only one A
そして場所は受付所へと替わり・・・・・
「イルカ先生〜〜〜 ねえねえ ちょーっと答えてほしいんですけどぉ」
「はたけ上忍、今受付中です 任務外の事でしたら後で伺いますから」
暗に邪魔だといっているのに、机のまえから動かない男に頭が痛くなる
いや気づいていながら、無視してるってところだろうが
相手をしてやらない限りここから動きそうにもないな〜
「おい イルカ・・・ 何とかしてくれよ 仕事になんねえよ」
同僚達に脇腹つつかれて対処しろよと言われるし、しょうがないなぁ
「わかりました 質問は的確かつシンプルにお願いしますよ」
「的確かつシンプル? シンプルに・・・」
口の中でしばらくぶつぶついっていたが、開口一番
「オレが一番ですよね?」
「何が一番ですか いきなり」
「そりゃ 男として アナタの恋人としてですよぉ 当然オレが一番でしょ」
「・・・順番なんてつけられません」
「ええっ なんでっ?」
「何でって言われても 順番つけてほしいんですか?」
そのまま見つめ合っているとブルブルと震えだし露わになっている右目に涙が浮かび上がった
「だ だって だって・・・ 絶対オレが一番だって そう言ってくれるって
うわあぁあ〜〜〜〜ん イルカ先生のバカあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!」
ガシャン ゴガッ・ ドドドドドドッ・・・ 叫び声が木霊する中を
上忍にあるまじき地響きを立ててカカシは受付を飛び出して行った・・・
「あ〜 海野中忍?」
「・・はい主任 なんでしょうか?」
「取りあえずだな そのドア直しといてくれや」
「はい? 私が直すんですか?」
「そうお前がだ! どうみてもこの惨状の原因はお前さんのようだからなぁ」
何で俺が・・・・・・ でも周りの視線は俺を責めてるし なんだかな〜
とにかく蹴破られたドアを片づけようと外にでると、
廊下にたむろしている人影が目に入る
なにやら騒いでいて俺の気配に気づいてないみたいだが気になる言葉が耳に入ってきた
「やったっ カカシに泣きが入ったね 俺達の勝ちだ! ほら早く出して」
「しょうがないなー まっいいや 面白かったし ほらこれでいいでしょ
ちっ帰りにお汁粉食べようと思ってたのにさ〜」
「なあゲンマこれで今晩は飲みにいくか?」
「そうですね〜 紅さんどうします?」
「私はカカシが笑うほうだと思ってたんだけど、カンが鈍ったのかしら」
この人たち!! 俺とカカシさんをネタに何か賭けてたな!?
「これはこれは、上忍・特別上忍の方々皆さんおそろいとは いったい何事ですか?」
「!? イ イルカっ おまっ いつからそこに・・・」
「たった今です それよりちょっと気になる言葉を小耳に挟みまして」
「あ〜 ごめぇん アタシ今から任務だから じゃサラバ!」
「逃がしませんよ アンコさん 今晩アナタに任務は無かったはずです!」
「あうっ イルカ〜 ちょっと怖いよぉ」
「いや イルカ ほらあれだ ちょっとしたお遊びだぜ お遊び・・・」
「全員そこを動かないでいてくださいね」
「お遊び」の言葉を聞き流さず室内に戻ったイルカは
聞き耳を立てていた主任や同僚達に一応は断っておこうと話かけた。
「主任申し訳ありませんがこの騒ぎの原因がわかりそうなんで少々時間を頂きます。」
「あっ ああいいぞ でも戻りが遅くならないようにはして・・・ くれるよな?」
