1.研究内容

1-1.発表者      小山 武夫 会員

1-2.テーマ 「事業継続計画(BCP)」~事故事例からの~

1-2-1.主な内容

(1)       事業継続計画の必要性:BCPはリスクマネジメントの一部である。火災、地震、爆発、大規模システム障害などが相

    次いでおり、業務の停滞や停止による顧客や社会への影響が大きい。

     20003月にフィリップス社の工場で落雷、火災が発生したが、工場消化隊が消火し被害が軽微に見えたが、半導体製造ラインの2つが汚染した。最重要顧客のノキア社とエリクソン社に連絡したが、対応が大きく異なった。

     ノキア社は対策チームを編成し、代替品を入手することで、機会損失がなかった。エリクソン社は特に対策をとらず、シェアを12%から9%にダウンさせた。損失234千万ドル、1年後ソニーと合併。

     今日、事業活動が変化し取引先の集約化もあり、サプライチェーンの脆弱性がある。

     脆弱性とは、①発生確率と影響度で表される。何が悪化し、どのような事故、事件、災害を想定するか、影響度はどうかで表される。リスクマップをつくり発生頻度と経営への影響で重要度を検討する方法がある。

(2)   世界と日本の動向:上場企業では米国は56%がBCP策定済みで、策定中を含めると、84%である。日本は22%が策定済みで、策定中を含めても45%である。

(3)   BCPはリスクマネジメント:リスクは発生する確率が推定でき、保険の価値が生じる。不確実性は何が起こるかわからない。リスクマネジメントはPDCAサイクルを回す必要がある。計画を策定し、実施し、有効性を評価し是正して改善を実施し経営者がレビューする。トップが関与しなければ実効性はない。

     BCPはビジネスインパクト分析→BCP策定→BCP運営→効果検証・継続的改善という流れである。

     重要度、緊急度、優先順位付けが必要である。リスク分析は網羅的に行なう必要があるが時間をかけすぎてはいけない。

     全員が事業継続の重要性を「文化として」定着させる必要がある。そのためには教育・訓練が必要である。

(4)   リスクの分類は、いろいろあるが①戦略リスク②財務リスク③オペレーショナルリスク④ハザードリスクなどに分類される。

(5)   リスク判断行使を阻害する要因は?①近道選びの危険性:事前チェックを怠る②プロスペクト理論:大丈夫だろうと安易な判断をする。日航機墜落など③非合理なコミットメントのエスカレーション:技術者の提案を無視した経営陣の判断ミス、チャレンジャーの事故④同調と服従:設計者が製造部門のコストダウンの提案を製品品質の低下を知っても黙認、その他に⑤形式主義・完ぺき主義・数値至上主義⑥コミュニケーション不足などがあり、リスク阻害要因とその事例についての説明があった。

(6)   経営トップのリスク感性:経営トップにはリスク感性が必要である。事故、不祥事、緊急事態、同業他社の事件、事故、クレーム、労働問題、後継者問題、社員の事件・事故への感性などについて省みる必要がある。

(7)   バードの法則:損害も傷害もない事故、物損のみの事故630(ヒアリハット事故)の中に安全対策の手がかりがある。

ハインリッヒの法則1(重傷者):29(軽傷者): 300(無傷害事故)も重傷の底辺には無数の不安全状態があることを示している。

(8)   リスク対策には:①リスク回避②リスク移転③リスク低減④リスク保有がある。

(9)   BCP発動から、全面復旧までには①BCP発動フェーズ②業務再開フェーズ③業務回復フェーズ④全面復旧フェーズがある。

(10)                            中小企業BCP策定運用指針と中小企業BCP入門診断の紹介があった。


報告者:殿村 サブリーダー

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