1.研究内容
1-1.発表者 吉澤 有介 会員
1-2.テーマ 「木質バイオマス活用による林業再生支援策の検討」
1-2-1.主な内容
※林業再生のために、足で得た豊富な情報をもとに独自の画期的支援策を提案された
(1)林業再生支援策の必要性
①21世紀は、20世紀の延長のままでは地球は滅びる。地球を守るために温暖化防止策は待ったなしである
②壊滅状態の林業を救うのはバイオマスの活用である。現在、話題になっているバイオエタノールなどは炭酸ガスを増加させるものである。抜本的な対策が必要である。
③林業の衰退は60年~70年代の拡大造林(1本いくらの補助金)により、針葉樹を全山、植林してしまった国の政策の失敗である。
④森林資源のバイオマスエネルギーに活用することが林業再生のカギであるが、問題は伐採、集材コストが高すぎることである。現在、伐採、集材しても山主には1銭も入らない。コスト削減でWin-Winの関係が構築できるかどうかが課題である。
⑤木質バイオマスエネルギーの活用技術は実用化の段階にあるが、原料調達が問題になっている。原料の建築廃材は先細りに
なっており、放置林、不良林からの木材をチップにして原料に活用する必要がある。
⑥伐採・集材コストが低減できれば、国産材で国内需要は十分まかなえる量がある。最近外材が急騰しており、コスト削減が
射程内になってきている。今が、林業再生に総力を挙げる最後の機会かもしれない。
(2)森林資源の現状と問題点
①国内人工林面積は1,000万haで全森林の40%を占める。木材市場は外材が80%。林業専業者は68年の44万人から2005年は
5.7万人に激減。山林主の規模は5haの零細で、高齢化が進み、後継者もいない。
②伐採・集材には建機、車が入る道がない。国の1兆円の予算の半分しか地元に来ず、道路は6m幅の非現実的な道でないと補助金が出ない。全国自冶体(23県)で環境税を導入(例神奈川38億円)で期待感はあるが、どの用途に使うかは明確でない。
③拡大造林から40~50年になるがこの間枝打ちの手入れをしていないため、木材としての価値が低い。高価な80年材(枝打ちされている)はヘリでの集材を行っているが、乾燥の問題などで市場での競争力がない状況になっている。
④今後は、針葉樹の育林、放置林・不良林の針葉樹伐採・集材、広葉樹の植林が必要である。
(3)森林資源活用具体策の検討
①正常林(樹齢50年以上、平地から緩斜面(20°以下、建機可、林道あり)、放置林
(樹齢45年、中斜面(20°まで、林道近い)、不良林(樹齢40年以下、旧斜面(20°~30°、建機不可、林道なし)に分けて伐採を考える。
②正常林は、個別伐採(1本/坪)、建材向け素材として活用、木くずはチップとして活用。
③放置林、不良林は列状間伐(50mで間伐)、チップの素材とする。チップは、ボイラ燃料、ガス化して燃料(一部エタノール抽出)、炭化して燃料(木炭)。コストはやや高いが、コストダウンで採算は射程内。
④今後は、針葉樹の育林、放置林・不良林の針葉樹伐採・集材、広葉樹の植林が必要である。
(4)集材コストの低減策
①列状間伐でのコストを試算してみた。建機の費用など不確定要素はあるが、実現可能な範囲のコストになった。
②建機は、伐採用プロセッサー・自動チェーンソー、ワイヤ・ケーブル(布シュート)、搬出用スイングヤーダー、クレーン付軽トラック・4t車などが必要である。
③計画は、国土環境保全公共工事として、公共事業の建設業者を活用することを考えてもらえれば、大きく前進する
④ここで提案された集材コストの低減策は、具体性のある試算で「良く検討されている」のが皆の感想であった。
(5)意見交換
①計画を推進する上でコンセンサスづくりが重要である。山主が現地にいない場合も多く、各人の思惑が異なるため「林業の再生、地域の活性化」などのテーマで、統一的なコンセンサスづくりが必要である
②官庁の所轄がいくつかの部署にまたがるため、プロジェクトの形で省庁の枠を超えた取り組みが必要である
③国は98年頃から林業への政策を転換しており、国有林の復活など、林業再生の新しい取り組みを進めることを期待する
④身近な問題であるが、今まであまり考えなかったことで、今日の話は有意義であった
報告者:小山 リーダー
2007年度研究会実績に戻る