腕を掴んだまましばらく無言で見つめ合い・・・ややあって

 

「お前が・・・あの時の暗部なのか?」

「は〜い そうで〜す♪」

「そうで〜す♪ じゃねえ俺の・・・俺のアンダー返せ!」

「えっ? アンダー? 何それって」

「6年前にお前がもっていった俺のアンダーだよ!!」

 

ガックリ・・・思わず力が抜けたね オレは・・・

違うでしょ イルカ先生〜 こういう時って 

『貴方だったんですね よくご無事でっ』って

ガシッと抱き合い熱い抱擁を交わすところでしょう?

愛が感じられません・・・イルカ先生

なぁんで、ここでアンダーがでてくるの?

オレなんて答えたらいいんだろ

黙っていたらイルカ先生が先に動きだした。

 

 

「いいから 家までこい 取りあえずその傷の手当てはしてやる!」

「手当してくれるのイルカ先生」

「怪我してるのに捨てて行けないだろーが」

「イルカ先生 6年前と変わってないね」

 

 

 

家まで・・・連れてきちまった 

どうして毎度同じこと繰り返しちまうんだろうな俺は

風呂に入れて、手当てした傷口に包帯まきながら聞いてみた

 

「お前 あ いや はたけ上忍・・・」

「いいですよお前で そう呼んでよ 前みたいに」

「・・・」

「はたけ上忍なんて呼んだら返事しませんよ」

「・・わかったよ じゃあ その ・・おっお前 

あの時なんで俺を殺さなかったんだ?」

「何でって言われても・・・」 

「俺は、アンタのチャクラが戻って動けるようになったら

殺されるだろうなって覚悟してたんだ

 そうされても仕方ない事しているって自覚はあった」

 

 

「イルカ先生がね オレに生なきゃだめって言ってくれたから」

「聞こえていたのか?」

「うん それまではね 誰もオレに生きろとは言ってくれなかったよ

  殺せとは言ったけどね」

「・・・・・」

「アナタはオレを抱きしめてくれたよね・・

顔もしらない暗部のオレを・・・

人の体温が温かくて気持ちいいと思ったのは初めてだった

この温かさを無くしたくないって思ったんですよ。」

 

「アナタを無くしたくなかった、アナタの傍にオレの居場所がほしかったんです」

 

暗部じゃ傍に寄ることは出来なかったし、顔も名前も告げられなかったから

あれから何度も任務の途中、里に戻るたびにアナタに会いに行きました。

でも声を掛けることは出来なかった、暗部を抜けるのに6年かかったんです

 

 

 

ああ もう・・ なんだってんだよ この人は

 

「あの時 あの一帯を荒らし回っていた賊を片づけたのはお前だろ?

里に帰った時に聞いたんだよ、30人を越える賊が殲滅されたって」

 

髪も下ろしてベストだけで帰ったおかげで

あらぬ詮索をうけたんだ、賊に襲われたんじゃないかってね・・・

お前はご丁寧に目立つ跡を幾つも残していってくれたから

 

「あ〜 そのぉ オレの事忘れてほしくなかったから

ああすれば アナタ怒っていつまでもオレの事覚えていてくれるかな〜って」

「たしかに 忘れられねえよな、お前に関する記憶って最悪だからな 
 
 一応聞いておく あの時・・・・犯ったのか?」

「犯ってませんよ 躰なんとも無かったでしょう」

「そ・そんな事俺にわかるもんかっ
 
 そんな経験なんて無かったし、誰にも相談なんて出来る事じゃねえだろーが!!」

 

真っ赤になって 怒鳴って何を口走ったかなんて気づいちゃいない人

 

「さあ 手当はすんだ もう帰りな」

「ええっ イルカ先生 オレを追い出すんですか〜?」

「あったりまえだ 手当のほかに用はねえからな」

 

相変わらず 手強い人だね〜〜〜

 

 

 

 

 

あれから一週間たった

受付は終了時間で今日の任務報告書はすべて受領したし

残っているのは俺と同僚のヤシマだけだった

もう戸締まりしても大丈夫だろうな

 

