一緒に暮らそう E

そろそろシフトの交代時間だな〜

今日は皆が誕生日を祝ってくれるというし、今日は飲んで騒いでもいいかなと思っていると

 

「おい あれ・・」

「え〜 何で受付に犬がいるの?」

 

ざわめく声に顔を上げると『かかし』が目の前に座っていた。

そしてその後ろからはたけ上忍が入ってきて 俺の机の前までやってくる

なんで一緒にいるんだ? えっえっ・・ あれっ? あわくってグルグルしていると

はたけ上忍がにっこり笑って俺に話しかけてきた。

 

「こんにちは イルカ先生」

「ワン! ワンワン」

「あ はい・・ 初めまして お疲れ様です・・・」

「先日はこの『かかし』がお世話になったそうでありがとうございます。」

「いいえ 俺のいえ私の方こそ『かかし』がいてくれて楽しかったです」

 

やっぱり『かかし』は、はたけ上忍の忍犬だったんだな・・・

立ち上がり直立不動な俺の頭の中は、

やっぱり帰さないと駄目なんだとすでに諦めモードに突入していた、

 

「クスクスッ イルカ先生そ〜んなに緊張しなくていいんですよ〜 実はね『かかし』が

イルカ先生の事気に入ったみたいでね イルカ先生の家の仔になりたいらしいの」

「えっ あっ あのっホントに? あの俺 実ははたけ上忍にお願いしようと思っていたんです

お願いします 『かかし』を俺に下さい」

「うんい〜よ でもちゃんと面倒見てくれるかな? 捨てたりしないって約束してくれる?」

「もちろんです!! 俺すっごい大事にしますから!」

「いいお返事だね〜 じゃあちょっとまってね 『かかし』ここに座って・・・」

 

お座りした『かかし』にはたけ上忍がなにやら結わえていたが手を離したとき目にはいったのは

真っ赤なリボンを頭に結んだ『かかし』の姿だった

そしてはたけ上忍から渡されたのは、イルカが以前に購入した青い首輪だった

 

「はい これはイルカ先生がつけてね」

「おいで『かかし』」

 

と呼ぶとキュ〜ンと鼻をならしてすり寄ってきた

首輪を付けてやって、今日からお前は俺の家の仔だよと言うと

 

「イルカ先生 こいつは返品きかないよ? 我が儘だし嫉妬深いよ本当にいい?」

「こいつは我が儘じゃありませんよ ありがとうございます はたけ上忍」

「合格!! イルカ先生お誕生日おめでとう『かかし』はオレからのプレゼントです

 大事にしてやってね」

 

いうなりボワンッと白煙があがりはたけ上忍の姿はかき消えていた

 

「プ プレゼント?? 」

 

えっ ええっ かかしを貰えるのは嬉しいけど上忍からプレゼントなんて貰っていいのか?

ま マズイだろうやっぱり でも『かかし』は欲しい!

ペロッと顔を舐められて正面を見ると 目の前に青と赤の瞳があった

 

「あれっ かかしは?」

「ここに居るでしょ オレが『かかし』ですよ」

「何言ってるんです 貴方ははたけ上忍じゃないですか 俺がもらったのは『かかし』です」

 いつの間に入れかわったんですか? ふざけないで早く『かかし』を出してくださいよ」

「これが見えないのかな〜」

 

ほらほら〜見て〜と指さす先には頭に赤いリボン、首に青い首輪を付けた上忍が・・・

そいでもって 首輪に繋がった鎖の先はイルカの手の中にある

これって視覚の暴力じゃないのか?

見なかった事にしようというイルカの努力をあっさりはらいのけ

 

「あのね『かかし』はオレが変化していたんですよ 貴方の夢はオレが叶えてあげますから

さあ今日からは一緒に暮らしましょうね プレゼントはオ・レ・で〜す」

 

はいこれは誓いのキスね〜 とイルカの唇をむさぼりつくすと

ぐったりと力の抜けたイルカを抱き上げ きゃ〜〜 いや〜 はたけ上忍が〜〜〜 

などと騒ぐギャラリーを尻目に、同僚に向かってこう言い放ち姿を消したのだった

 

「あのね今日のイルカ先生の誕生日はオレが祝ってあげるからあんた達は遠慮して」

 

 

 

 

「う・・ ん 」

「気がついたイルカ先生」

「はっ はたけ上忍! えっ うわっ なにっ?」

「はいはい まずはキスからね」

「ん〜 んんん〜〜 やめてくださいぃっ」

「返品は効かないっていったでしょ イルカ先生それで良いっていったじゃない

アンタはもうオレだけのものなの、もちろんオレもアンタのものだよ?」

 

今日は初夜だからね 優しくしたげる〜といいつつ服が脱がされていく

うわ〜〜 誰か止めてくれよ〜〜〜

 

「俺は 俺はぁ『かかし』がいいって言ったんですよぉ〜〜」

「え〜 アンタそういう趣味? まあそれが希望ならそれでも良いけど?」

 

ぼふんっと音と白煙が消えたあとには 人間のはたけカカシと犬のかかし

一人と一匹にのし掛かられたイルカの悲鳴が響きわたった

 

「ギ ギャアアアァアアア〜〜〜」

 

 

 

朝目が覚めると背中に抱きついて眠る男と足下に丸まって眠る犬がいる

ズキズキする腰の痛みが夕べのことは夢ではないことを知らせてくれて

 

昨日は俺の誕生日だったんだよな?

父ちゃん母ちゃん ごめんなさい孫の顔は見せてやれそうにありません

だけど俺と一緒に居てくれるって人が出来ました 高嶺の花と諦めていた人です

犬も一緒にいてくれるそうです

 

とりあえず夢の一端は叶ったことで良しとしておこうと

うずく腰を押さえつつイルカはため息を一つ吐いたのだった

 

 

終わり


indexへ  Novel top

5←