さあ許可はとったし、遠慮することはないな ぐるりっと逃げ出しそうな顔ぶれを見渡し
「さて皆さんちょっとそこの会議室までお付き合いいただきましょうか?」
それから一時間 会議室に連行された上忍・特上諸氏は笑顔を張りつかせたイルカの
『白状するまで逃がしません』と言わんばかりの鋭い目線に洗いざらい吐かされたのだった。
「なあ カカシをからかうのは面白れぇが・・ イルカを怒らすのはやめようや」
「そうですね 真面目な人ほど怒らせると怖いって事で・・・」
「んもうっ アンタ達が要領悪いからアタシまで巻き込まれちゃったんじゃないか〜」
「そう言うな・・ とっとと直して帰るぞ」
「なあカカシのヤツ 結構愛されてるんじゃねぇの」
「私のカンははずれてなかったって事ね」
「あの海野さんがね〜 結構言うもんだなって 以外っすね」
「根性座ってるよな 俺等見直しましたよ」
「うまく仲直りしてくれりゃいいんだが・・・」
「大丈夫よ イルカちゃんなら 今頃カカシを見つけてるわよ 多分・・・」
「ハヤテの言ってたのは、この事だったんだな〜」
「あなた達・・これくらいで済むと思っていたら甘いですよ」
ハヤテがこの場にいたならそう言い切ったことだろう
いつも笑顔の中忍の怖さを上忍達が心底実感するのはその数日後だったのだが
そろいもそろって馬に蹴られたんだなあと思いながら
残留しているチャクラをたどってカカシを見つけたのは火影岩の見える展望台で
銀色の男は背中を丸めてグズグズ泣いていた
これが他国にその名も鳴り響いた上忍だなんて依頼人には見せられない姿だよなぁ
「くすん イルカせんせのバカ 浮気者 オレというものがいるのに〜〜〜」
「誰が浮気者なんですか? 捜しましたよ カカシさん」
「もうイルカせんせなんか知りませんよ〜だ」
「俺に見つけて欲しかったんでしょう? わざわざチャクラ残してきたクセに
何拗ねてるんです アナタが一番だと言わなかったからですか?」
イルカはそっと口布を引き下ろして涙と鼻水でグチャグチャの顔を拭いてやった。
「せっかくのいい男が台無しじゃないですか」
「だってオレはイルカせんせが一番好きなのに・・・ イルカせんせは違うんですね」
「そんなに比べられたいんですか? 俺は一番って言われてもあまり嬉しくありません」
「なんでそんな事いうの? イルカせんせ冷たいです」
「あのですね 一番だって言うときアナタいったい俺と誰を比べてるんですか?」
「えっ 誰って・・・・」
「アナタのね 今までの浮き名の華々しさは良く知っていますよ」
『ああ イルカ先生の中が一番気持ちいい アナタが一番好き・・・』
抱き合う度にそう言う人・・ 過去のアナタの恋人達に嫉妬している俺はバカみたいで
今は一番 でもいつかはその場所も誰かに取って代わられるのかもしれないってね
順番つけるって事は、俺は他の人とアナタを比べなきゃいけないって事です
どうしてもっていうのなら俺にはアスマさんやゲンマさんにでも抱かれなきゃ判りません
「ダメッ ダメです そんな事しちゃ絶対ダメですから!
そんな事したらオレはアスマだろうとゲンマだろうと八つ裂きにしてやりますよ」
「アナタ以外の男に抱かれようとする俺は殺さないんですか?」
「オレには・・アナタは殺せません それくらいならオレが死にます。」
「カカシさん痛いですよ そんなに強く抱きしめられたら」
『イルカはな〜 懐が広いっていうか浅く広くっていうか誰でも受け入れるだろ?
