タミフル
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抗インフルエンザウイルス剤のタミフルの成分は、リン酸オセルタミビル。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始する。
インフルエンザ患者と同居や共同生活をしている65歳以上の老人は、インフルエンザ患者に接触後、できるだけ速やかに(インフルエンザ患者に接触後、48時間以内に)、タミフルカプセルを、1日1カプセルを、服用する(保険給付されない)。
1.リン酸オセルタミビル製剤のタミフル
リン酸オセルタミビル(Oseltamivir Phosphate)は、プロドラッグであり、代謝により活性体に変換され、活性体となる。
リン酸オセルタミビルの活性体は、ヒトA型、及び、B型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)を、選択的に阻害し、新しく形成されたインフルエンザウイルスが感染細胞から遊離することを阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。
抗インフルエンザウイルス剤のタミフル(Tamiflu:)は、リン酸オセルタミビル製剤。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、1日2回(1回1カプセル)投与を開始する。症状が発現してから48時間以後に投与を開始した場合は、有効性が確認されていない。
治療目的の投与量は、成人には、オセルタミビルとして、1回75mg(1カプセル)を、1日2回、5日間、経口投与する。幼小児には、オセルタミビルとして、1回2mg/kg(ドライシロップ剤として66.7mg/kg)を1日2回、5日間、経口投与する。
2.タミフルの予防使用
インフルエンザウイルスは、飛沫感染して、体内では、8時間後に、約100ケに増殖する。そして、1〜3日間の潜伏期間の後、発熱、独特の咳などの症状で、発症する。
Cap製剤(カプセル製剤)は、下記のような場合には、予防使用(予防投与)が認められている。なお、タミフルのCap製剤は、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症に発症後の治療」目的で使用した場合にのみ、保険給付される。予防使用した場合は、保険適用にならず、保険給付されない。また、DS製剤は、予防使用が認められていない。
インフルエンザの症状を軽くする為には、潜伏期間に、オセルタミビルのカプセル製剤(タミフルカプセル)を、予防的に服用するのが、賢明と思われる。従って、インフルエンザ患者に接触後、できるだけ速やかに(インフルエンザ患者に接触後、48時間以内に)、タミフルカプセルを、1日1カプセルを、服用する。
インフルエンザ感染症を発症している患者の、同居家族や共同生活者(施設などの同居者)が、下記のような場合には、タミフルのCap製剤(カプセル製剤)を、1日1回、予防使用することが、認められている(7〜10日間、継続して、服用する)。なお、予防使用した場合は、保険給付されない。また、健康成人と、13歳未満の小児は、予防使用の対象にならない。
1).高齢者(65歳以上)、
2).慢性呼吸器疾患患者、又は、慢性心疾患患者、
3).代謝性疾患患者(糖尿病など)、
4).腎機能障害患者、
治療 予防 対象 成人及び体重37.5kg以上の小児 成人及び13歳以上の小児 投与法 1回75mg 1日2回 1回75mg 1日1回(注1) 投与期間 5日間経口投与 7〜10日間経口投与
予防使用する場合には、インフルエンザ感染症患者に接触した後、2日以内(48時間以内)に、投与を開始する。
インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を、連続して服用している期間のみ持続する。
なお、インフルエンザウイルス感染症の予防の基本は、ワクチン療法(ワクチン接種:注2)とされる。
3.乳児へのタミフルドライシロップ投与の安全性
「タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検討(中間報告)」(日本小児科学会雑誌 108巻11号 1438頁:2004年)によると、2004年1月に、タミフルドライシロップ(以後、タミフルDSと記す)の、乳児への投与を控えることの要請があった。
その後、タミフルDSを投与された乳児737例(A型、又は、B型インフルエンザウイルス感染症患者)に関して、副作用・有害事象の発現状況を、調査し検討した。その結果、タミフルDSとの因果関係が疑われる副作用として、下痢(13例)、嘔吐(5例)、軟便(3例)、低体温(2例)などの症状が見られた。発疹は、737例中4例に認められ、その内、1例は、タミフルDSとの因果関係が否定出来ないと判断された。なお、インフルエンザ感染の経過中に、タミフルDSを投与後、痙攣が見られた(1日後に2例、2日後に1例)が、痙攣は、タミフルドライシロップの副作用とは、見なされていない。
