愛の言葉を囁いて@

言って欲しい言葉がある

だけど無理やり言わせても虚しいだけ

 

そう・・ できたらアナタの口から伝えて欲しい

 

 

 

「はうぅっ・・・」

「んもうっ 鬱陶しいわよ カカシ」

「はあ? 何が?」

「アンタよ ア・ン・タ! 他に誰がいるって言うの!」

 

カカシの目の前には豊かな黒髪をバサッと跳ね除けながら

腰に手を当てて仁王立ちする紅の姿があった

 

「ああ ごめ〜んね」

「ちょっと 気持ち悪いわ アンタが素直に謝るなんて・・・

 カカシアンタ何か悪いものでも拾い喰いしたんじゃないの」

「拾い喰いって・・・ 紅 オレこれでも上忍なんだよ」

 

イルカと付き合いはじめてからは惚気を聞かされっぱなしで

いい加減殴ってやりたいと思ったことも多々あったのだが

最近のカカシの様子はおかしかった

ここしばらく待機所のソファに深く沈みこんではため息三昧なのだ

 

「ちょっとアスマ 何とか言ってやってよ こんなんじゃ調子狂っちゃうわ」

「何で俺に振るんだよ 面倒くせえ」

「ア・ス・マ! アタシはお願いしてるのよ?」

 

どこがお願いしてるって態度だ? まったくの命令じゃねえかよ

 

「わかったよ まったく おいカカシ」

「なあによ 熊」

「誰が熊だっ!」

「お前だ〜よ どっこからどう見てもむさっ苦しい熊男」

「いっぺん絞めるぞ このヤロウ」

「アスマ落ち着いてよ」

「うっ そうだったな おいカカシ」

「ねえ アスマぁちょっと聞くんだけどさ」

「なっ何だ? いきなり」

「お前さあ 好きな相手に好きって言って貰った事ある?」

「あ〜? 何だってぇ そりゃあるに決まって・・・ あっいや無い・・かな?」

 

紅の目がキラッと光ったのを目の端に捉えてアスマはとっさに言葉を濁した

 

「そっか〜 んじゃ相談相手にもならないなぁ」

「どういう事だよ 好きって言って貰った事があったらどうなんだよ」

「んにゃ 別に〜 おわっ 紅何すんだよ」

 

紅はソファの背から腕を回してカカシを羽交い絞めにしていた

目がキラキラしていて、面白いことは見逃さないぞとの構え満々だ

 

「うっふっふっ〜 カカシ〜♪」

「姉さん 暑いから離れてくれる?」

「ごまかさないのよ さあさっさと吐きなさい」

「何をさ〜」

「アンタさ イルカちゃんとうまくいってないんじゃないの?」

「そんな事ないさ 現に昨夜だって朝まで一緒にいたもん」

「それにしちゃ朝っぱらから、ため息ついて鬱陶しい顔してるのね」

「そのな カカシお前 イルカとあっちのほうは旨くいってるのか?」

「当然でしょ 業師の二つ名を持つオレよ もうイルカ先生とシッポリとね」

 

 

『へえへえ その言葉をきいても何だかしっくり来ないんだよなぁ』

『まったくだわ この間までピンクのオーラを撒き散らしていたくせに

 今はドドメ色したオーラをしょってるんだもんねぇ』

 

アスマと紅は目で語ると同時にカカシの口を開かせるべく動きだしたのだ

 

 

カカシを連れ出して向かった先は上忍御用達の「酒酒酒」

 

「ささ 飲んで飲んで」

「そうだ ここの酒は旨いぞ〜 くさくさしてるときは飲んで鬱憤を晴らすに限る」

 

二時間もすればテーブルの上に酒の空き瓶が数本転がっており

カカシもいい感じに酔いが回っていた

 

「ん〜〜 この『洗心』おいしいわ!」

「おい紅 あまり飲みすぎるんじゃねえぞ」

「大丈夫よ これっくらい飲んだうちに入らないわよ」

「ねえ紅〜 アスマに好きって言ってないの?」

「なんでアタシが言わなきゃきいけないのかしらね? カカシ〜それが関係あるの〜」

「おっおいカカシ お前ぇ何いいだすんだよ!!」

「だって〜 さっき アスマが言って貰ったことないっていってたじゃん」

「そりゃ・・あれだ その・・」

「ふんっ アタシは好きって言ったことも無いけど言われた事もないわよ!」

「何 おたくら 付き合ってんじゃなかったの?」

 

「「えっ それは・・・」」

 

二人同時に口にして 途端に黙りこくってしまう

そんな二人を無視してカカシがポツポツと語りだした

 

 

オレのほうからイルカ先生に好きだって言ったんだ

イルカ先生が頷いてくれた時はそりゃもう嬉しかったな

天にも昇るって感じ? 

最初は子供たちをだしにして一緒に酒飲みに行きましょうって誘ってさ

次は子供たちの事抜きに食事にさそって 何度か一緒にいったんだけど

イルカ先生ってさ いつも割り勘でお願いしますって言うの

だけどオレって仮にも上忍じゃない?

中忍のイルカ先生に出してもらうのも気がひけるじゃないよ

 

あっ そのころはまだ手を握るくらいのお付き合いね

 

「下半身暴走男のアンタ(お前)が!?」

「イルカ先生には本気だからね」

 

あせったらイルカ先生逃げちゃうと思って慎重になってたんだよ

 

そしたらイルカ先生がねぇ

「いつもご馳走になってばかりで申し訳ないですし もしよかったら・・」って

イルカ先生の家に招待されたときには、やったって内心舞い踊ってたよ

 

「男料理なんで大雑把ですけど」っていってたけど料理も上手いんだ

だけどさ 家に頻繁に行くようになるとさ・・・

イルカ先生が寛いだ姿を見ると段々我慢も限界っていうか 

 

「飯食って帰るだけだろう?」

「最初はそうだったんだけどさ」

 

「仕事終わって家にいるわけじゃない? 湯上りでラフな格好してると

 またイメージが違うんだよ 特に髪下ろしてると色っぽくて・・・」

 

三度目に御呼ばれしたときだったかな

お土産にシュークリーム持っていったら凄く喜んでくれて

食後に一緒に食べていたんだ そしたら

「カカシさん クリームついてますよ」って

オレの頬についたクリームをペロリと舐めとったんだ

オレそれに刺激されてイルカ先生押さえつけてキスしちゃった・・

 

ファーストキスはバニラ味だな〜

 

「おい 勝手に話し作るんじゃねえ お前のファーストキスって何年前のことなんだ?」

「初恋はイルカ先生なんだから イルカ先生とのキスがファーストキスなの!!」

「・・・そんなんありかよ・・」

「アンタとのキスはタバコの味だったわね」

「おいおい ここで其れは勘弁してくれよ 紅〜」

 

「でも・・ オレ一度もイルカ先生から好きって言って貰った事ないんだ・・・」

 







2へ続く


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