伝説の暗部B
「…此れを、か…」
困惑を声に乗せる、彼に。
「まぁ、新人の義務だな。諦めろ。」
苦笑しながらポンポンと肩を叩く…相方。
「新人の、と言う事は俺だけなのか。」
それに彼は、更に混乱した声で問うのでもなく呟いた。
「それゃあ…その。」
対して。言葉を濁した、相方である。
「仕方ねぇだろ。同期が他に居ないのは運だ、甘んじろ。」
「・・・・」
沈黙してしまったのは致し方無いだろう。
此れまでの暗部の歴史の中でも珍しいと言う『同期入部無し』の身、なのである。
どれだけ入部試験が難しいとて、
毎年片手程はちゃんと入部していた…木の葉の、暗殺戦術特殊部隊。
なのにどう言う訳か、彼と同期で入部する筈だった人間達は次々と脱落して行って。
折角入部しても、すぐに止めてしまったりして。
…結局、現時点で『新人』と呼ばれる存在は彼唯一人なのであった。
どうして、と問うた彼に皆は
『此れ以上此処にいると理性を失くしそうだから』だの
『真っ当な恋愛が出来なくなりそうで』だの…
複雑な表情で言い残して行った。
明らかに彼への『ことづて』らしいのだが、未だその言葉の意味は判っていない。
で
「ほら、皆も待ってる。とっとと用意しろよ。」
「…ああ。」
相方の言葉に、渋々頷く…彼。
そして彼が漸く準備を終えた頃、何処かで鳥が、鳴いた。
木の葉に侵入を果たした、一団。
…彼等はとある里の成り立て上忍達であった。
上忍としての自分の腕を里に示すべく腕試しに木の葉に侵入した、
血気溢れる馬鹿者達と言えば良いのだろうか。
そして実は一つ、彼等には…里からの命では無いが…目標があった。
と、その時である。
「…!!…」
音も無く、気配も無く。
唐突に目の前に現れた人影に、侵入者達の動きが一瞬止まる。
そして
「グハッッ」
「八卦六十四掌。」
見事な体術の前に、侵入者共があっけなく倒れ伏して行く…
「何故だ。何故、皆俺を見ると動きが止まる?!しかも今日等は…」
拳が触れる前に 顔から血繁吹いていた
苦悩する、暗部上忍日向ネジ。
その頭の上では…本日決行予定だった『暗部新年会』の余興の…犬耳が、
チャクラに反応してピクピクと可愛らしく揺れている。
そして尻では、ふさふさの犬尻尾がゆらゆら揺れていたりもしていた。
敵が鼻から血を吹いた理由に気付けぬ彼は、自分が
『木の葉のお艶気暗部』
として知れ渡って居り。
今倒した連中がその見物にやって来た者達だった、なんて裏事情を。
全く解っては、いなかった…
終