人には言えない上忍の事情
「ふう〜 今日は風が強くてまいったぜ!」
「まったくだわ おかげで髪がぐちゃぐちゃ早く帰ってお風呂に入りたいわ〜〜〜」
「おいおい ありゃ何の騒ぎだ?」
「アタシにわかるわけないでしょ アンタと一緒に今戻ったんだから」
「あ〜 悪りぃな」
アスマが聞いたのは目の前に広がる光景のことだったのだが
廊下の先に人だかりがしているのは多分医務室の前だろうな、
なんて思いつつも何だか面倒に巻き込まれそうな予感がして
思わず回れ右しそうになってしまった
「ちょっとアスマ? アンタ何逃げ腰になってるのよ
ここ通らないと報告書だせないのよ」
「紅ぃ〜 すまねぇが俺の分まで報告書だしちゃくれねぇか?」
「いやよ 何よアンタ一人で逃げだす気? いいからいらっしゃい!」
近づくにつれ、ぼそぼそとした囁き声が耳に入ってきて
ああやっぱり面倒事だよな〜 と現実逃避にはいろうとしたが
「ほら 早く聞きなさいって」
と紅に背中をたたかれ逃げられる訳もなく理由を聞く羽目になってしまった
『・・何で俺が聞かなくちゃならないんだよ・・・
何だか異様な雰囲気を醸し出している野次馬どもに聞くのもなぁ』
「あ〜 お前らこんな所で仕事ほったらかして何やってるんだ?」
問いかけに帰ってくる声も、ヒソヒソ声で
お前ら頭大丈夫か? と言いたくなってもしょうがねぇだろう?
「あっ 猿飛上忍・夕日上忍 いえっ あの〜〜」
「すいません 仕事を放棄する訳じゃないんですが・・・その」
「いいから言ってみろ」
お前言えよ いやお前から言ってくれよ〜 等と押しつけあっていやがる
いいかげんにしろよなと思わず込み上げてきた殺気に触発されたのか一気に話しだした。
「そのぉ30分ほど前に7班が任務報告にきたんですが、受付すませると同時にイルカが」
「そうなんです、イルカがはたけ上忍ちょっと私についてきてくださいって言って」
「なるほど、それから医務室に籠もりっきりってわけかい だけどなあ
それくらいの事でなんでこんなに野次馬がいるんだ?」
「そうなんですけど・・ 聞こえてくる声がですね」
まあ猿飛上忍も聞いてくださいって 俺たちの気持ちがわかりますから〜
ほとんど泣き出しそうな中忍に促されて耳を澄ませるとイルカの声が聞こえてきた
『カカシさん お願いですから力を抜いてくださいよ もう何度言わせるんですか!』
『無理ですぅ イルカ先生〜〜 痛いのは痛いんですよぉ』
『とにかく、そんなに力んじゃ入るものも入りません』
『うっうっ イルカ先生が入れてくれるなら頑張ってみます・・・』
『別に頑張らなくても良いんですよ ちょっと力を抜いて下さればね』
『はっ はいお願いします』
『ああっ又失敗した ちょっとアンタ動くんじゃない!!
アンタが暴れるから入れるの失敗するんだ!』
『だって オレ昔っからこれだけは駄目だったんですもん〜〜』
何だ 何なんだ この会話は・・・ イルカえらく強気じゃねえかよ
どうにもこうにも、ヤバイじゃないか?っていうよりイルカが攻めだったのか?
隣では紅が目をキラキラさせて聞き耳たてていやがるし
『あっそこに俺の秘蔵お宝写真が落ちてる!!』
『えっ イルカ先生のお宝写真? どこ どこです うわわっ』
『よし入った ほら暴れないでくださいって ちゃんと入りましたよ』
『痛い! 痛いです!! イルカ先生オレの事だましたんですね
こんなのだまし討ちじゃないですかぁ』
『はいはい何とでも言ってくださっていいですから さあじっとして下さい
いいですか俺はもう受付に戻らないといけないんです。
貴方はここでもう少し休んだら今日はさっさと帰るんですよ
寄り道は駄目ですからね』
どういう事だ どうなったんだ・・・
必死で聞き耳たてていたドアがいきなりあいて俺たちは室内に雪崩れ込んでしまった
「これはいったいどういう事でしょうか? 猿飛上忍」
「あ〜 そのなイルカ・・・」
「イルカちゃん 見直したわよ! さすが木の葉の里最強の中忍ね」
「はい? あの夕日上忍いったい何を仰っているのかちょっと」
「いや〜ねぇ 隠さなくたっていいわよ カカシを泣かせるなんてやるじゃないの」
紅に背中をバンバン叩かれながらイルカが周りを見渡せばそっとそらされる視線の数々
こいつら絶対勘違いしてやがるな うん ちょっと利用させてもらうとするか
「そうですか 俺は泣かせる趣味はないんですが さあ仕事に戻りますよ
ほら皆 ちってちって さあ仕事はまってくれないぞ ほら先に受付に戻ってろ」
ふふっこれで「はたけカカシの情人」の味見をしようなんてバカも
カカシさんに言い寄ってくる「くの一」も減ってくれる事だろう
結構な人数がいたようだし、まさに一石二鳥とはこのこと
この誤解はそのまま広めた方がいいと判断した。
「猿飛上忍と夕日上忍も報告書提出お急ぎ下さいね」
医務室の前から人を散らした上でカカシさんに口止めしとかないとな
「カカシさんどうですか もう落ち着きましたか?」
「イルカ先生〜〜 この目薬しみます〜」
「ああ カカシさん もうちょっと我慢していてください。擦らないにね」
「それに痒くて痒くて〜」
「擦ったりしたら もっと充血しますよ
それにしても自分で目薬入れることが出来ないなんてね
右目が真っ赤になってるのを見たときには、
いつの間に両方写輪眼になったのかと思いましたよ」
「イルカ先生〜 この事は内緒にしてもらえます?」
「どうしてですか?」
「だってぇ いい年してって恥ずかしいじゃないですかぁ」
「くくくっ あっはははっ いいですよ 内緒ですね」
なぁんだ俺が口止めする必要もないって事か
ちょっと以外だったけど真っ赤になった涙目のカカシさんも可愛いかったしなぁ
さあ 受付で仕事してくるか
里じゅうに広まった噂がカカシの耳にはいったのはそれから数ヶ月後
くの一達には遠巻きに見られ、男に誘われることも不快だったのだけれど
訂正しようにも目薬いれる瞬間に硬直することなんて恥ずかしくて言えないのだった。
ふふふっ いるんですよぉ 自分で目薬させない大人が 本当に全身硬直させてます
ついでにカプセル飲み込むことが出来ないって人もいたな〜 身近に