グリコサミノグリカン
このページは、移転しました。
自動的にジャンプしない場合、ここをクリックして下さい。
グリコサミノグリカン(glyocosaminoglucan:GAG)は、ウロン酸(GlcUA、IdoA)、又は、ガラクトース(Gal)が、アミノ糖(注1、GlcNAc、GalNAc、など)と結合した二糖構造が、繰り返して構成される酸性ムコ多糖。
グリコサミノグリカンは、糖鎖として、コア蛋白(コアプロテイン)に結合している。
1.グリコサミノグリカンの分類
基本構造 分布 ヒアルロン酸 GlcUAβ1-3GlcNAc 硝子体、関節液、臍帯 ケラタン硫酸 Galβ1-4GlcNAc(注1) 軟骨、椎間板、角膜 へパラン硫酸 GlcUAα1-4GlcNAc
IdoAα1-4GlcNAc細胞表面、基底膜 ヘパリン GlcUAα1-4GlcNAc
IdoAα1-4GlcNAc小腸、筋肉、肺、脾、腱、肝、肥満細胞 コンドロイチン GlcUAβ1-3GalNAc 角膜 コンドロイチン硫酸 GlcUAβ1-3GalNAc 骨、象牙質、軟骨 デルマタン硫酸 GlcUAβ1-3GalNAc
IdoAβ1-3GalNAc皮膚、動脈壁、腱、骨、象牙質
ヒアルロン酸(hyaluronic acid)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)に、アミノ糖(ヘキソアミン)のN-アセチルグルコサミン(N-acetyl-D-glucosamine:D-GlcNAc)が結合した、GlcUA-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から、構成されている。
ケラタン硫酸(keratan sulfate)は、ガラクトース(Gal:β-ガラクトース)に、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合した、Gal-GlcNAcの基本構造(繰り返し単位)から、構成されている(注2)。
へパラン硫酸(heparan sulfate)、ヘパリン(heparin)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)、又は、イズロン酸(IdoA)に、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合した、GlcUA-GlcNAcや、IdoA-GlcNAcの基本構造から、構成されている(注3)。
コンドロイチン、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、デルマタン硫酸(dermatan sulfate)は、ウロン酸のグルクロン酸(glucuronic acid:GlcUA)に、アミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(N-acety-D-lgalacotosamine:D-GalNAc)が結合した、GlcUA-GalNAcの基本構造から、構成されている(注4)。
デルマタン硫酸は、ウロン酸のイズロン酸(IdoA)に、アミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)が結合した、IdoA-GalNAcの基本構造から構成されている。
2.プロテオグリカン
グリコサミノグリカンが、糖鎖として、コア蛋白(core protein)に共有結合した分子は、プロテオグリカンと呼ばれる(糖蛋白の一種)。プロテオグリカンは、大量の水分を結合させるので、クッションとして、組織の線維成分を保護したり、粘性が高いので、滑液として、関節を保護する(ヒアルロン酸)。プロテオグリカンは、軟骨を形成したり、接着分子と結合する。
糖鎖は、糖蛋白や糖脂質と結合して、細胞間での情報伝達に、重要な役割を果たす。
3.糖鎖を構成する単糖
糖鎖の単糖成分 ヘキソース ガラクトース(Gal)、グルコース(Glc)、マンノース(Man) デオキシヘキソース L-フコース(6-deoxy-L-galactose) へキソサミン(注5) N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc) シアル酸 N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)、N-グリコリルノイラミン酸(NeuGc) ペントース キシロース、L-アラビノース
糖鎖を構成する単糖は、グルコース(Glc)から合成される誘導体である。
D-グルコース 1-リン酸から、UDP-D-グルコース(UDP-D-Glc)を経て、ガラクトース(Gal)、キシロース、グルクロン酸(GlcUA)が合成される。
グルコース(Glc)では、4位の-OHの向きは、下向きなのに対して、ガラクトース(Gal)では、上向きになっている。
N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)は、ガラクトース(Gal)の2位の-OHが、-NH-CO-CH3に置換されている。
N-アセチル-D-グルコサミン 1-リン酸(GlcNAc)から、N-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)が合成される。 上の図で、Glc(グルコース:ブドウ糖)、Gal(ガラクトース、注6)、GlcUA(グルクロン酸)、IdoA(イズロン酸)、Fuc(フコース)、GlcN(D-glucosamine:グルコサミン)、GlcNAc(N-アセチルグルコサミン)、GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)を意味する(注7)。α-D-グルコースは、ピラノースとも呼ばれる。
注1:アミノ糖は、糖のOH基の1つが、アミノ基(-NH2)に変わっている。
注2: ケラタン硫酸は、Galβ1-4GlcNAcという、タイプ2の基幹領域(N-アセチルラクトサミン:LacNAc)を、基本構造(繰り返し単位)にして、構成されている。
注3:へパラン硫酸は、GlcUAα1-4GlcN (70%)、IdoAα1-4GlcN (30%)、ヘパリンは、 GlcUAα1-4GlcN (20%)、IdoAα1-4GlcN (80%)とする文献もある。
注4:コンドロイチン4-硫酸(コンドロイチン硫酸A)は、GlcUAβ1-3GalNAc4-sulfate、コンドロイチン6-硫酸(コンドロイチン硫酸C)は、GlcUAβ1-3GalNAc6-sulfate、デルマタン硫酸(コンドロイチン硫酸B)は、IdoAβ1-3GalNAc4-sulfate。
注5:糖鎖を構成するへキソサミン(グルコサミン、ガラクトサミン)は、大部分は、アセチル化している。
注6:糖尿病の血糖コントロールの為に、簡易血糖自己測定器を使用して、血糖検査が行なわれているが、PQQ(ピロロキノリンキノン)を補酵素として、GDH法(グルコース脱水素酵素)で、血糖を測定する測定器は、ガラクトースをも、血糖(ブドウ糖)として、測定してしまうおそれがある。ガラクトース以外にも、マルトース、イコデキストリン、キシロースを多く含んだ検体は、実際より、高い血糖値を示し、その値に基づいてインスリンを投与すると、結果的に過投与となり、低血糖で、意識障害を来す危険性が、指摘されている。
注7:カニなどの甲殻類の外皮は、クチクラと呼ばれる物質で構成されている。クチクラの主成分は、キチン(Chitin)と呼ばれる多糖類と、タンパク質と、カルシウム塩(炭酸カルシウム)。キチンは、GlcNAc(N-アセチルグルコサミン)が、直鎖状に結合したポリマー:(GlcNAcβ1→4GlcNAc)n。
グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)とが結合した二糖類が、スクロース(ショ糖:砂糖の成分)。
参考文献
・ヴォート生化学(東京化学同人、2003年、第4刷)
・シンプル生化学(南江堂、2003年、改訂第4版)
・血糖検査用グルコースキットの安全対策について:日医雑誌 第132巻・第9号/平成16(2004)年11月1日 1216〜1217頁