1.研究内容

1-1.発表者      笹倉 靖生 会員

1-2.テーマ 「日本の自動車産業構造の特性」~自動車部品業界における中小企業の課題~

1-2-1.主な内容

 ※自動車産業構造とその中の中小企業の実態を調べ、将来の自動車産業界での中小企業の寄与度の向上について見解を述べられた。

(1)   自動車産業の概要

     自動車産業には、失われた10年は無い。海外生産が右肩上がりで、国内の空洞化は進んでいるが産業全体は発展途上中といえる。中古車が9293年に新車販売を逆転した。右肩上がりと言え、人口減、価値観多様化でいずれ新車販売台数は頭打ちになる。平均使用年数は、10.93年(2005年)

     自動車産業は、出荷額は電機と並び基盤産業であり、輸出額の比率は23.2%でトップシェアであり、外貨の稼ぎ頭である。設備投資比率は25.2%でリーディングインダストリーである。自動車各社の原価構造は各社で特徴がある。スズキは材料比率が高く、労務比率が低い。製品引当金比率(リコールやクレームの引当)も各社で考えが異なっている。

     全就業人口6,329万人のうち、自動車関連は486万人で7.7%を占める。486万人のうち自動車製造に3.3%、部品製造に11.2%、残りの関連分野に410万人であり、自動車の産業波及効果は非常に大きい。

     自動車各社の収益構造の分析の説明があった。

(2)   自動車部品産業

     4つの構造が並存している。①従来型下請け系列構造 ②部品集約型階層構造 ③アルプス型取引構造 ④ネットワーク型取引構造である。系列の長所は長期安定取引と情報の共有化、協業で、短所は排他性と優越的立場を利用した過度の要求である。一人当たり売上額は、100人以下の会社でも約4000万円あり、中小企業としては多いのではないか。

     自動車部品企業の規模は、資本金1億円未満で1社当り出荷額41億円程度あり、そこそこの規模である。

     メーカーの協力会の構成をみると、スズキとマツダ西は上場企業数が極端に少ない。スズキは85%が資本金3億円未満の協力会社であり、外資系からの調達はない。スズキと日産を比較すると、スズキの調達先は静岡県、浜松市に集中し地場産業、企業城下町を形成している。日産は調達先は大都市に集中し、大企業から調達している。

(3)   自動車部品ビジネスの特徴

     製品特性として、車は単価の低い多くの部品の集積、ステイタスシンボルでライフスタイルの表現である。グローバル商品で、定期的モデルチェンジあり。

     ビジネス特性は、系列と協力会があり、丸秘主義である。グローバル化で海外生産比率が5割。安定的大量生産で、一度受注すると4年の量産操業が可能。モデル切り替え後の長期供給責任がある。アフターサービスを含めると足掛け15年生産することになる。JUST IN TIME、継続的VAVE 、品質保証納入などと高い参入障壁がある。

(4)   自動車部品製造中小企業の特徴

     中小企業でも、出荷額規模が大きい。

     スズキ、マツダは中小企業への発注比率が高い。トヨタ、日産は大手部品メーカーへの依存率が高い。

     トヨタ、日産とスズキ、マツダの車の品質は発注先部品メーカーの格差ほど差は無い。仕様を満足させれば部品品質は同じようになる。

(5)   自動車業界で中小企業のウェイトが小さい理由

     内製至上主義(電子部品内製)

     技術に対する担保力(クレーム対応力、保証納入制度、リコール制度、3次元CAD)  

     企業体力に対する懸念など

(6)   中小企業の自動車産業での寄与度を高めるために

     下請け意識からの脱却と技術力の保持(EDI、3次元CAD )が必要である。

     現状ビジネスの死守と新規ビジネス開拓など

     ・・・・自動車産業における中小企業の特徴と今後について有意義な講義であった。


報告者:殿村 サブリーダー

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