「ハアッ・・・・」

「なんだ〜 イルカ溜息なんかついて」

「なあ? 拾っちまったモン もう一度捨てちまったらマズイかな〜?」

「なんだよ お前犬か猫でも拾ったのか?」

「ん〜 似たようなもんだけどな〜 家に居着いちまって困ってるんだよ

 どんなに追い出しても 戻って来ちまうもんだからさ〜」

「わかった お前餌付けしたんだろ」

「エサなんてやってねえよ 怪我してたから手当してやっただけだ」

「里親探したらどうだ? 仔イヌや仔ネコだったら見つかると思うぜ

大きくなっちまったら なかなか里親もみつからないけどな

 そうじゃなきゃ 拾った以上は責任もって飼うしかないぞ」

 

責任もってって、アレを飼うのか? この俺が・・・・

 

ヤシマって良いヤツなんだがおしゃべりなんだよな

しゃべり出したら止まらないっていうか

 

「あのな イルカ イヌだったら 30日以内に登録して鑑札貰わなきゃだめだぞ

それから狂犬病の予防注射とか フィラリアも受けていた方がいいな」

「お前 詳しいな」

「・・娘がな・・ 仔イヌ拾って来たんだよ しょーがねーだろ」

「そっか お前も大変だな」

「いや〜 それが 飼ってみると以外と可愛いんだよ これが

 俺が帰ると尻尾ふって玄関まで迎えに出てくるんだぜ なんか癒されるんだよな」

 

癒される?・・癒されるのかよ? 本当に

おれは振り回されて一気に老け込みそうな気がするんだが

 

「名前は決めたのか? ちゃんと誰が主人か教えないと

自分が上だと思ってワガママになるからな 最初が肝心だぞ」

「もう 遅いと思うな 俺の言うこと全然聞かないヤツだし

 毎日がいたちごっこでさ〜 

 だけど 可哀相だし 面倒みてやろうかなって気にもなるんだよなぁ」


これってほだされちゃってるってことかな〜

 

「お前 疲れてんなぁ・・・ ゆっくり休めよ そしたら元気もでるからさ」

 

 

 

ガララッ 

「イルカ先生〜 帰りましょ〜」

あ〜 頭痛の元がやってきた

 

「おいイルカ! はたけ上忍だぞ」

「うん 責任取らなきゃダメなんだよな?」

「お前何いってるんだ? おい目が虚ろだぞ 大丈夫か?」

 

おいでおいで〜 手招きしたらニコニコ笑って俺の机の前までやってくる

耳をピンとたててあるはずのない尻尾を振っているのが見える気がする

 

ほいっと右手をだすと パシッと手を乗せてきた

そのまま手を引いて良くできましたとばかりに 

頭をかいぐりかいぐりしてやったら

「ん〜〜〜〜っ イルカ先生〜早く帰ろ〜〜」

って俺に抱きついて首筋に鼻先を埋めてきやがる

 

「お・おい イルカ お前・・・」

「なあヤシマ オレこいつ飼わなきゃいけないかな〜?」

「へっ? ちょ ちょっとまて そりゃイヌじゃねえ 上忍様だぞ」

 

「アンタ 余計な事いわないよーにね」

 

せっかくイルカ先生落ちる寸前なんだ変な入れ知恵されちゃ困るんだよ

 

「こらっ 無闇に殺気ばらまくんじゃない!」 

 

ガゴッ 言葉と同時にゲンコツが入った

上忍にゲンコツ? パーじゃなくてグーで・・・

 

「イイイ・イルカ・・・お前・・」

「ヒ・ヒドイ イルカ先生〜〜」

「俺が世話する以上は、俺の言うこと聞いてもらいますよ?」

 

それができなきゃ・・ 無言ににらみつけると

眠たげな目が目一杯見開かれたと思った瞬間

 

「何っでも聞きます!! 

イルカ先生ん家にオレのこと置いてくれるならオールオッケーですよ!」

 

しかたねえ 腹くくるか 俺も男だ

 

「まあいいか さあ帰るとするか おいヤシマ帰るぞ」

「あ・あ 先帰っていいぞ 俺が鍵かけておくから・・・」 

 

「そうか? じゃあ頼むわ ほらカカシ帰るぞ」

 

中忍に抱きついて大喜びする上忍 これって視覚の暴力だよな

しかも呼び捨て・・って 心の中はムンクの叫び状態

イルカがカカシの手を引いて帰ったあともヤシマは立ちつくしたままだった

 

 

 

 

翌日新たな噂が流れたのは言うまでもない









続く  5←   →7

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意地っぱりの恋 6