1.研究内容

1-1.発表者      殿村 順一 会員

1-2.テーマ 「失敗学について」

1-2-1.主な内容

 ※殿村会員の失敗談を中心に建設業の失敗学に学ぶことの難しさを痛感した

1ISO9001ISO14001の審査登録状況

ISO900120066月末の35,564件をピークに減少しており、20076月末で43,067件である。建設業の減少が大きいのは公共

事業でのISO9001取得のメリットがなくなってきたためである

ISOは現在も増加しており、20076月末で20,082件である。

2CSRの動向

①企業の社会的責任(CSR)は、最近の企業不祥事を契機に、企業を取り巻く多くのステークホルダーからの要請に積極的に対応することが求められている。

②経済産業省、厚生労働省、環境省などの政府機関はCSRについての提言を行っており、経団連もCSRの手引を発行し、CSRへの取り組み強化を指導している。

 ③ISO6000は、CSRについてのガイダンス文書を制定、200911月までに規格化の予定である。

 ④日本のCSRへの取り組みは、「CSRの役員、担当部署の増加」、「経営資源の配分」、「利益計画への反映」など具体的内容での取り組みが多い。このことから、財務的側面以外の非財務的側面へのCSR必要性の重み付けが高くなってきている。

3)失敗から学んでいない

ISO9001,ISO14001,ISMS,OHSMSなどを取り入れ、リスクの特定、評価で予防処置を講じているはずであるが、リスクの特定が不十分で、失敗を直視していない。結果として失敗から学んでいない。

②失敗学会(畑村洋太郎氏主宰)は、失敗事例から失敗原因の解明及び防止に関する事業を行い、社会に寄与することを目的とする。

 ③失敗には、「個人に起因」「組織に起因」「個人・組織のいずれの責任でない」「だれの責任でもない」の4つの原因に分類される。

 ④個人に起因する原因には、無知、不注意、手順の不順守、調査・判断ミスなどがある。

 ⑤組織に起因する原因には、価値観不良、組織運営不良などがある。

 ⑥個人・組織のいずれの責任にもできない原因には、制約条件の変化、企画不良などがある。

 ⑦誰の責任でもない原因は、未知である。

4)失敗学に学ぶ

①技術を進歩させた3大失敗は、「「タコマ橋が19m/秒の風で落下(1940)」「標準船が冬の海で水素税制、低温税制、応力集中で破損沈没(19421945)」「コメット機が金属の疲労破壊で連続して墜落(1954頃)」である。

②六本木ヒルズの回転ドア事故は、「ドアはゆっくり動かなければ危ない」ので「運動エネルギーを10ジュール以下にするという過去の経験を知らず、アルミをステンレスに変えて見栄えを優先した」「その結果、破壊力、衝撃力が体力の8倍になった設計ミス」が原因である。

 ③本質安全とは、事故が起きた時、安全を守るためのシステムがうまく作動しなくても大きな危険を及ぼさないことである

  操作の誤りについては、構造や機能に特別な工夫を施してご操作の影響をなくすことである

  機械設備の本質安全化は、「安全機能が機械設備に内蔵または組み込まれている」「ご操作が事故・災害につながらないFool Proof機能(安全装置など)がある」「機械設備や部品が破損・故障しても安全側に作動するFail Safe機能がある」である

④失敗原因の究明は、「失敗原因の分類」「「失敗行動の分類」「失敗結果の分類」の3つのマンダラで図表化すると、良く見えてくる。

(5)意見交換

 ①建設での失敗例はシステムの失敗と似通った点が多い。建設現場での失敗例は他の業種に参考になる点が多い

 ②今後、生産研のテーマとして「失敗事例から学ぶ」を取り上げるのも良いのではないか


報告者:小山 リーダー

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