1.研究内容

1-1.発表者  神谷 俊彦 会員

1-2.テーマ 「バイオテクノロジーと中小企業の課題」 

1-2-1.主な内容

(1)バイオテクノロジーとは

・バイオテクノロジーは「生命が持つ機能」を利用して人類に必要な製品やサービスを提供する技術で、その対象範囲は

自然界全般といってよいほど広い

・医療健康面では「テーラーメイド医療・アルツハイマーやボケ防止・心の健康」「健康寿命の延長」などがある

・農林水産食品は「食料自給率の向上や食の安全の追求」「食品品質・安全性の確保・病気の予防・体力増強」がある

・環境エネルギーはきれいな環境を作るために「水・土・空気の改良、環境ホルモン・ダイオキシン・フロンの問題解決」「クリーン排ガス」「地球温暖化防止」「生分解性プラスチック」などがある

・バイオサービス面は「生物情報学での生命現象の解析」「バイオツール」「生体認証」などがある

(2)バイオテクノロジーの重要性

・バイオテクノロジーに対する政府の研究投資は、米国3.2兆円(全分野の20%),日本5千億円(同13%)であり、

 ベンチャー企業数も米国2030社に対し日本は531社(内、医療健康分野32%、研究支援28%等)である

・「遺伝子と生命現象」は1953年ワトソンとクリックが二重らせん構造を発見してから急速に発展した

 地球上で命名されている生物は200万種類(実際は1億近いと推定)で、これらの生物の性質や形を決める遺伝子は、

 DNARNAのたった4つの塩基で情報が伝えられ、たんぱく質が作られており、遺伝子により生物を自在に操作できる

(3)バイオテクノロジーの現状と課題

・遺伝子操作は、遺伝子組み換え作物(日本では1997年以降)、遺伝子組み換え動物(1980年代初頭、ヒトの遺伝子を

組み込んだ豚や羊の研究)、遺伝子治療(1999年で3000人が利用、成功例は少ない)が行われているが課題は多い

・遺伝子組み換え大豆は、「導入された遺伝子が作る蛋白質が新たに含まれる」ことで、他の蛋白質と同様に胃の中で

消化されれば問題はない。遺伝子組み換え大豆からの醤油は新蛋白質が菌によって分解されることがわかっている

・食物アレルギーは食物中の抗原(アレルゲン)で引き起こされるが、アレルゲンは主に蛋白質で、遺伝子情報で

 アレルゲンは確認できる

・「クローン羊ドリー」は乳腺細胞という体細胞が分化し、体のすべての組織を作り出した。培養を飢餓状態で行う

ES細胞は、様々な細胞へ分化する能力と高い増殖能力を持ち、ヒトでは受精後57日程度経過した受精卵から作られ、

 1998年培養に成功している

・「免疫の研究」は、医学の最重要基盤として、ガン・アレルギー・エイズに苦しむ患者の救済を目指し、白血球系細胞

と外敵の戦いを科学し、難病に対峙していく。国も大企業も多大な投資をしているこれからの学問である

・インターフェロンは体内の細胞が分泌する糖蛋白の一つで、「体を守る免疫の働きを活性化させる薬」である

・「細菌の研究」は人を食い散らす細菌に不思議とそれが引き起こす感染症問題の研究である

・発酵・有用微生物として、乳酸菌、酵母菌、放線菌、糸状菌、光合成細菌などがある

・バイオ燃料は、主に植物を利用して作った燃料の総称で、バイオエタノールは世界で4500Kℓの生産量になっている

 バイオ燃料の生産量・使用料拡大により、「化石燃料使用量への影響」「トウモロコシなどの原料争奪戦で小k両事情の悪化」「廃木材の活用」など功罪の課題が生じている

(4)中小企業の現状と課題

・バイオベンチャーの事例

     免疫生物研究所、「モノクローナル抗体」の生産・販売、売上15億円、

     タケックス・ラボ、「竹を原料に、抗菌剤や建材など」の生産・販売、資本金1億円、

     アブカム、「抗体製造・販売のアブカム」、売上46億円、

・バイオベンチャーは、研究資金が必要でキャッシュフローがマイナスの「死の谷」長く続く。情報公開により、

 基盤技術の優位性・特許ポジションの強固さ・外部機関とのアライアンス戦略・新商品の開発能力などを投資家に

アピールし、研究開発を着実に継続実行できるようにすることが重要になる

(5)まとめとして

・バイオテクノロジーは「生きる」「食べる」「暮らす」の人間生活の基本を抜本的に変える極めて大きな技術革新

・バイオテクノロジーは身近な話題であり、「アレルギー」「免疫」「遺伝子組み換え」「バイオ燃料」では、

各人の体験談などで議論が盛り上がった。参加各位が、バイオについても知識が深いことに感心した



報告者:小山 リーダー

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