約 束 2
まるでぬるま湯に浸かっているように日々がすぎていく
こんな状態って経験したことが無くてオレはとまどっていた
だってオレはいつも一人だったから・・
とまどうのはそればかりじゃなくて
傷が塞がり、毒も抜けた体をまた戦える状態へもっていくために
訓練しているオレをじっと見つめては
休憩にはいると同時に近寄ってきて話しかける子供
「ねえねえ おにいちゃんも忍者?」
「あっ ああ そうだよ」
「すごいね〜 とーちゃんと同じ額宛だね〜
あのねイルカも大きくなったら とーちゃんと同じ忍者になるんだよ」
「お前・・オレのこと怖くないのか?」
「イルカだよ お前じゃないの〜 おにいちゃん怖くないよ?」
だってとっても綺麗な青い目してるからイルカ大好き〜
「あのね 内緒だよ おにいちゃんにだけ見せてあげる」
これねイルカの宝物なの
ポケットからそうっと取り出したのは真っ青なビー玉一個
綺麗でしょう? お空の色だよ お兄ちゃんと一緒だね
どうして怖くないなんて言えるんだよ
どうして綺麗なんて言えるんだよ
みんな オレと係わった奴らは口を揃えて言ったのに
一緒に任務に赴き 仲間だと信じていた奴らでさえ
アイツは化け物だ・・・
子供のくせに人を殺めて顔色一つ変えやがらねえ・・・
6歳で中忍だってさ 天才様ってか?
天才なんて言うな! オレはただ生きてきただけだ
殺さなければオレが殺されていたのに
それなのに生き残ったオレをみて化け物とささやく
いい加減にしてくれ それが任務なんだろう
「・・ちゃん ねえ おにいちゃん?」
「・何?・・」
「とうちゃんから聞いたんだ おにいちゃん天才だって」
「やめろっ!」
イルカはビクッと震えてポロポロと涙をこぼして泣き出した
「ふっ うえええ〜〜んっ お おにいちゃんが怒った〜〜〜」
「あらあら イルカは泣き虫さんね」
いつの間に・・ 気配なんて全然感じなかった
「うっ くっ かあ ちゃ・・」
「迎えにきたのよ もう遅いわ カカシ君も今日の鍛錬はこれくらいして帰りましょう
ほおら イルカは天才でしょ 泣いちゃおかしいわ」
えっ 天才? イルカが
「うううっ イルカ天才だからもう泣かない・・・・」
「天才って・・・」
「とうちゃ が言ったの 沢山れんしゅうして頑張るひとが
天才っていうんだ って・・・ ヒイィック」
頑張った人が天才・・・
「おにいちゃんは とってもたくさんたくさんシュギョーしたって
だから天才って言われるんだって」
「そうよ カカシ君 君はいつも頑張っていたでしょう
ちゃんと見ている人はいるのよ」
いままでそんな事言ってくれた人なんていなかった
いやそうじゃない四代目がいつも言ってくれていたんだ
「カカシ君は本当にがんばりやさんだね
でもね 君はまだ子供なんだよ あまり無理はしなくていいんだ」
そういいながら君に任務を与える私は偽善者かもしれないけどね
四代目が 海野上忍にオレを預けたわけが判った気がした
頑張ったね 辛かったね
オレを中忍としてではなく、ただの子供として扱ってくれる人たち
そう オレは 天才忍者じゃなくて ただカカシとして見て欲しかったんだ
「おにいちゃん・・ 泣いちゃダメ・・」
イルカに言われるまでオレは自分が泣いていることにさえ気づかなかった
ナギさんは微笑んで黙ってハンカチを差し出してくれた
「・・イルカ オレって天才かな?」
「うん おにいちゃん天才 イルカも天才〜」
「そっか じゃあ 一緒に里一番の天才忍者になろうな?」
小さくて温かな体を抱きしめて言うと
「うん! いっぱい シュギョーして天才になるね 約束だね」
「ああ 約束だ!」
それから二週間後、オレは海野上忍の家からでて任務にもどった
だけどもう迷うことは無い オレはイルカと約束したんだ
任務の合間を縫ってイルカに会いにいくと
海野上忍とナギさんはいつも笑ってくれた
後で知ったことだが ナギさんも上忍だったんだ
どうりで気配を微塵も感じさせないわけだ
「お帰りなさいカカシ君 任務ご苦労さま」と言って迎えてくれる
大切なイルカ かわいいイルカ お前を守るためにオレは生きるよ
それからは幸せな 夢のような7年間だった・・・
まがまがしい 赤い月 あの悪夢の夜が訪れるまでは・・・・