暖かい場所 1
春もたけなわサクラの花も綻び始め最近は暖冬だと騒がれている。
そんな日の夕方うみのイルカはてくてくと歩いていた。
暖かいっていっても夜はまだまだ冷えるよなあ。
今晩は冷え込みそうだし晩飯はアツアツ饂飩にでもしようか。
饂飩はあったし、ネギは鉢植えから採ればいいから大丈夫、天かすはあったかな?
なければ素うどんでもいいけどさ。あと冷蔵庫に具になるのが何かあるだろうし、
あ〜でも天麩羅饂飩も捨てがたいかも、かき揚げ一枚買って帰ればいいか。
本当なら海老天くらい豪勢に食いたいもんだ。
なんて晩飯の事を考えながら歩いていたら声をかけられた。
「こんばんわイルカ先生、今帰りですか?」
「あっこんばんわ畑上忍。ええ今日は受付がないのでちょっと早いんですよ。
畑上忍も今日の任務は終わりですか?」
「はいオレも報告書提出しての帰りなんですよ。イルカ先生受付にいなかったから
どうしたんだろうなって思っていたんですよね。
あの〜今日イルカ先生んちにお邪魔してもいいですか?」
「俺、いえ私の家ですか?」
写輪眼のカカシ・コピー忍者と名高いこの人は何を隠そう俺の憧れの人でもある。
高名な上忍だというのに俺のような中忍にも気さくに声をかけてくれる人だ。
上忍師として知り合ってこれまでにもナルト達と一緒に数回家に来てくれた事はあるけどな。
俺んちにきたって何も面白いことはないと思うんだけど。
いや俺は嬉しいんだけどさ。
ついつい考え込んでしまって返事が遅れたせいか、
目の前の上忍は頭をかきながら小さな声でボソッと呟いた。
「あ〜その、お忙しいようでしたら・・・・」
「いえ、別に予定はないんで構わないんでけすど。あの一つお聞きしてもいいですか?」
「はい?何でしょうか?」
「俺の、いえ私の家にいらしても楽しいことは無いとおもうんですが。」
「あ〜イルカ先生、私なんてかしこまらなくて普段通りに俺で良いですよ。
それにオレの事も畑上忍じゃなくてカカシって呼んでくれると嬉しいです。」
うわ〜カカシって呼び捨てなんてそんな馴れ馴れしい呼び方、したいけど出来ねえよ。
「いえそれはちょっと・・畑上忍は上役でいらっしゃいますし。」
「イルカ先生がオレの事名前で呼んでくれるなら理由を教えちゃいますよ。」
おいおいおい、仮にも里の誇る上忍が頬を染めて
(覆面で半分は見えなくても表にでている目元や耳が真っ赤だ)
教えちゃいますって言われても・・、聞いてもいいのかな。
何だか自分に都合良く思ってしまいそうだし、聞きたいけど聞きたくないような。
だけど『早く聞いて下さい』ってオーラがあたりに充満しているし・・・
「まあその、では歩きながらでも。え〜と、はたけさん。」
「カカシです!」
「うっ、カッカカシ、さん。」
「はい〜〜♪ 何でしょうか? イルカ先生!!」
「ゴホッ、あ〜何で俺んちに来たいんですか?」
「イルカ先生の家って暖かいんですよね。オレあんなの初めてだったから。」
暖かい? 俺の家が暖かいって? 意味判らんぞ。
家に帰ったって一人暮らしだから部屋の中は冷えてるし。
「ほら〜こないだお邪魔したとき」
「ああナルト達と一緒に鍋にしましたよね」
「そうです!食後にミカン食べましたよね、その時ちゃぶ台にお布団かかっていましたよね」
「えっお布団?」
「実はお鍋食べていてお汁飛ばして汚さないかって心配だったんですけど〜、
なんていうか足下が温くって寛ぐっていうか、ああ、これ良いなあって思って」
まさかとは思うが、カカシさんコタツを知らないってんじゃあ・・・・
「カカシさんのお宅にはないんですか?」
「オレの部屋には普通にテーブルとベッドくらいですかねえ。
オレ寒いの苦手なんですよ。」
いくら何でもコタツ知らないってのはちょっとおかしくないか?
「オレね〜子供の頃は戦場で育ったようなものなんで、普通前線では野宿じゃないですか。
テントとか寝袋があれば良い方だったし里に戻ってきて初めて自分の部屋なんてのを貰って、
ベッドで寝たのもそれが初めてでしたよいや〜柔らかすぎて最初は眠れなくてね〜、
毛布にくるまって床で寝たりしてました。」
正直言って吃驚したよ。そんな事あっていいのか? だって上忍だよ?
各国に名前が鳴り響いていて、ビンゴブックのトップにのるこの人が、
まさか毛布にくるまって床で寝ていたなんて、コタツもしらないなんて・・・
さっ寂しいじゃないかこの人! 俺に出来ることがあるなら教えてあげよう。
→2
indexへ novel topへ