約 束 3
「なにやってんの? イ・ル・カ?」
なにかに夢中になっていてオレに気づいていない
イルカの背なかをトンッと押した
とたんに 「う うわわっ ああ〜」
ドシュ ズゴッ ゴンッ ボトッ・・・
「あっ あああ〜〜〜 動いちゃった〜〜〜」
「えっ? あ あれっ イルカ・・・ 」
くるりと振り向いたイルカの目は笑ってない? というか
涙目になっているじゃないか? オレ 泣かすような事しちゃったのか
「カカシにいちゃん・・・もう少しだったのに 失敗しちゃった〜!」
「え〜と ごめん 何やってたんだ?」
手元を覗いてみると どうやらトラップを仕掛けていたらしい
しかも 一つ 二つ 三つ 四つ? 連鎖式トラップ?
ちょっとまて! アカデミーに入って2年のイルカがこれを仕掛けたのか
クスクスッ
「そこらへん一帯はイルカのトラップだらけよ 歩く時は気をつけてね」
「ナギさん?」
「ええ お帰りなさいカカシ君。イルカはカカシ君にお帰りなさいって言ったの?」
「ううんまだ お帰り〜 カカシ兄ちゃん」
「ただいまイルカ 凄いトラップだね 邪魔してごめ〜んね」
「いいよ また仕掛けるから これね今日初めてやってみたんだよ」
「イルカそろそろ片づけて家に入りなさいな
カカシ君は 今度は何日くらいいられるのかしら?」
「えっと 三日間は休みです」
「やった〜! じゃあ泊まってくよね あとで一緒にお風呂入ろうね〜」
「いいかしら? カカシ君」
「はい あの泊まっても良いですか?」
「今更遠慮はなしよ? 貴方が泊まってくれないとイルカが拗ねて大変なの」
いつも温かく迎えてくれる優しい人たち
だからオレはここに この家に還ってこれるんだ。
「ひどいや かあちゃん・・イルカ拗ねたりしないよ」
「そうかなあ〜 さあ今日はカカシ君の好きなもの作りましょうね」
「イルカも イルカも一緒に作る〜」
風呂に入って夕食を済ませるとイルカは話しはじめた
オレが任務でいない間にあったことを全て話しつくす勢いで
あのね あのね・・ カカシ兄ちゃん あのね
頬を赤く染めて目をキラキラさせて それはそれは楽しそうに
「・・・んう・・」
「イルカ? もう布団で寝ろよ」
「にいちゃ・と・ 一緒に 寝る・・」
喋り疲れて寝てしまったイルカを布団まで運んで居間にもどると
ナギさんがホットミルクを入れてくれた。
「お疲れさまカカシ君 イルカのお喋りに付き合ってくれて有難う」
疲れたでしょう?
「いえ オレも楽しんでるんで構わないんですけど あの聞いてもいいですか?」
「なにかしら?」
「昼間みたトラップですけど あれってアカデミーレベルじゃないですよね
仕掛けが木や石じゃなければ実践向きだと・・・・」
「あら わかっちゃった? イルカが最近興味もっているのよ」
やっぱり 普通じゃないよ ナギさん・・・
興味持っているからって 教本飛び越していきなり実践レベル教えるか?
イルカももう8歳になる アカデミーに入学して2年たったが
どうやらアカデミーでは落ちこぼれと言われているらしいんだな
基本が全然出来ない以前に変則的すぎて担任に認めてもらえないとか
ナギさん曰く
「私 アカデミーで劣等生でも全然かまわないのよ
基本は大事だとは思うけど イルカには実用性のあることを教えたいし
だって基本通りだと 戦いの場ではすぐに先を読まれちゃうしね」
さすが上忍ていうか実行し教えるだけの実力もあるんだなこれが
8歳児がトラップを仕掛け・・薬物についても結構詳しい
ただイルカには遊びの感覚でやらせているので本人は気づいていないだけで
そして海野上忍も遊びにかこつけて体術を教えつつ
印の組み方も教え込んでいた それもアレンジしまくった奴を
オレも一緒に付き合わされて色々教えて貰っている
そりゃあ オレもそれに乗ったけどさ
イルカは素直で物覚えが早いからな〜 教えるのも楽しいんだよ
オレが教えられるのは二人に比べたら大したことじゃないけど
「カカシ君・・ 上忍試験の推薦があるんですって?」
「えっ ああ はい 受けて良いのか迷っているんです」
「ねえ カカシ君 ちょっと出ましょうか?」
大丈夫 イルカは起きないわよ
ナギさんに連れてこられたのは火影岩の天辺
見えるのは眼下に広がる里の夜景・・・所々に灯るあかり
「綺麗よね 里の灯りって・・・」
「私達がイルカに実践で使える技を教えるのはね
二人とも忍びだからなの いつ任務で命を落とすかもしれない
最悪の場合イルカを残して二人とも逝ってしまう可能性だってあるのね」
そのためにも イルカに生き抜いていく術を残して置きたいの
普通はアカデミーを卒業して下忍になって
スリーマンセルを組みながら経験を積んでいくものでしょうけど
イルカって何にでも興味もつし 覚えは早いんだけど ああ手先も器用だし?
でもチャクラの絶対量が少ないのね まあ良くいって中忍までだと思うわ
カカシ君はチャクラについては大丈夫だけど
私から見たら上忍試験はもうちょっと経験つんでからがいいと思うの
「遠慮してもしょうがないから単刀直入にきくけど
耐毒訓練もう開始してる? 13歳だとそろそろ閨の方もあるわね」
「・・はい・・・」
「そう 私本当はイルカに兄弟を作ってあげたかったの
だけど体はもう薬漬けでだめなのね 妊娠してもすぐ流産してしまって
仕方がない事とは判っていても辛かったわ」
イルカが無事生まれただけでも奇跡のようなものだったし
だからあの子には生き抜いてほしい
それはカカシ君にも言える事なのよ?
上忍になれば任務の難易度もこれまで以上に高くなるの
それに対応できる体と技を身につけてからでもいいと思うわ
「私たち忍びが守っているのは この平和な里の灯りだけど
私が一番に守りたいのは潮さんとイルカとそしてカカシ君あなたよ」
だから あせらずに、しっかり力を蓄えてから上を目指してほしい・・・
夜空に瞬く星明かりと地上で灯る家の灯り・・二つのあかりを見つめながら
オレはナギさんの言葉を胸の奥にしまい込んでいた