でもみんな横一列で、じゃあお前は何処に位置してるんだろうな?』
アスマ達がいった言葉、そう誰にでも優しいイルカ先生 それは知ってる
だけどオレは子供のようにその中でも特別だって言葉が欲しかっただけだった。
「カカシさん 俺はね」
「ごめんなさい イルカ先生・・・」
「俺は一人で生きていくつもりでした その俺の中に踏み込んできたのはアナタです
そして俺はそれを受け入れたんです。側にいるだけではなく溶け合うほど躰をあわせて」
そうだった アナタは何時だってオレが求めるだけ惜しみなく与えてくれる。
「今まで、そんなに俺の奥深くまで入って来た人は一人もいません
だから・・ 順番はつけることができないんです」
ああイルカ先生の黒い瞳が揺れている・・・
オレは何て事を言わせてしまったんだろう でも次に聞こえてきた言葉にオレは耳を疑った
「アナタにとってはどうだか知りませんが 俺にとってアナタは… 唯一の人です」
「イルカ先生・・ それって すっごい殺し文句だよ」
どうしよう どうしよう 嬉しすぎてドキドキが治まらない
「もう一度聞かせてよイルカ先生」
「あんな 恥ずかしいことは一生に一度いえば十分です! さあ家に帰りますよ」
それを俺は今日二度も口にしたんだぞ! 二度と言うもんか! と呟き
背中を向けたイルカ先生の耳とうなじは真っ赤になっていて
思わず背中から抱きしめてしまった・・
「ごめんオレの最初はアナタじゃなかったけど
でも誓ってアナタがオレにとって最後の人だから 愛してるイルカ先生」
「俺も・・ 愛しています けど・・アナタ、何処固くしてるんです?」
「えっ 判っちゃった? イルカ先生があんまりカワイイこと言ってくれるもんだから
オレのナニも臨戦態勢が整っちゃって・・ エヘッ」
「エヘッじゃありません エヘッじゃ あっこら腰をすりつけないで下さい」
「イルカ先生 今すぐアナタの中に入りたい もっともっとアナタの奥まで行きたいよ・・」
そんな二人を物陰から見つめる視線があった。
「ほー 雨降って地固まるってか 元の鞘に収まりそうだな」
「アスマさん そろそろデバガメやめて帰りませんか?」
「何いってんだよ ゲンマ カカシの刀がイルカの鞘に収まんなきゃ仲直りじゃねえだろ?」
「アンタ まさか濡れ場まで覗くつもりですか? ここまできたのは俺たちだけですよ」
「隠れて覗かなくてもカカシのヤロウはすっかりやる気満々だぜ
だけどイルカの口元が良く読めねえな もう少し近づけば・・ 痛ッ!」
「やめた方がいいですって 海野は一筋縄ではいかない男ですから」
「・・そのようだな・・何時の間に張り巡らせたんだか」
気づかない間に周辺に張り巡らされた蜘蛛の糸のような鋼糸の網・・・
風のように触れただけでスッパリ切れた なんて切れ味だよ
イルカはアンダー捲りあげようとするカカシの腕をするりっとかわし
カカシの頭を抱き寄せて口づけては耳元で甘く囁いて誘う・・・
「ここでは遠慮しますよ 俺にはギャラリーの中でコトに及ぶ度胸はありません」
「ありゃ イルカ先生気づいてたんだ? まいったね見せつけたかったのにやっぱりダメ?」
「ここではね それにアナタだけじゃありませんよ 俺もこんな状態なんです」
そう囁いて押しつけられた腰はしっかりとした固さと熱を伴っていて・・・
同じ熱を共有している そのことに嬉しくなってしっかりと抱きしめた。
「俺を焦らすんですか? こうなった責任とって早く連れていって下さいよ」
「了解しましたっ! 今すぐに連れていったげます!」
黒い瞳と目が合い左手がフワリと翻ったと思った瞬間二人は抱き合ったまま消えていた。
「はあっ 気殺していたんだがなぁ カカシは最初から気づいていたが、
イルカのヤツもしっかりこっちを牽制していきやがったぜ」
「いいじゃないですか 多分明日は二人とも姿をみせないと思いますよ 間違いなくね
はいこれ・・ こんなの送ってよこしましたよ アンタ宛のようですね」
「かっは〜〜〜 参ったぜ!!」
ゲンマに渡された紙には達筆な文字でこう記されていた。
『猿飛上忍 明日の七班の任務の引率をお願いいたします
あわせて私の有給の連絡もお願いしますね 海野イルカ』