1.研究内容
1−1.発表者 小笠原技術士事務所 小笠原 政次
1−2.テーマ 「なぜ海外進出するのか」=その実体験と考察=
1−2−1.主な内容
 ・元A車米国会社の責任者(代表権のある副社長)であった小笠原講師は、米国(アトランタ)で工場建設から
  現地法人を立ち上げた経験に基づいて、以下の幅広い内容に関して体験談や経営論について話された。
 
 1)一般的な海外進出の動機と必然性:コストダウンや親会社への追従、得意先の海外進出、市場の成長性や将来の魅力など、
   進出の動機は多様だが進出の大義名分が明確でないことも多く、目的を明確にする必要がる。
 2)創業時の課題やアメリカ人の国民性とアメリカ事情:地震の無い地域であり、建設費が安かった。

 ・アメリカでは焼却炉がなく廃棄物は埋めてしまうので、土地に何が埋まっているのか注意が必要である。
 ・マニュアルや規定に違反したら解雇してもかまわない。規則を明記したマニュアルや社内規定はすべて訴訟への備えであり
  特に大事である。社内規定は確実に守らせるルールである。
 ・保険会社は法律を補完している。保険金を安くするため、安全等の改善命令を聞かなければならない。
 ・アメリカの弁護士は専門分野別になっており、顧問弁護士が何人も必要であった。
  日本では弁護士も医者も一人で何でもやるのはおかしいのではないかとの意見であった。
 ・コミュニケーションの記録は、注意したことを書くためのものであった。
 ・アメリカ社会は貧富の差が大きく、ワーカーは命令どおりに働く人であり、年収は200万円位でパートと変わらない。
  ホワイトカラーは700万円〜1000万円/年だが、いつでも解雇できる。アメリカでは、専業主婦はほとんどいないで共働きである。
  日本人はアメリカ人を誤解している。
  生活レベルは差が無い、日本に来るような人は、1〜2割であり、海を見たことがない人は5〜6割いるのではないか。
  従業員25人で、飛行機に乗った人は1人、海外に行った人も1人であった。貧富の差が大きい。
 ・予備役制度は、登録すると年金をもらえるので黒人が多い。戦争があるかないかでリスクの要素がある。
 ・合理性やフェアに対する考え方が違う。支払能力で罰金が変わる。大企業の方が罰金が大きいのは同じ痛みになるようにするという
  考え方が背景にある。(大企業ならば1000億円、小企業ならば1000万円など)
 ・日本人は仲間から外れると苦痛だが、アメリカ人は孤独にめっぽう強く村8分は平気である。狩猟民族と農耕民族の差であろう。
  カードで生活して貯蓄も殆どしないで自転車操業状態である。
 ・アメリカ社会はボスの言うとおり動くため、方針や哲学を第一番に言う必要がある。法を守ることや従業員とのコミュニケーション
  を第一に掲げた。法を守ることを徹底したら、何事も直接、役所に届けられ弁護士費用が掛かって戸惑ったが、かえって、
  その方が法令順守には良かったと思う。

 3)経営とは?:改めて経営とは何か考えたが、儲けは必要だがそれだけではないと思う。
  コンサルとして中小企業には、"夢"のとおりにやるようにアドバイスしている。
  業績が上がればいいというが、今年良くても3年後に下がっていいのか?設備投資や修理をしなければ、目先の利益が上がるが、
  その後に困らないのか。日本の経営者は在籍期間中に業績が上がればいいという考えが多くなった。
  社長は駅伝の選手であり、次につなぐ必要があると思う。また国益も考えなくてはならない。
 ・経営の王道は利益の獲得ではなく、付加価値(人間が価値と考えるもの)の創造であり、ゴーイングコンサーンである。
  最悪は会社をつぶす人である。・・・いろいろな事項について深い経験に裏づけされたお話であり、大変興味深く聞かせていただいた。

報告者:殿村 SL

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