1.研究内容

1-1.発表者 小山 武夫 会員

1-2.テーマ 包装用フィルムの開発について

1-2-1.主な内容

  包装用フィルムの開発について、プラスチックの生い立ち、用途、製造方法、機能、廃プラ、経済性、新製品開発の課題まで

  経験を交えての報告がなされた。

 1)包装材料としてのプラスチック・フィルム

・プラスチックの生い立ちPLASTICS-Plassein(ギリシャ語)が語源で、原料はセルロース、石炭、植物油

石油の派生物であり、誕生の源はコールタール(石炭)でセルロイドの発明は1871年、ベークライトは1907年である。

   石油化学工業は1950年代に開花したが日本では1970年より大量生産されてきており40年ほどの歴史しかない。

   包装・容器の出荷金額は紙・板紙(41%)についで第2位で30%を占めている。プラスチックフィルムシートの出荷額では

   低密度、高密度ポリエチレンで40%となっている。

  ・プラスチック・フィルムの用途

   パン包装用:CCP無延伸PP(やわらかい)、ラミネート:OPP延伸PP(かたい)が使用されている。

   紙とプラスチックフィルムの違いは①熱で溶ける(熱可塑性樹脂)②伸縮性がある、③複数機能の適正がある

  ・プラスチックとは? ①熱可塑性樹脂(ポリオフィン、ポリスチレン、塩素系ポリマー)②エンジニアリングプラスチック

   (ポリエステル、ポリアミド)③熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン)等があり、高分子の種類と

   分子の中の構造が違うため植物とは違う。高分子は大きさの違うもの集まりであるため同じものが出来ない、また、高分子

の中に大きさの小さいものがあるためべとつき、高分子の中に大きいものがあるためフィッシュアイが発生したりする。

プラスチックは大きさの違うものの混合物である、最近では分子量を均一に出来る触媒(メタロセン)ができ分子量分布が

狭いものが自由に作れるようになった。

結晶性ポリマーと非結晶性ポリマーがあり、非結晶性ポリマーはポリスチンやポリ塩化ビニルなどがある。

結晶性ポリマーは結晶部が力学的強度を支え、非晶部分が柔軟性、耐衝撃性、耐疲労性、染色性などに寄与し、両部分で

加工性、多様性を発揮する。延伸フィルムは配向性(引っ張られたほうに並ぶ)を利用している。ポリエチレン、ポリプロ

ピレン、PET、ナイロンなどがある。

 2)プラスチック・フィルムの製造について

  ・製造方法として、インフレーション法とT-ダイ法があり、T-ダイ法が主力となっている。

   インフレーション法:熱可塑性樹脂を溶融しリング状のノズルから溶融樹脂を円筒状に押し出す。円筒の中に空気を送り込

み、膨らまして、薄く延ばし、冷却固化したチューブを平らにつぶして、チューブ状や円筒状に巻き取る。

T-ダイ法:熱可塑性樹脂を溶融し、T型のダイのスリットから溶融樹脂を薄膜状に押し出す、延伸フィルムは、シート状

に押し出されたものを、縦、横の方向に延伸したフィルムである。

   インフレーション法は設備費がT-ダイ法に比べ安価にすむが、フィルム幅は1.5mまで生産スピードは5080m/min

   と遅い。T-ダイ法は設備費は4億~10億と高価、フィルム幅も5m~10mと広くスピードも100200m/min早い。

・フィルム製膜工程

 原料1,2、副原料、添加剤を計量・混合機で混合→押出機→T-ダイ→コロナ放電→ミルロール巻取り→エイジング→スリ

ッター→製品包装・出荷となっている

  ・プラスチック原料の最適設計

   原料は何を使うか?(種類とフィルム物性)、原料の特性を最適化するには?(ポリマーの分子特性)、製造条件にあった

   原料とは?(ポリマーの分子設計)、添加剤はどの程度影響するのか?(添加剤とフィルムの物性)を考慮し設計する。

 3)環境に適合したフィルムとは?

  ・循環型社会に帝王したフィルム、PL法に適合した素材、内容物がはっきり分かるを使用する。

   廃棄物・再資源化フローでは有効利用は62%で残り38%は産業廃棄物として焼却、埋立処理されている。

 4)今後の包装機能の動向について

  ・保護製、衛生性、利便性、、環境適合性、情報性の面が重視されている

  ・経済性の高いフィルムとは、価格、輸送保管性、過剰品質の排除が必要

 5)高密度ポリエチレンフィルム(新製品開発)の開発

  ・開発から10年で中止。原料消化のための製品開発となり市場ニーズなどの市場調査に不備があった、営業の不在、採算管理

の不在、研究者が開発段階までもと上がったなどの要因があった。

6)新製品開発への誤解

①新製品を成功させるのはアイデアだ、②新製品を成功させるのはマーケティングだ、③新製品を成功させるの技術だ、

   ④新製品開発は研究所が担当している、⑤研究のほうが開発より重要だ、⑥研究・開発の成果は特許や論文だ、⑦開発期間

を短縮すると新製品開発の生産性が上がる、⑧経営戦略で新製品開発をコントロールする、⑨研究・開発費だけが新製品

開発投資だ、⑩ハイテクがないと新製品開発が出来ない、⑪売上は販売部門と生産部門の活動によってきまる。

等の誤解がある。

7)新製品開発に必要なものは

・新製品開発は企業の総合力であり、アイデアそのものが重要ではなく、実績のノウハウとエネルギーであり、持続する実行力を持った人々が必要。

・開発機能を管理する手法は何もない。

・新製品開発が仕事である、膨大な情報が集中するため整理する必要がある。開発期間が長い、多くの機能別組織が係ってお

 り、アイデアを商品化する機能(マーケティング、生産技術、デザイン、プランニング、設計、評価、資材)なくして開発

 はできないし、新製品開発は創造性が必要である。

・新製品開発推進者の視野として過去の新製品開発や仮説から実証に至る段階では、自社技術力を高めるためにフィードバッ

クを重視しなければならない。

・新製品開発はシーズとニーズの出会い

・技術の不確実性と市場の不確実性のポートフォリオで待機型、決断型、飛石型、偵察型のプロジェクトに分けられる。

 飛石型:足場を固めて新しいスキルを見出す

   偵察型:顧客ニーズを正確に把握

   待機型:ライセンス相互供与、技術使用契約、共同開発、共同市場開拓

   決断型:競争基板の構築後も既存の基盤の増強、プロジェクトの手直しも必要

 


報告者:井手上サブリーダー

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