いずれにせよ、重篤な副作用の報告はない。中間報告には、「インフルエンザ患児乳児に対して、指示された用法・用量によるタミフルドライシロップ3%の投与に関する危険性は高くないと推測されるが、本報告はあくまでも中間報告であり後方視的な調査のデータである。」と、記されている。
なお、ラットを用いた試験では、幼若ラットでは、リン酸オセルタミビルの脳内濃度は、成熟ラットの約1,500倍高くなり、幼若ラットでは、血液脳関門が未熟である可能性が、示唆されている。
また、添付文書に、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。 」と書かれてあるように、抗インフルエンザウイルス剤は、全ての患者に投与する必要はない。
4.その他
・オセルタミビルは、腎臓から排泄される。
オセルタミビルは、乳汁中に移行するので、授乳婦に投与する場合には、授乳を避けさせる。なお、妊婦、又は、妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することになっている。
主な副作用は、腹痛21件(6.8%)、下痢17件(5.5%)、嘔気12件(3.9%)が、知られている。
・オセルタミビルは、1回200mg以上を投与すると、嘔気、嘔吐、めまい(浮動性眩暈)が現れる。
・国内予防試験で発現した主な有害事象(2%以上)
有害事象 リン酸オセルタミビル(n=155) 腹痛 18(11.6%) 下痢 13(8.4%) 頭痛 11(7.1%) 嘔気 9(5.8%) 嘔吐 7(4.5%) 腹部膨満 6(3.9%) ・オセルタミビル投与後の耐性ウイルスに関しては、耐性ウイルスの出現率は、1.4%とされる(成人及び青年では0.34%、小児では4.5%)。
耐性ウイルスは、全てA型インフルエンザウイルスに由来し、B型では出現が認められていない。
耐性を獲得したインフルエンザウイルス(耐性ウイルス)は、著しく感染性が低下し、感染部位での増殖、伝播力は、極めて低いと考えられている(マウス、及び、フェレットでのデータ)。耐性ウイルスが出現しても、再び発熱したり、重症化することはなく、1週間程度で、耐性ウイルスは、気道から消失する。耐性ウイルスが、周囲のヒトに感染した症例は、ないとされている。耐性を獲得したウイルスでは、ノイラミニダーゼ(NA)のアミノ酸変異が認められている。
・タミフルを使用すると、早期に解熱するが、低年齢の幼児では、解熱後も、数日間は、上気道からウイルスが、排泄され続いている。従って、成人や学童では、解熱後2〜3日間、乳幼児では、解熱後3〜4日間、隔離して、静養することが必要。
・2003年初頭のインフルエンザ流行時に、タミフルの供給不足が、社会問題化された。しかし、世界で生産されるタミフルの60〜70%を、日本で使用していたと言う。
欧米でのインフルエンザ治療は、依然として、安静、水分補給、解熱薬の投与とされている。
・インフルエンザは、老人や基礎疾患などで、体力(免疫力)が低下していなければ、自然治癒することが多い病気なので、インフルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビル(タミフル)を服用する必要はない。むしろ、適切に使用しなければ、耐性ウイルスの問題が生じる。インフルエンザに罹った人の総てが、オセルタミビル(タミフル)を服用することは、医療コスト上からも、好ましくない。
添付文書にも、「治療に用いる場合には、抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。」と、明記されている。
・タミフルは、鳥インフルエンザにも、有効とされる。
注1:成人の腎機能障害患者では、血漿中濃度が増加するので、腎機能の低下に応じて、次のような投与法を目安とする。
クレアチニンクリアランス
(mL/分)投与法 治療 予防 30<Ccr 1回75mg1日2回 1回75mg1日1回 10<Ccr≦30 1回75mg1日1回 1回75mg隔日 Ccr≦10 推奨用量は確立していない 注2:インフルエンザワクチンの有効率の評価は、例えば、ワクチン未接種の1,000ニンの乳幼児のうち、300人がインフルエンザを発病すると仮定する(発病率20%)。その時、ワクチン接種済みの乳幼児1,000人中200人がインフルエンザを発病すると(発病率20%)、ワクチンの効果は、発病を33%減少させた、つまり、発病防止の有効率は33%と、評価される。
参考文献
・タミフルドライシロップ3%の乳児への投与の安全性に関する検討(中間報告):日児誌 108巻11号 1438頁:2004年
・タミフルカプセル75の予防使用にあたってのご注意(市販直後調査):中外製薬株式会社、シオノギ製薬(2004年8月作成)