ませて頂きました。 ここでもまた持ち物全部をテーブルに広げ、軽量化、軽量化と唱えては、次から次へとたいらげてゆき、すっかり宴会気分。   
おかげで折立までの下りは心臓ドキドキ、顔もカッーと熱くて、一番辛い道のりになって しまいました。
 
鮮やかな紅葉の時期も良いけど、今度は花の咲き乱れる雲の平へ、妖精のように飛び回ってみたいなー
 絶対、そこは花の楽園に違いない !!
 

・・・月刊 稜友 November,1996より・・・   由美子

                                                                                                          

                    薬師岳      新穂高〜雲ノ平 山スキー

 

 北アルプス 

 

 ヒロタンの山行記録